OSK日本歌劇団・天輝レオ主演スペシャルショー「Gentlemen2」感想


こちらの記事は、OSK日本歌劇団・天輝レオ様主演「Gentlemen2」の2024年3月10日公演を観劇しての感想になります。観劇も歌劇も全てド素人が書いておりますので、誤った記載や知識、また身勝手な妄想が随所にあることと思いますがどうかご了承ください。また、出演者さまの敬称については書きやすさを重視して普段心の中で呼ばせていただいている敬称を使用しておりますので、その点もご了承いただければと思います。

1曲ずつの感想

感想の書き方として1曲ずつの感想を書き、最後に出演者様それぞれへの感想としたいと思います。なお、曲名が分からないものが多いので、公式からセトリが出るまでは「1曲目」「2曲目」といった表記にしております。

1曲目

ちなみに私は本公演の前身である「Gentlemen」は未見ですので、今回がまったくの初「Gentlemen」となります。
常日頃から不勉強をアピールしている私ですが、さすがに「Gentlemen」の意味くらいはグーグル先生に聞かなくてもわかります。
BPの座席に着席して照明が落とされていざ、「さあ、どんな紳士がお出ましになるのかしら」とワクワクしていたところに飛び込んできたのがこの1曲目。

「お、おお・・・?これは・・・?」
「爽やかだな・・・?」
正直に告白しますと、初見時はめちゃくちゃ面食らいました(笑)「おぉ、そうくるか」という感じです。ショータイトルからクラシックで大人っぽい内容のイメージを勝手に膨らませていたので、1曲目がアップテンポでポップに爽やかに始まったことに衝撃を受けました。まあでもそんな衝撃は一瞬で吹き飛んですぐ舞台に釘付けになります。
まず何より本公演はお衣装がとっても素敵!黒とシルバーが基調のお衣装が三人ともよく似合っています。
なんというか、騎士団っぽい・・・?
隊長・天輝レオ様、一番槍・依吹圭夏君、参謀・南星杜有君という妄想が膨らみます。

最初は自分が勝手に抱いていたショーのイメージと違ったことに戸惑いはしましたが、この一曲目自体はショーの開幕に相応しい爽やかで明るい曲でとても良かったです。

2曲目

「お、おお・・・?これは・・・?」
「可愛いな・・・?」
正直に告白しますと、ここでもまた面食らいました(笑)事前に抱いていたイメージがまだ完全に捨てきれておらず、「さあ、2曲目からがいよいよGentlemen=紳士らしい格好良さの本領発揮だな」と勝手に決めつけていたせいです。
1曲目2曲目を聞き終わった時点で私はちょっと首を捻って、「果たしてこれは『Gentlemen』なのかなぁ」と打ち首ものの感想を抱いてしまいました。
しかしこのずっと後、ショーのラスト1曲の前にトーク部分があるのですが、そこで天輝様からこの1曲目2曲目の解説を聞いてめちゃくちゃ納得がいった次第です。
この1曲目から2曲目まではお芝居テイストが取り入れられており、卒業間際の高校生仲良し3人組が「今日休みだから遊ぼうぜ」と言って集まって遊んでたら急な雨が降ってきて、その雨が上がったあと、水たまりでふざけたりしている場面・・・という設定だそうです。
この設定話を聞いた時に私は1曲目2曲目を聞いた時の疑問が解消されて、「なるほどなー!」と心の中で手を叩きました。

これはつまりあれですよ。私が仕事帰りにね、買い物して帰るんですよ。夕方に、自転車に乗って。さっきまで降っていた雨は今は止んでいる。すると私の進行方向に、やけにキラキラした眩しい高校生3人組が道を塞いでて、雨でできた水たまりでふざけて水をかけあったりしてるんですよ。私は(あらやだわー、オバチャンそこ通りたいんだけどなー。どいてくれないかなー)とか考えながら近づいて行くんですよ。すると私が何か言うより先にこちらに気づいた天輝様が他の二人に「おい、自転車」って声をかけて、依吹君と南星君が「あっ」って顔で慌てて避けて道を開けてくれるんです。「ごめんねぇ」って言いながら通り過ぎる私に三人は「スミマセン」って笑顔で軽く頭を下げてくれるんです。それで私は(あらあらあら、やんちゃだけど意外に紳士的な子たちじゃないの~)と内心ニマニマしながら通り過ぎるんです。

・・・・わかりましたか?
私の中ではこの1曲目2曲目はそういう若くてやんちゃなんだけどお年寄りとかには親切にできて礼儀正しいところもある「Gentlemen」像が出来上がりました。
もしかしたら天輝様が伝えたかったのはこんなことじゃないのかもしれないけど、私はこのイメージを持って2回目の観劇する日が楽しみです。1回目観劇時のように無様に面食らったりせず、「やんちゃでジェントルメンな高校生3人組がきたぞー!」と興奮して盛り上がれると思います。

