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異世界に召還されてここで広がるオレ色の空

  こんにちは。ローランです。
今日は、花宮來生さんの主催される企画「空の色」に初参加させていただきました。
  さて、今回は異世界召還もので物語詩を書いてみました。プロットのようなあらすじのような、さらっと読んでいただけるお話です。
こんな異世界に召還されたら楽しいだろうなぁと思いながら書きました。
  さらっと書いているので、異世界の風景や街や人々の様子などには踏み込んでいませんが、ここから始まって、もっともっと深く書いていけたらいいなぁと思います。

それでは、お楽しみいただけたら幸いです。


空はどの世界でも広がる


異世界に召還されてここで広がるオレ色の空

マジか!
オレって確か死んだんだよな
感染症のパンデミックで舞台の仕事失くして
バイトをいくつも掛け持ちして
生活費もろもろ稼いでいたけど
夢も見失い2年続いたところで
ある夏の日に過労死したオレ38歳
目が覚めたら
ドラクエの冒険フィールドみたいな草原
なんだよこれは!
ここはどこだ!
驚くじゃねぇか!
辺りを見回すが広大な草原が広がるばかり
オレは一体どうなったんだろう

すると頭の上で声がする
君さ、役者だったじゃん
丁度終わる魂を見つけたから
この世界にきてもらったんだ
ここで芝居を広めてほしいんだ
アンタ誰だ
ワタシは時空の王さ
ワタシは君のいた世界の演劇が好きでね
まだ演劇ってものがないこの世界に君の世界の演劇を広めてくれないか
だから君を召還したんだ
えええっ!
子どものくせに何言ってんだよ
子どもの姿は君に分かりやすいようにそういう形をとっているだけさ
君は大人だけどね
せっかく異世界に召還されたのにオレはオッサンのままかよ
召還と言えば勇者とか聖女とかだろう
違うんかーーーーい!

知らない世界で行くあてもないオレは
とりあえず時空の王様の願いを叶える手伝いをすることにした
まずは街の居酒屋に行って仲間を募ろう
冒険者じゃないから憧れのギルドじゃないのが残念だが
人との出会いは居酒屋がイチバン
見慣れぬ料理に慣れてきた頃
5人の仲間が集まった
遊び人、元傭兵、吟遊詩人、少年、そしてオレ
皆初めて聞く仕事内容に驚いていたが
吟遊詩人の歌を動きで表現したらみんな楽しんで分かってくれた

パーティ名はヤクシャ
最初の芝居は吟遊詩人の唄う剣の勇者サーガ
次は敵対する国の王子と王女の悲恋物語
またその次は極悪非道な王の物語
オレらの芝居は娯楽の少ないこの世界でウケにウケた
街から街へ旅をしながら見せてまわった
ヤクシャはすっかり有名になって
オレをこの世界に召還した時空の王様も大喜び
いつも最前列で芝居を楽しんでいる
前の世界では名は売れてなかったし
過労死した不遇の人生だったけど
この世界に召還されてから
オレは好きな芝居を思い切りやり
たくさんの人を楽しませることができて
幸せな第2の人生を過ごしている
最初は時空の王様の希望を叶えようとしたことだったけど
いつの間にか王様の夢は前の世界で失ってしまったオレの夢になっていた
この世界の空も
前の世界と変わらず青く美しいが
夢が叶うと空の色まで違って見える気がする
オレ色の空がここには広がっている

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