演劇女子部『トライアングル』考察

2015年に公演された演劇女子部『トライアングル』

考察されまくってるであろう作品なのに、今更、考察が必要だろうかと思いつつ、素晴らしい内容で何度観ても感動させられる作品なので、自分なりの考えを残しておこうと考えた

この作品のファンは数多く、考え方もまちまちだろうから、適当に読み流してください

1つでもなるほど!と思える部分があったら嬉しいなぁ

✱まだ観てない人はネタバレになりますので気をつけてください⚠️


物語の構成と‪初見の時の感情

サクラ姫が中心の‪α‬編が表、アサダが中心のβ編が裏と言ってもいい構成で進む
‪α‬編だけでも話は成立するし、β編だけでも話はわかる

ただ、‪α‬編はアサダの心が読める能力については最後の最後にしか明かされず、β編はオープニングからその能力を明かして進むという違いがあります

そのため、‪α‬編ではキリ中尉が触れた時に音がなり、心を読んでるんだろうなぁという程度で、その声は聞こえない
アサダの時も一方的にキリが心を読んでいるように見える(実際は言い合いをしていることがβ編でわかる)

そうした形を取ることで、サクラ姫が中心の物語として進みます
また、ローズウッドの心が読めず、謎の女として存在するのも面白い
最後に唐突にキリがサクラ姫を想っていることがわかり、キリへの見方も変わりますが、その頃にはサクラ姫とアサダがどうなるのかしか頭になく……

単純な恋愛ストーリーに見え、だけど王女としての宿命も背負うサクラ姫はキリ中尉を選ぶしかなく…どうなるかなぁと見ていた最後の最後にアサダにはヴィータ人の血が流れているとわかった時、これはサクラ姫とアサダの恋が成就してハッピーエンドだなと安易に捉えてしまいました

それだとアルファ星の未来はどうなるのかなどは頭から抜けてしまうほど、それを求めていた自分がいました

だって振られた時のサクラ姫の涙、めちゃくちゃ苦しかったんだもん←
幸せになって欲しかったんだ…

なのでサクラ姫の告白の時に

『えええええええええ!!まじかー!!つらいー!!』

となったのを覚えてます😅


さて、そのままβ編に突入しました
β編はα編で謎だった周りの人達の関係性や人となりが明かされていきます

β編の面白い部分は、アサダとキリが心を読む時、その心の声が聞こえる演出になっていること

またα編と時系列が若干ズレており、アサダ目線で進むため、ローズウッドのことがかなり明かされること
キリのサクラ姫への想いが相当なものであることが知らされます

が、初見では最後のキリがサクラ姫の心を読む部分に声がなく、よくわからないまま話が終わってしまいました😅

それから何度も観ることでひとつの答えに辿り着きました

ここから色々と考察

4人の登場人物をまとめると以下の通り

サクラ姫
王女であり、いずれは天のお告げを国民のために啓示するアルファ星の希望
素直な性格で心で思っていることと口にすることが同じ
その性格がキリの戦まみれで荒んで凍りついた心を溶かす
婚約者の存在を知り、心に想う人がいるのかと聞かれてから、アサダへの想いに心を囚われてしまう
それ故に、婚約者に指定されたキリの心を見ることは中々出来ず……(ただ、少しずつだがキリへの警戒心は少なくなっていく)

アサダ
スワスワを自由に操るオメガ人であり、自分の赴くままに行動をする
好きなサクラ姫の行動に併せて行動している節がある
父がヴィータ人であることを秘密にしている
ヴィータ人を嫌っており、心を読む能力は嘘をつく人がいなくなればいらないと思っている
サクラ姫がヴィータ人を怖がっていることを知り、心を読むことに罪悪感を抱いていたことによりサクラ姫が感電することになる

ローズウッド
天のお告げによりチーク卿と結婚することになったが、チーク卿がスワスワの植物化からエネル大臣になることを目論んでおり、更にオメガ人を星から追い出そうと企んでいることを知り、貴族の女と結婚出来なければ大臣になれない星の習慣を利用し、結婚を断った
自らの人生を犠牲にし、オメガ人を救う
そこにはオメガ人であるアサダへの想いもあった為、ある意味、自分の想いを貫いたとも言える
好きなアサダがヴィータの血が流れていることを知り、サクラ姫と結婚出来ると行動に出るなど、愛する人のためにトコトン犠牲になる性格

キリ
戦い続ける星に生まれ、心が荒んでいた
アルファ星を侵略しようと攻めてきたが、戦艦が墜落し重症
そんな中、サクラ姫に助けられる
人を信じることが出来なかったが、サクラ姫の表裏のない言動で凍りついた心を溶かされ、サクラ姫を見続けたい、そばに居たいと思うようになる
それにより、アルファ星の外交を任されるまでに信用される男となる
サクラ姫の気持ちを知り、自身との婚約の儀の際に、アサダにもサクラ姫と結婚する資格があると伝え、好きな気持ちは人に譲るほど安くない、心を伝えに行けと背中を押すなど、サクラ姫に一途な想いを抱いており、自分の想いを犠牲にしてもサクラ姫の幸せを願った


