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Humans. They're all trapped in the past.

"Humans. They're all trapped in the past."
これは私が好きなTVシリーズに出てきた台詞だけれど、ああ、すごく核心をついているかもしれない、と思った。

人間は良くも悪くも過去に捉われて生きている。あの頃はよかった、と昔の思い出にふけった経験は誰にでもあると思う。逆に何かをきっかけに過去の辛い思い出が甦って嫌な思いをする、ということもよくある。過去に起きたことは記憶に刻まれ、普段は忘れていてもふとした瞬間に意識の表面に浮かんでくる。まるで過去が現在を乗っ取るかのごとく。

人は結局自分自身が経験したことからしか学ぶことができない、と私は考えている。想像力を働かせれば実際に経験していない事象も頭では理解することができるけれど、本当に心から理解して自分の成長につなげることができるのは直接経験した出来事だけだと思う。これもある意味、過去に捉われている例だろう。過去に起きたこと、それを元に今の自分があるとしたら、その過去の経験によって自分自身が制限されているわけだ。過去によって現在が定義されている、すなわち過去に捉われている、と言える気がする。

過去の記憶というのは面白い。人間の記憶は完全に主観的なものだ。そもそも世の中で起きる出来事は各自がそれぞれのフィルターを通して認識している。そうやって独自の解釈をした時点でそれは主観に基づいたものになる。今現在起きている出来事に対しても人それぞれで解釈が変わるわけだから、過去の記憶に至ってはさらに千差万別なものになる。自分に都合のいい解釈が記憶に定着するわけだから、必ずしも正確ではないものが記録されてもおかしくない。人間は自分にとって都合が悪い事実は変えたり忘れたりしようとするものだ。あるいは、強く印象に残った部分は記憶に残っていても、あまり重要でないと判断した事柄は忘れてしまう。もちろんこの判断も完全に主観に基づいてなされる。

人間の記憶がそんなに勝手で自分に都合のいいものなら、いっそのこと嫌な過去の出来事は全て忘れてしまえばいいのに、とたまに思う。でも自分の過去を振り返ると、私の場合はどちらかというと嫌な思い出の方がたくさん出てくる。楽しかったことよりも辛かったことの方がより鮮明に覚えているのだ。何故だろう。

冒頭のTVシリーズの同じエピソードにその答えのヒントがあった。
"When something inside you is broken, it stays with you. You live in the past until you're able to reconcile it, even if it's painful. You do the work because you want to evolve."
過去から学ぶため、そしてそれを利用して成長するために人は過去に捉われ、過去の思い出を抱えて生きていくのかもしれない。


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