W KOREA 2020年 9月号 テミンインタビュー 翻訳

Reptile(爬虫類)テミン

正規3集<Never Gonna Dance Again>の発売を目前に控えたテミンは、すべてを燃やして新たに生まれ変わりたいと言う。その言葉が何を意味するのかは、完全に理解できない。ただ分かるのは、もうすぐテミンの新しい幕が開くということだけだ。


W Korea(以下W):今年でデビュー13年目という事実に驚いた。会社で言うなら、次長級の年次じゃないだろうか。
TAEMIN(以下T):そうですよね。ここまで来ると初めて見えるものもあるけれど、変わらないものも多いようです。ちょっと面白い話してもいいですか?今年初めに、おかっぱ頭でデビューした16歳の姿に扮装して写真を撮ったことがありました。その写真をインスタグラムにも上げたんですが、ファンが昔の写真だと一瞬引っかかったのを見て思いました。「とは言っても僕まだ顔はそんなに老けてないんだな」と。ハハ

W:私としては最も気になる人物のうちの一人に今日会ったわけだ。何と言うか、テミンはまるで完璧な叙事詩を持つ人物のように感じる。
T:アイゴ、ありがとうございます。

W:中学生でSHINeeとしてデビューして着実に成長し、グループの末っ子イメージから抜け出してソロミュージシャンとして成功的に転換した。ソロとして発売した5枚のアルバムすべてがヒットを記録している。いまは全世界を舞台にするSuperMの一員だ。そのへんの成長小説の中の叙事でもここまでしっかり出来ているものはないのに。
T:僕の人生を振り返ってみると、少し不思議に感じます。13歳で会社に入って来たけれど、今年で28歳になる。人生の半分ちかくを歌手として生きてきて、「長い間ひとつの道を走って来たんだなあ」と思うと歳月を感じます。僕はちょっと…欲張りな人間だったようです。欲張ってみたら偶然SHINeeというチームでデビューすることができたし、ソロ活動の機会も巡ってきました。いつだったかイスマンPDが僕にこんな話をしました。どんなポップソングでもいいから一度レコーディングして持ってきなさいと。「突然どうしたんだろう?」と思いながら準備して行きましたが、その後にソロアルバムを出せるようになりました。今考えてみると、テストだったわけです。こういったことに達成感を感じるみたいです。それもすごく大きな。もちろん、運もとても良かったんですが。

W:体系的なシステムを持つSMという会社が単純にやってみる?という思いでソロ活動を提案するはずないが。
T:僕が思うには、兆しのようなものがいくつかありました。デビューした頃は歌のパートが少なかったです。テミンはダンス担当というイメージがあったので。だけど、歌の比重が少しずつ増えていったんですが、思い返せばこれも兆しのひとつだったんではないかなと思います。デビュー初期には練習室で夜中まで残って練習をしました。夜勤の職員の方が行き来しながら口コミで広まったようです。その方たちには、どんなに可哀そうに見えたでしょうか。げっそり痩せて夜中まで残ってひとりで練習していたので(笑)

W:テミンは他の人たちより遅くまで練習室に残っている方だった?
T:スケジュールさえ終えれば練習室に向かいました。日が昇るまで練習して宿舎に帰ってそのままスケジュールの準備をして、そう過ごした時間が長いです。

W:SHINeeのステージでテミンがパッと目に入るようになり始めたのが2012年の'Sherlock'活動時だ。それ以降は水を得た魚のようにステージを楽しんでいるようだった。自分のステージを自分が作るんだという自覚が芽生え始めたのはいつ頃だった?
T:何度かありましたが……まずはSherlockの時がそうでした。Sherlockは20歳のちょうど成人を迎える時に出たアルバムで、その時からステージに臨む姿勢がガラッと変わりました。当時試していたのは、「決められたことをするのはやめよう」でした。普通は、どの区間でどういうジェスチャーをするか決めておくものですが、Sherlockからは本当に躊躇なく違うものを試しました。それが見ている人達に真剣に向かっていくと考えましたし、僕が発展していける道だと思いました。自分でモニターしていても当時は1日1日変わっていくのが目に見えました。

W:実際に目に飛び込んでくるようなジャンプ(成長)をするというのは決して簡単なことではないが?
T:Sherlock前の空白期が長かったおかげもあります。再整備に勤しむことができましたし、そういう状態から久しぶりにステージに立ったので成長した姿が目に入ったのでしょう。あと、何と言うか、僕はメンバーがすごく刺激になりました。ヒョン達がただ者じゃないから(笑)これは本当に自慢できることですが、SHINeeは大半がメインボーカルと言っても遜色ないですし、みんな才能豊かです。本当に文字通り「ここで生き残らなければ」「刀を取ったなら大根でも切らなければ(一度始めたなら最後まで諦めるな)」という気持ちで練習に励んでいました。元々欲張りだったんですが、そういう刺激まで加わったのでジャンプをしようと思わなくてもしないわけにいかなかったんです(笑)メンバーたちと一緒に過ごしながらお互いに似ていくということもあったし、おかげで僕が見ることができなかった視野も持てるようになったし、隠れていた才能を目覚めさせた面もありました。