ここで主な人物、サクラ姫、アサダ、ローズウッド、キリはふたつの種類に分類されます

【自分の想いに素直なタイプ】
サクラ姫、アサダ

【自分を犠牲にしても相手を想うタイプ】
ローズウッド、キリ

結果から言うと、自己犠牲の2人の想いが成就する形になりました

アサダとローズウッド

ローズウッドの想いがオメガ人をアルファ星に留めることになり、結果、アサダがスワスワと楽しく伸び伸びと生活することが出来ました
アサダがサクラ姫を好きになり、追いかけていた生活が出来るのも、ローズウッドのお陰なのです

アサダは、ローズウッドの想いの大きさに気づきます
アサダにヴィータ人の血が流れていると知ると同時にイオタに結婚出来るように進言しに行くなど、アサダの気持ちを優先に動く姿もあり、その大きな愛に答えることを選んだということですね

サクラ姫とキリ

一方、サクラ姫はキリに心を読まれないか非常に怖がります
ですが、市場での騒動で困っている時にアサダよりも早くキリに助けられます(アサダはこの騒動を後から知り、駆けつけます)
また、社交ダンスを踊る際、ヴィータ人に触れられるのが怖いと感じていることに気づいていたキリはサクラ姫に決して触ろうとしません
感電して寝込んだ時は看病までしています
(アサダにはサクラ姫の身に何かあったら他が許しても俺が許さんと怒りを露わにするほどです)

サクラ姫の中でキリは悪い人ではなく、むしろ助けてくれている人だという認識に変わっていきます
現に、ストーリーが進むにつれ、距離感が近くなっても怖がる素振りが無くなっていきます
キリの本当の優しさを知るのは、アサダの気持ちを代弁し、アサダの元へ向かわせた時でしょう
その時にサクラ姫の気持ちが固まったんじゃないかと思います

放電室

放電室でサクラ姫がアサダの手を取り、心を読ませます
でも、心を読むより言葉で伝えた方が早いといい、『ローズウッドさんと末永くお幸せに』と言い放ち立ち去ります

心ではアサダに好きだったことを伝えたんだと思います

だけど、言葉では違うことを伝えた
アサダはサクラ姫の覚悟を感じ取ったことでしょう
思っていることと口にすることが同じ人であるサクラ姫が、心と口で別のことを言ったわけです

また、アサダはキリのサクラ姫への強い想いを知っています(心の読み合いで叫んでました)

キリならサクラ姫を任せられると思ったと同時に、アサダの気持ちが固まった瞬間でしょう

『さよなら愛しい人』という言葉がその瞬間ですね

そしてローズウッドと結婚が出来なくてもずっとそばに居ることを選びます
それほど想ってくれる人に応えたいと思ったと思います

ラストシーン

放電室から1人戻ったサクラ姫に対して、キリは嬉しさと動揺とが入り交じります
姫の真意が測れてないのでしょう

サクラ姫は心を読んでくださいとばかりに手を差し出します

このシーンでは心の声が聞こえません
初見ではこのシーンの声をどう判断すればいいのかわからなかったので混乱しましたし、スッキリしませんでした

僕の導き出した答えは

『貴方を信じていいですか?』

です

常に見守っていてくれたキリ
サクラ姫が嫌がることを避け、あれだけ練習した社交ダンスも封印した(社交ダンスのことはサクラ姫は知らない)
そして極めつけは最後にアサダの元へ向かわせたこと
『アサダがあの時、手を離したのはサクラ様の心を知ってしまいそうになったから、感電させるよりも心を読む方が辛かった
アサダはあなたの気持ちを知らない、それでいいのですか?』と……

心を伝えに行け
あなたの最も大切なものを手に入れろ、と背中を押すのです

サクラ姫はアルファ星の為に、この婚約は引き受けなければならない
それを知っていながらもアサダの元へと送ったキリ

苦手だったけど、実は凄くあたたかい人なんじゃないか
星のために結婚することになるが、この人なら身を委ねても大丈夫なんじゃないか

キリであれば信じてみてもいいんじゃないかと思ったのではないでしょうか

その後は謁見の挨拶(手の甲にキス)も自然に受け入れ、物語は幕を閉じます

まとめ

恋に夢中になっていたサクラ姫とアサダ

それぞれの想い人を大きな愛で見守っていたキリとローズウッド

アルファ星がもたらす運命の為に2人の恋は成就しませんでした

ですが、大きな愛を知った2人は、結果幸せになったんじゃないかと思います

今もローズウッドの傍でスワスワの世話をしながら楽しくお喋りをするアサダがいて

心を読むまでもなく、気持ちを素直に伝えるサクラ姫がキリの傍で微笑んでることでしょう

相変わらずイオタの尻に敷かれるゼータがいて
お喋りなブナが市場で噂話を広げ、それを商売にしようとダイス姉弟がなにやら企み、リベットは留学先でサクラ姫の来訪を待っていることでしょう

僕はそんな争いのない星、アルファ星で余生を過ごそうと決めております

親愛なるサクラ姫の治めるアルファ星で骨を埋める

これが僕の夢ですw

以上、書こうとしていた構成とは全然違ってしまいましたが😅

トライアングルの考察とさせていただきます

ロマエ

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