0904

今日は昼前に起きて、洗濯ものを干し適当なTシャツに着替えて家を出た。そして近所の大戸屋で昼食をとった。一人で大戸屋に行ったのは初めてなのだけれど、日曜の昼間に一人で利用するのは俺にはまだ”早い”と感じた。
別に一人で外食するのが苦なタイプではないから、ラーメン屋もカラオケ屋もカレー屋も定食屋も日和ることはないんだけど、今日の大戸屋で感じたのはそういうことじゃない気がする。なんというか穏やかな休日の昼間に老若男女すべてを受け入れる定番優良外食チェーンで『すけそう鱈と野菜の黒酢あん定食』920円を食べるには、まだ俺の感性（あるいは身体かもしれない）は若すぎる気がする。なんとなく座りが悪い。運転免許証も持ってないし木造のアパートに住んでるし留年したことあるし喫煙者のくせにOLに重宝されているチェーン店で栄養バランスに配慮した定食なんて食おうとするな。

うすら居心地の悪い昼食を終え、スーパーで食材を買い込み、コンビニでタバコを買い、帰ってきた。で、今PCの前に座っている。昨日日記書くって言っちゃったし。何かをやろうと思ったら、怠惰な人間は一人でもいいから誰かが見ているところで宣言したほうがいい。尻に火をつけないと何もできない。でも尻に火をつけるにも助走が要るのでプレ尻も準備しよう。

昨日土曜日は散歩の日だった。久しぶりに新宿御苑に行ってみたのだけれど、あそこ入園料500円もしたっけか……これといったアミューズメントがあるわけでもなしせいぜい330円くらいでしょと思っていたので少し面食らう。
でも実際、中を歩いてみるとかなりきちんと整備され洗練された公園であることがわかる。よくよく考えるとあれだけ広大な土地を管理するための人件費や維持費を思うと500円という価格設定に割高感はないね。

園内には多種多様な木々が生えているが、ちょくちょくキャプションが配置されていてそれぞれの名称や特性が勉強できるのが嬉しい。10代のころはどうでもよかったこういうことが、大人になるとどうして楽しくなるんだろう。
博物館とかでもそうだけど、キャプションってあんまり読まない派の人もいるから廻り方に気を遣うね。そんなわけで俺は人と行くと各々好きに回って後で合流のパターンが多い。ショッピングモール等での買い物でもそう。そういえば大学のころ付き合っていた彼女に歩くの早いよと怒られたことがある。最近まで付き合っていた女性は下りの階段を降りるときには小走りになるという謎の習性を持っていたので、俺はいつも置いて行かれていたが別にどうでもよかった。そのうち合流できるんだし。
いろんな人がいるね。

ベンチから見えた風景

一通り回ってベンチに座ってぼんやりする。27歳。社会人4年目。なんとなくふんわり業界のことがわかってきた。3年間くっついたり離れたりグダグダやっていた恋人とはつい先日2度目のお別れをした。良い感じに人生の岐路の一つに立っているような気がする。俺くんこれからどうするんだろう。ちなみに彼女と別れたことに関しては自分でも意外なほどにそれほど落ち込んでいない。前に同じ女性と別れた際は食欲も失せ所かまわず泣き出すくらいには参っていたが今回はそういうウェットな感傷があまりない。いい加減疲れたのかもしれない。詳細は割愛するけどかなり無理していたので（勝手に好きでやっていたことです）正直しんどかった……え！？でもなんか…え！？ほんとに疲弊（つか）れたかも！！？！？！？！？！！？？？！！！！

そんなわけで今はあんまり悲しくないのでそんなに辛くもない。心のどこかに穴が開いていてそこを風が通り抜けてちょっと寒い。くらい。どれだけ疲弊してもめちゃめちゃ好きではあったので本当に残念ではあるんだけどね。
自分ならこの人を助けられるんじゃないか、幸せにできるんじゃないかみたいな浅ましさ。振り返ってみてもやはり傲慢で幼稚だけど頑張ったことは認めてあげたいね。

ベンチに座って後ろ手に手を組んでぼんやりしていると木々の向こうにマンションが見える。だんだん苛ついてくる。何見てんだこの野郎。御苑のほど近いマンションに居を構える中流階級社会的成功大人がよ……。普通免許証なし彼女なし貯金なし展望なしの俺を見るな。わかるか？27になっても社会的な問題に関心を持たず日々浅ましい自意識と空虚な戦いを繰り広げる俺の生活が。
あんたらたくさん頑張って成功してそこにいるんでしょ？すごいよ。

公園を後にするともうほとんど日が落ちていた。
すっかり真夏のピークも去って日が長くなっているのを感じる。
寒いと気分が落ち込みまくるので今からちょっと憂鬱である。おいてかないで、夏。