W:正規3集 'Never Gonna Dance Again' のPrologueシングル '2 KIDS' が8月に公開された。歌を聴いてふと作詞家が誰なのか気になって検索してみるときがあるが、今回の '2 KIDS' がそうだった。精製されていない正直な言葉で書かれた歌詞だなと思ったら、作詞家がテミンだった。
T:普段実際に使う言葉遣いを溶かしこみたい気持ちがありました。詩的で抽象的な歌詞を書く場合もありますが、'2 KIDS' の作業をしながら、一度だけ聞いても情緒が把握できるもの、伝わり易いものを作ろうという考えが大きかったです。これまでDangerというとてもはっきりしたコンセプトを持ってきたり、官能的なパフォーマンスがある曲が多かったので、大衆と僕との間に一定の距離があると感じていましたし、これ以上かけ離れてはいけないと自覚したのもあります。とにかく僕は大衆歌手なので。中間地点を捉えようと思って思いついた歌詞が今回の '2 KIDS' の歌詞です。なので僕がやってきたタイトル曲の中で一番明るいです(笑)

W:2点が面白いようだ。自ら大衆歌手という自意識が確固としてある点、だからこそ大衆の近くに立とうと努力する点。
T:もちろんそれが上手くいかない場合が多いです(笑)例えば、SHINeeのアルバムタイトル曲を決めようとすると、僕はいつもメンバーたちと意見が分かれる方でした。4集のタイトル曲 'View' にしても、僕は聞いて「これは絶対ない!」と思ったので(笑)僕が追及するのは少し何と言うか……深く嵌る面があるみたいです。例えば、愛を表現しようとすれば、一次元的に解くよりかは少しマニアックに解くのを好むというか。一歩踏み込んで捻ってみるのが好きです。

W:なんだか興味深い。番組でテミンの大雑把な姿をたくさん見たからか、テミンがなにかにアプローチする方法が〈深く〉だとは思ってもいなかった。
T:元々深く嵌る人はちょっとそういうところがあります。〈マルチ〉ができる人はこれをやりながらあれも出来ますが、僕はそれはできません。一つだけを深く掘らなければいけません。だからメンバーたちと全く同じスケジュールを共有されても、僕だけ憶えていない方です(笑)

W:オホ、ここまでくるとテミンの大衆文化的な趣向も気になってくる。
T:イギリスドラマ「ブラックミラー」が大好きです。ユニークなものにハマる方です。いわゆる、ありえないもの?元々は流行っているといわれる映画は避けて見る方でした。そういう映画はすでに消費されたものを繰り返している側面がなくはないので。けれど段々と気軽に見られるものも好きになっているようです。最近は映画を流しながら他のことをしたり、以前は独立映画やスリラーなど好みに合う映画を探して最後まで見ては本当に口もきけないほど疲れ果てたりしていました。すごく集中して見るとエネルギーが消費されるので。

W:作詞の話をしていたら何故かこんな話になっていた(笑)今後また作詞する機会があったら、テミンはどんな物語を歌詞にしてみたい?
T:哲学的なものが好きな方です。ソロアルバムの収録曲のなかの 'Soldier' にしても宗教を扱う内容ですし、もちろんその時その時で違うと思いますが、そうですね今で言うならどんなことを書くかなあ……最近こういうことをよく考えます。僕自身をちょっと変えたい、これまでの姿を振り切ってまた新しく生まれ変わりたいと。

W:どうして?
T:もう少し濃い僕だけのカラーを探したいです。まるでまたデビューするみたいに、今までなかった新しい何かをお見せしたい気持ちです。

W:テミンはカムバックする度に新しくなかった?テミンほど多様で実験的なコンセプトを見せてきたミュージシャンは珍しい。
T:そうですか?もちろんコンセプトは常に新しかったんですが……最近は、僕という人間自体を全く内面から変えたいと考えています。外見だけを見せることより、もう少し人間的で率直な姿を見せたいという渇望があります。人は誰でも弱って壊れてしまう時があると思います。そこから出る美しさがあると僕は確信しています。人が崩れおちる瞬間、その瞬間に。そうしてこそまた立ち上がることができるし、その姿を隠さずすべてお見せするのがアーティストとして僕が進むべき道だと今は信じています。

