3/23(土) | 『センス・オブ・ワンダー』(筑摩書房)刊行記念ライブ
《オンライントークイベント》
『センス・オブ・ワンダー』刊行記念ライブ
【出演】
森田真生
【日時】
3/23(土)19:00-21:00(開場 18:45 予定)
【参加費】
3500円(税込)
(申し込み方法はページ下部に記載)
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翻訳することは、生まれ変わっていくこと。初めて一冊の本を翻訳するという経験をして、僕はいま、そのように感じています。自分の外側にあったはずの言葉が、自分のなかから響き始める —— そういう瞬間が訪れるまで、自分が生まれ変わっていくこと。翻訳するとは、僕にとってそのような経験でした。
2020年の秋から、レイチェル・カーソンの『センス・オブ・ワンダー(The Sense of Wonder)』の翻訳に取り組んできました。本書にも記した通り、それはちょっとした偶然がきっかけでした。
筑摩書房の吉澤麻衣子さんから新訳の提案のご連絡をいただいたとき、僕の子どもたちはちょうど4歳と1歳でした。『センス・オブ・ワンダー』は、カーソンの大甥のロジャーがまだ1歳8ヶ月だったときの「ある秋の嵐の夜」の描写から始まります。そしてこの原稿をカーソンが雑誌に発表したとき、ロジャーは4歳でした。僕はとても幸運なタイミングで、この本と出会うことができたのです。
4歳の長男と1歳の次男 —— ここから、僕は子どもたちと季節を重ねていきながら、メイン州の海辺や森でカーソンとロジャーが歩んだ時間を、京都でふたたびたどり直していくようにして、この作品を反芻してきました。同じ季節がふたたび訪れるたびに、カーソンの言葉はさらにいきいきと響いてくるようになりました。
『センス・オブ・ワンダー』は、1956年の夏にカーソンが雑誌に寄稿したエッセイを、カーソンの死後に、友人たちがまとめた一冊です。カーソンはこの原稿をさらに膨らませて本にしたいと願っていましたが、その願いは叶わないまま、この世を去ってしまいました。こうして『センス・オブ・ワンダー』は、永遠に未完の作品として、後世に遺されることになったのです。
未完の作品を「翻訳」すること。そのことの意味をこの三年半、考え続けてきました。そのひとつの自然な帰結として、翻訳と並行しながら、僕はこのテキストを自分がいる京都という場所で、書き継ぐ試みを始めていました。今回の本が「翻訳」ではなく「翻訳とそのつづき」となっているのもこのためです。「翻訳とそのつづき」という、いままでに見たことがない形式のこの本を、美しい一冊にまとめてくださったのは、デザイナーの鈴木千佳子さん、漫画家・イラストレーターの西村ツチカさん、そして編集者の吉澤麻衣子さんです。
永遠に未完である本書が、ここにまた新たな姿で「再生」し、たくさんの人の手によってさらに多様なかたちで読み継がれ、書き継がれていくことになるとしたら、こんなに嬉しいことはありません。
初めての翻訳という経験は、驚きと学びの連続でした。今回の本が生まれるまでの道のりも、平坦ではありませんでした。
実際、翻訳の過程で、いくつかの重要な「転機」がありました。特に、当初は「だ・である調」で進めていた翻訳を、あるとき「です・ます調」に変えようと決意したのは大きな転機でした。そもそも当初はなぜ「だ・である」にこだわっていたのか。それをどうして途中で「です・ます」に変える決断をしたのか。このあたりのことも、今回のトークでお話しできればと思っています。
翻訳するとはどういうことなのか。
カーソンはどういう人物だったのか。
『センス・オブ・ワンダー』はどのような経緯で書かれた本だったのか。
本書が生まれるまでに考えたこと、気がついたこと、驚いたこと、そして、実際に本書が生まれてからさらに考えてみようとしていること。本が生まれたあとだからこそ考えらえるようになったこと、気づくことができたこと……みなさんとたくさん分かち合えたらと思います。
本書の発売日、3月23日(土)の夜に、刊行直後のトークライブを開催します。本書にまつわる様々なエピソードや、翻訳を通して見えてきた風景について、とことんお話をしてみたいと思っています。
本をすでに手に取られている方も、そうでない方も参加大歓迎です。
当日のご縁を、心から楽しみにしています。
2024年3月10日 森田真生
(2024年3月22日更新)
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【お申し込み方法】
当イベントは「Zoom」ウェビナーによるオンライン配信イベントです。
参加希望の方は下記URLよりオンラインチケットのご購入をお願いします。
ご購入をもってご予約は完了いたします。
オンラインチケットご購入用ページ↓
https://tuning-bookstore.com/items/65e8f406fddd80043dd0162a
イベントの開催についてご不明な点がございましたら、
こちら[attuning.books@gmail.com]まで。担当:鎌田
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