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性的描写の好き嫌い

私はかなり昔から村上春樹が好きだ。高校生くらいのときに初めて村上春樹の小説を読んで以来ずっとファンで、小説はたぶん全部読んでいる。エッセーも全部ではないけれどかなり読んでいる方だと思う。

村上春樹はけっこう好き嫌いが分かれる作家だと思う。私みたいに好きな人は村上さんがDJをやっているラジオ番組も欠かさず聴くようなファンになるし、嫌いな人はとにかく嫌いだ。そういえば先月、村上さんがラジオで言っていたのが、たまたま蕎麦屋で近くに座っていた人がいかに村上春樹がつまらないか、小説の詳細な中身にまで言及して熱弁していた、という話だ。嫌いなら読まなきゃいいのに、と村上さんも言っていたけれど、そういうちょっと素直じゃないアンチがけっこういるのも特徴な気がする。

少し前に知り合いと話していたら村上春樹の話になって、嫌いな人が身近にいる、と言われたので、なんで嫌いか聞いたら性的描写が多すぎるから、ということだった。なかなか面白い理由だなぁと思った。確かに村上作品にはけっこうそういう描写が出てくる。私は全く気にならないけれど、そういうのに嫌悪感を感じる人はけっこういるのかもしれない。

性的描写が嫌いな人はなぜ嫌いなのか。私なりに理由を考えてみた。なんとなく日本では性はタブーという雰囲気があるのではないだろうか。そういう意識を常日頃持っていると、性的なもの、イコール汚くてよくないもの、という思い込みにつながる気がする。でも性風俗産業がこれだけ盛んなことを考えると、誰でも少なからず性的なものには興味を持っていると考えた方がいい。興味はあるけれど、その対象がタブーだと思い込んでいると興味がある自分自身を認めたくない、という気持ちにつながるのかもしれない。だからそういった描写を見て興味をそそられるのが嫌だから、性的表現自体を避けるようになるのではないだろうか。

私は昔から性に興味があるし、それが当たり前というか自然なことだと思っている。人間は本来イヤラシイものだ。それを変にタブー視して抑えつけるのは不健康だと思う。

ここで少し白状すると性的描写があるというのも私が村上作品が好きな理由のひとつだ。好きな理由は他にもたくさんあるけれど、その話はまたそのうち、別の場で。


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