3曲目

3曲目さん、好きです。(唐突な告白)
ここからちょっとずつ高校生から大人へとギアが上がっていきます。依吹君と南星君の若手二人の場面。
去って行くときの天輝様の仕草が、南星くんにはおでこツンで依吹君には肩ポンなのがいいですね。南星君は貫禄ある佇まいだけどまだまだ三年目さんなので「頑張れよ」って感じで、中堅に差しかかりつつある依吹君に対しては「頼んだぞ」って感じのこの扱いの違いが良きです。

しかし南星君、本当に物怖じしないし堂々としてて、依吹君と並んでも年数の差を感じさせないほどの落ち着きはお見事。注目度の高い翼和希君主演の「へぼ侍」で難しい上官役をやり遂げた経験がここに活きているという感じがします。あとお歌が上手いです。声の出し方がとてもスムーズで違和感がない。声量もよく出ています。
「祈りの中で目覚める」のところ、依吹君がすごい歌いにくそうなんですが、この音域は男役の声だと出し辛いだろうなとお察しするので、逆にこの歌唱パートが千穐楽に向けてどう磨かれていくのかが個人的に注目ポイントだと思っております。行くたびにここ集中して聞きます。

4曲目

3曲目が好きです。でも、4曲目はもーっと好きです。という感じの4曲目。もうめちゃくちゃ格好いい。
ここの天輝様は登場時ちょっとシルエットっぽい演出なのですが、その歩いて出て来られるシルエットの美しさが芸術品です。計算され尽くしているし、たぶん天輝様は本当に計算されてると思います。
歌詞も格好いんですよね・・・ラップ調なところもあったりして。このラップ調のところの天輝様の歌い方が低く凄みを利かせるような歌い方で芸術点が高いです。依吹君と南星君はまだお手本通りという感じがしましたが、ここも千穐楽までにはそれぞれどう個性を出してきてくれるかな、とお楽しみポイントの一つに勝手にしております。

5曲目

ムービーを挟んでの5曲目です。ポップジャズというのでしょうか、アメリカンショー的なお洒落で楽しい一曲。この曲の途中で一瞬だけ転調するところ私は大好きですし、皆さま大好きなんじゃないでしょうか。
「春の桜も♪咲いて百年(ももとせ)♪季節過ぎようと~♪」

6曲目

舞台袖にはけたと思った天輝様がスタンドマイクを持って出てきたから驚いてちょっと笑ってしまった。ここの歌い出しの天輝様がマイクスタンド撫でる手の所作が本当に美しい。
この6曲目も5曲目に続いていわゆる『ザ・ショー』という一曲で楽しいし、この曲は頭に残りやすいので劇場を出たあと帰り道でつい口ずさみたくなりますよね。私は英語が聞き取れないし喋れない民なので「もなみあはっぴでー♪」と歌ってます。

7曲目前(トーク・芝居)

7曲目の前にトーク部分が入ります。
私が観た回だけそうなのかはわからないんですが、袖から出てきて天輝様の両隣に並んだ依吹君と南星君が、本当に同じタイミングに同じ仕草で衣装を整えてまた同じタイミングで気を付けの姿勢になるのが可愛すぎて笑ってしまいました。仲良しかな。

7曲目の前にちょっとした芝居が入るんですよね。
あの・・・これは本当に地面に額をこすりつけて懺悔するのですが、実は私ここまでほとんど天輝様と南星君に目がいっておりまして、依吹君に注目できていなかったんです。違うんです!依吹君は何も悪くないんです!(当たり前だ)
まずどうしても一番に天輝様に目を奪われてしまい、次に「へぼ侍」で印象深かった南星君を見ると、もう依吹君を見る余裕がないんです。三人見ようと思ったら一回じゃ足りないんです。
私の中の依吹君の印象ってこれまで「日舞が上手い所作の綺麗な男役様」だったんですよ。それがですね・・・ここの芝居を観て衝撃が走ったわけです・・・。
「依吹圭夏君、もしかして君・・・お笑いができるんか!」と。
もうめちゃくちゃ感動したんです。彼女お笑いができるんですよ!こんな客席との距離がとてつもなく近い小さな劇場で、臆することなく笑いを取りにいける強いハートの持ち主なんです。ショーのラスト1曲の前に入るトーク部分でも、彼女は果敢に笑いを取りにいってましたね。
これはもう完全に私の独断と偏見なんですけど、私にとってのOSK日本歌劇団に欠かせない要素の一つに「お笑い」があります。かつてのトップスター・洋あおい様や同じくトップスター・大貴誠様、そして有希晃様といった名だたる「お笑いができる」スター様たちの系譜を依吹君に感じました。お笑いってこう、ただ愛嬌とか天然なことを言ってほんわかした笑いを生むのとはまた違う、頭の良さと舞台度胸が無いとできない高等技術だと思うんです。それができる男役様がOSKに居てくださることが私にとってめちゃくちゃ貴重なんです。
依吹圭夏君、どうかそのまま大きくなってください。(私信)