W:実は今回の3集に期待する理由は、テミンの意見が最も反映されているアルバムだと聞いたからだ。これまでとは違う作業をした点があった?
T:まず、MV監督を直接調べて渉外しました。食い違いを減らして監督と1対1で呼吸を合わせることが重要だからです。数回ミーティングをしながら、コンセプトや衣装、ヘア、メイクアップまでひとつひとつ悩みました。'2 KIDS' 後、2つのアルバムが続けて出る予定ですが、どういう連結点(伏線)をプロローグへ入れるか考えながら、MVにこういうキーワードを残したいという風に提案したりもしました。主にファンはこれを「떡밥(把握していなかった嬉しい情報、伏線)」と言うらしいですけど(笑)'2 KIDS' のMVで一番目立ったのは振付でした。単純にリズムに乗るのではなく、感情を重心に身体を動かしていたんじゃなかったかな?実はダンスシーンはほとんど含めない予定でした。もしものために、パリに発つ前日に本当にほんの少し準備したものでした。実は僕はなんていうか、〈ドラマタイズ(ドラマ形式で表現するもの)〉された振付を念頭に置いていたんですが、監督が現代舞踊のようなダンスを期待されていたようです。結局監督と僕の中間地点でちょうどいい具合に調律された振付で上手く表現出来てはいましたが。

W:個人的に'2 KIDS'は普遍的なラブソングなのでドラマタイズな振付の方向でやってもすごく良かったと思う。
T:監督にこういうことも話しました。僕が限りなく可哀そうに見えたら良いと。奈落に落ちて、壊れて、本当にどこかの道の上でいきなり発見されたみたいに見えても構わないと。どうしてそんなに壊れたかったんだろう?よく分かりません。ただ、僕の内側に何か多くのものが存在しているみたいです。それを表現したかったような気もしますし……

W:初のソロアルバム 'ACE' では、テミンはソロミュージシャンとして自身を大衆に証明しなければならなかったし、2集の 'MOVE' ではテミンだけのカラーを強固にしたのではないだろうか。個人的に、テミンは自己証明は完了したミュージシャンだと思う。その状態からこれから出るアルバムが 'Never Gonna Dance Again' だ。もしかして、今回のアルバムからが本物だと思ったことがある?
T:それより僕の願いは、今回のアルバムが〈ターニングポイント〉になればということです。Sherlockの時がそうだったように、今回を起点に僕という人間がガラリと変わればいいなと。人間としても、ステージに立つ者としても。人々が今回のアルバムを聞いて良いと言うかもしれないし、イマイチだと言うかもしれないけれど、もうそういうのは気にしないようにします。

W:以前はフィードバックを気にする方だった?
T:そうです。何故なら、変化を嫌う人も多いので。だけどあまりにそうしてばかりいると、絶対に僕たちの中から抜け出すことができないと思います。これからは人の機嫌を伺いすぎるのはやめようと。

W:こんな考えをしたことはある?振り返れば、常に実験的だったものが自分に返ってくるということを。
T:先ほども話しましたが僕の内面に何かが本当に沢山あるみたいです(笑)それを人々が分かってくれることであって、僕自身もやりたいことが多いです。人とは違って在りたい欲があります。違って見えるのではなくて、本当に違うということです。

W:他の人が真似できない自分だけのものがあると思う?
T:それがどういうわけか分かりません。いま探している最中です。ですが、僕は自分に対する満足度が低い方です。そしてそれが今までの僕を導いてきたものでもあります。

W:どんな時間を過ごしたら自分を一番充電できる?
T:半身浴が大好きです(笑)湯船に入ると「うう」とか「ああ」て声が自然と出てきます。体をぐったり垂らして、キャンドルをひとつ点けて、その状態でしばらく体を温めます。

W:Vlog形式で綴ったテミンのYoutubeコンテンツテムログを見て、もしかして世帯を持ちたい気持ちがあるのかな?と感じた。キッチンが特にカメラに映っていたが、食器棚に綺麗なグラスや色とりどりのコーヒーマシンが飾られていた。
T:その欲はないです。全部オモニがしてくれました(笑)「テミニはこういうのが似合うよ~」って食器棚にずらりと陳列されます。時々こんなことを考えます。いつか引っ越したらアンティークで家を飾ってみたいと。ちょっと笑えるんですが、昔、ホラー映画に出てくる家がすごく綺麗に見えました。

W:冷蔵庫にはモエ・シャンドンが1本あったが、お酒を飲むときはシャンパン?
T:お酒はほとんど飲みません。よくお酒をプレゼントに貰うんですが、全部アボジに回っていきます(笑)モエ・シャンドンはオモニが持ってきて入れたものです。装飾用に綺麗なもの1本だけ持ってきて本当にただ入れただけっていうか?(笑)

W:28歳のテミンはどんな人?
T:ちょっと燃やしたいようです。最初の幕のフィナーレを格好良く飾りたいという気もしたり。

W:どんなミュージシャンとして記憶されたい?
T:偉大な人。ちょっと大げさに聞こえるのを分かって話しますが、僕には使命があります。

W:それが感じられる。
T:大きな人になるほど社会に与える影響も大きいでしょう。僕はそういう人になります。僕が伝えたいと思うメッセージがたくさんの人に聞こえるように。

https://www.wkorea.com/2020/08/25/reptile-태민/

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