先週福岡に旅行に行ったのだが、現地の友人は二人とも一人で飲みに繰り出してそこで友人を作ることがあるという。まるで大人みたいだ。大人みたいじゃないですか？うん、大人みたいですよね。かっこいい。せっかく今いろいろ悩んで迷走しているんだからこういう機会にいろいろチャレンジして人生経験にも幅を持たせるべきだと、俺もわかっている。
で、そういう企みも頭の片隅に入れながら新宿の街を徘徊する。歌舞伎町。ネオン。性欲。金。男。女。謎の悪臭。たまに行くと楽しい。キラキラしていてテーマパークみたいだ。みんな楽しそうだし。

結局一人で店に入って飲んだのかというと、もちろんノーです。無理すぎるって。冒頭でも書いた通り一人で飯食ったりカラオケ行ったりそういうのは全然いいんだけど、一人で飲み屋に行くってもうなんか”期待してる”じゃん。交流生まれないかな～って思ってるじゃん。本当に一人で飲みたいだけの人がいるのも知ってるけど。期待してると思われたくないよ俺は。そういう期待を持って町に繰り出して空振りだったらめっちゃ恥ずかしいじゃないですか。どうすんのその感情どこに持ってくの。福岡の友人A（♀）は言っていた。

「空振りのときもあるし、それはやっぱりさみしいよね」

ほらやっぱりさみしいじゃん。無理無理。こちとら自意識の獣なんですよ。俺を見るな。誰もお前のこと見てないよってやつネットで3000万回は見た。誰も俺を見ていなくても俺が俺を見ているよ。
部屋で音楽を聴きながら一人奇怪なステップを踏んでいるときも時おりあたりを見回すよ。

こうなったら俺はもうただ歩くことしかできない。昔から困ったらあてもなく歩いている気がする。真夏に東京駅から家まで歩いて帰ろうとして永福町で断念した時も、直近の恋人のことで苦しんでいた。苦痛からの逃避のために他の苦痛を課すのが癖になっている。蚊に刺された部位に爪で跡をつける行為に近い。

歩いて歩いて、新大久保にたどり着く、すごい活気だけどすごい韓国臭でよくわからない。そのまま歩き続ける。できるだけ大きな音で音楽を聴いていると歩いているだけで楽しい。人気のない道ではビートに合わせて手が動く。
高田馬場に到着。いい時間なので夕食がてらラーメンを食べる。結局ラーメンだ。リリンの生み出した文化の極みだよ。ちょっとぬるかったけど。

東西線で吉祥寺へ。
吉祥寺の街を練り歩く。サンロード商店街では辻オセロ師が対戦者を待っている。今日は辻将棋士もいた。オセロ男はよく見るけど将棋男は初めて見た。俺が通りかかった際には対局者はおらず将棋男はMacのノートPCで何かしていた。地べたでMacいじってるのちょっと面白いよ。
ファミマで缶チューハイを買った。半分飲んで顔が真っ赤になっているのを感じる。井の頭公園では若者たちが各地で花火をしている。爆音で洋楽を流している集団もいる。俺はベンチに座って、虫の声だの水生物園からの謎の鳴き声だのを聞きながら酒を飲んだ。夜だとタバコが吸えるから良い。
ブランコに乗ってみると酔いが回る。近くで仲睦まじそうに話している男女はどうやら交際してはいないらしく、男にはよそに彼女がいる。もう終電ないよ。
何とか酒を飲み切りまた歩いて家に帰る。酔っぱらっていろいろなことがどうでもよくなっている。

深夜2時過ぎ、帰宅して即お湯を沸かしサッポロ一番味噌ラーメンを作って食べた。深夜に食べるインスタントラーメンの優しさを信じている。
くりぃむANNの適当な回を流しながら横たわる。
無免許運転で事故る夢を見る。3時間で起床。無理やり二度寝して冒頭に戻る。

本当はこの土日で粗大ごみを捨てる手配をしようと思っていた。捨てるものを整理して回収を申し込んで適切に粗大ごみシールを張る必要がある。信じられないくらいめんどくさい。おれは信じられないよ。既定の倍払うからこっちのタイミングで適当に家の前に投棄してそれを持って行ってほしい。ゴミの種類ごとの貼るべきシールの枚数とか調べるのめんどくさすぎるよ。
もうずっと半年くらい捨てる予定のマットレスが我が家の狭いキッチンを占拠している。いい加減どうにかしないと。

今からやるんですか。そうですか。はあ。
やります。絶対やります。やらなかったらデスクの上でいつも俺を見守ってくれている摩美々と霧子のアクスタを取り上げても構わない。いや構う。そんなの耐えられない…………。

耐えられない