7曲目

すみません、脱線が過ぎました。
名シーン「ギャンブラー」ですね。この曲の天輝様の歌い出しがとても耳に心地いいのです。声に色気が乗ってます。ストライプのスーツも大変お似合いで、いかにも堅気じゃない感が素晴らしい(オイ)。
緊迫感と躍動感があり、かつ大人っぽい構成が、見事にギャンブルを表現しています。
このシーンの最後に短いムービーが入るんですが、若手二人が逃げちゃうところが面白いですね。でも7曲目前の芝居で「何かあったら兄貴を置いてまっさきに逃げそうな後輩感」がちゃんと二人とも出てたので、素晴らしいと思います。

8曲目「Paradiso」

「Gentlemen2」のメイン曲は何だと思いますか?と聞かれたら私は迷わずこの一曲をあげます。この一曲を聴くためだけに6千円を払ってBPに行く価値があるとさえ思うほどです。
もっと正確に言うならば、この曲の前に少しだけ天輝様のトークが入るのですが、そのトークから曲に入る瞬間の空気の切り替わりを味わうために、6千円を払う価値があると思っています。
今はZaikoという便利なものがあって、なんとこの「Gentlemen」も毎回ネットで有料配信されている時代です。BPで観るよりお手軽なお値段で同じ内容のものが観れるのは大変ありがたく、私もこの「Gentlemen2」をさっそくZaikoでも購入して見返しております。
それでもですよ。この場面の、喋りから歌に切り替わる瞬間の天輝様の異常な集中力で塗り替えられる場の空気は、配信では伝わらないんです。私は実際にBPでこの瞬間を目の当たりにして衝撃を受けましたし、Zaikoで同じ回を購入して同じ場面を見てもやはり現地でのあの生々しい体験には代えられないことを改めて再認識しました。

それにしても「Paradiso」とは、粋な選曲をしてくれますよね。
「戻りなよ・・・俺を振って・・・陽の当たる場所へと」
ここの天輝様めっちゃ悪いもの~。こっちが絶対離れられないのわかって言ってるやつや~ん。
「Gentlemen2」は男役3人でのショーですが、もし娘役さんが出演してたなら、この曲の最後には一人佇む天輝様に後ろから娘役さんが駆け寄ってその広い背中に縋り付く演出が入ったことだろうと妄想します。私の脳内ではそういうシーンが見えました。なんなら娘役さんの代わりに依吹君あたりが縋り付いてくれてもいいです。投げ飛ばされると思うけど。

まだ三年目の南星君に「Paradiso」歌わせるのも凄いし、歌えてる南星君も凄い。こんなんアレですよ、数年後に男役として大成した南星君がファンからキャアキャア言われてるのを、私は後方で腕組みして眺めながら「いやでも南星君は三年目で『Paradiso』を歌ってた時から飛びぬけてましたけどね」ってドヤ顔するやつですよ。
そして依吹君は情緒がある・・・。なんというか、自分の世界をちゃんと自分で作れてる。この「Paradiso」で天輝様の空気に飲まれず、かといって天輝様の作った空気を壊すでもなく、ちゃんと自分の表現したいことを表現しようとしている。千穐楽までに彼女の世界がまだまだ磨かれていくと思うと楽しみで仕方ない。

(あの・・・本当にもしかしてなんですけど、天輝様のストライプ柄スーツのお衣装って・・・真矢みき様の「ダンディズム!」の「Paradiso」のリスペクトだったりします・・・?全然違ったら私が赤面のまま切腹します、スミマセン)

9曲目

あのね・・・さっきまで「俺が抱き、お前が抱く」ってめっちゃアダルティに色気たっぷりで歌ってた人がね、すごい無垢な表情で出てくるんですよ。
ちょっと不安そうでもあり、寂しそうでもある、純真な少年の顔して出てくるんですよ。卑怯ですよ(何が?)。
この曲も本当に良い曲です。人の弱さに寄り添うような歌は、もはや天輝レオ様の十八番と言ってもいいのかもしれません。天輝様の優しく深い歌い方の背景に、これまでの血の滲むような努力と負けそうになりながらも負けずに這って来た道のりを見てしまうと、私はどうしても号泣せずにはいられません。

10曲目

ここは歌無しの踊りだけのパート。いかにも歌劇らしい曲調に、振り付けも「春のおどり」の第二部で黒燕尾とか着て踊ってくれるような正統派の振付がされていて、ザ・歌劇という要素をショーの中にちゃんと入れてくれているのが嬉しい。

11曲目

撮影タイムだー!初回観劇時は写真を撮るのに必死で内容がまったく頭に残らなかったし、なんならその写真さえも家に帰って見返したら画質が悪すぎて絶望したんですけど、改めてZaikoでこの場面を観ると出演者様がいかに撮影しやすく格好良く動いてくれてるかがわかりますね。
特に天輝様はすべての動きが完璧に計算されていて毎フレームまったく隙がありません。芸術品です。それをこんな激しい曲で歌いながら踊りながらやるんだから本当に「ありがとうございます」という感謝の念しか出てこない。
いやでもこの曲も大変格好いい曲です。BPでの生観劇でも撮影とか気にせず集中して聴きたいものですが、「撮っていいですよ」と言われたら思わずカメラを出してしまうのがオタクの悲しい性ですね。(だって天輝様が「撮って」って言うから・・・)

12曲目前(トーク)

出演者様3人でのトーク2回目です。ここのトーク部分を聞いて私は思ったのですが、この3人ってすごくチームワークが良さそうですよね。なんというか、3人とも決して主張しすぎず、お互いの意見に耳を傾けるし、でも自分の言いたいこともちゃんと言うタイプに見えます。
ここで依吹君と南星君のお話を聞く天輝様が「そうだよね~」「うんうん」って相槌打ってるの小学校の先生みたいでとても好きです。先生、あのねです。

12曲目

フィナーレの曲は本当にフィナーレらしい爽やかで情感たっぷりな曲と振り付けで締めてくれました。3人ともラストスパートとばかりに懸命に歌って踊ってやり切って、青春らしい清々しさがあります。私はたぶん次に観に行ったらこの曲で泣けるでしょう。

出演者様お一人ずつの感想

天輝レオ様

本当に失礼を承知で申し上げますが、天輝レオ様の歌唱力が格段に上がっており大変感動いたしました。以前はちょっと声が出しにくそうだなと感じる音域や息が苦しそうだと思うことがあったのですが、今回のショーでは主演としてほぼ歌いっぱなし動きっぱなしにも関わらず、そのような不安を観ているこちらが抱くことはありませんでした。
天輝様といえば努力の方ですが、努力の結果必ず成長される方でもあるのだと、本公演で再確認した次第です。
また、「Paradiso」に顕著でしたが、天輝様の全身全霊で舞台にぶつかっていくその熱量を生で味わえたことも大変嬉しかったです。見た目はとても華やかでキラキラとされていますが、その魂は実直で潔い武士のようだと私は勝手に感じております。比喩ではなく、人生をかけるくらいの強い思いで舞台に立っておられる。
今回、間近で天輝様の舞台を拝見して彼女の情熱に触れ、私は震える思いがしました。ここまでの熱量で舞台に向き合えるお方はそう多くはないと、個人的には思います。

依吹圭夏君

こちらも大変失礼を承知で、これまであまり依吹君に注目してこなかった己を恥じたいです。彼女は良いですよ。自分という軸がしっかりしています。
どちらかというとお歌がまだちょっと苦手な印象でしょうか・・・?ですが彼女は3月3日まで「Tale of Genji」で主演をつとめており、その後3月9日からこの「Gentlemen2」に出演してくれているという多忙さなので、最初のたった1回を観ただけでその実力を判断するのは失礼が過ぎると思います。ぜひ千穐楽まで、彼女の真価を追いかけ続けたいです。

南星杜有君

もうね・・・大器ですよね。(偉そうにすみません)
なんて堂々としているんだろうか。二年目とはとても思えない佇まい。高身長というのももちろんありますが、彼女特有の優しい笑みをいつも浮かべていて自然と目を引かれます。南星君はお歌がとても上手で、ダンスはあともうちょっとという感じでしょうか。今はきっと天輝様、依吹君に忠実に必死に付いていってるのだと思いますが、千穐楽までに彼女のオリジナリティがもっと出てくることを楽しみに観続けたいです。

まとめ

「Gentlemen2」とても楽しめましたし、これから回を追うごとにより楽しめる作品だと思いました。
男役としての魅せ方をとことん研究し尽くしている天輝レオ様から若手二人が何を学んでどう実戦で活かしていくのか、その過程をリアルタイムで見守れるのはとんでもなく贅沢なんじゃないでしょうか。
私もまた観るごとにここの感想も追記・変更していくかもしれません。ひとまずは、ここまでお付き合いいただきありがとうございました!

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