GQ Korea 2021年 6月号 テミンインタビュー 翻訳

長い休符を前にしたテミンの緩やかなMOVE



GQ(以下G):入隊まで1か月を切りましたね。最近とても忙しいでしょう?
TAEMIN(以下T):いくつかの活動がずっとオーバーラップしているので目まぐるしくはあります。それでも割と眠れました。

G:先日、オンラインソロコンサート<Beyond LIVE - TAEMIN : Never Gonna Dance Again>が開催されました。感想はいかがですか?
T:良かったです。僕が求めている方向性を提示出来ました。完成度、満足度とは異なる問題です。Beyond Liveの既存の型に合わせているので、望む程の躍動感をすべてお伝えすることは出来ませんでしたが、目指している方向性をアピールできて、具現できました。それだけでも、意味のある最初のボタンをかけたと考えています。

G:昨年春に計画されていたコンサートが取り消しとなりましたよね。当時、どのようなものを準備していたのか気になります。
T:スケールの大きなステージで、新しい演出をたくさん試してみようと色々考えていました。例えば、ステージが360度動いたり傾いたり角ばったり割れたり(手のひらで踊るように説明する)する感じ。今回も、傾くステージをお見せしましたが、それよりもっと躍動的なものを計画していました。どうしてもオンラインコンサートでは実現できない部分があったんです。

G:今回のコンサートで、緩急の調節に気をつかったと話していました。きっかけはありますか?
T:見る人が格好良いと感じるようにするにはどうすべきか?と悩みながらきっかけを得ました。ファンが、本番よりリハーサル映像を好む場合があります。アイロニーですよね。リハーサルからくる魅力とは?実際にコンサートに訪れるメリットは?その2つの長所が合わさったらどれだけ良いだろう? やみくもに一生懸命に情熱的にやるより、力を入れる時は入れて抜くときは抜くという緩急調節で対比を与えて、その中で流れを作るのが重要だと思いました。

G:そのせいでしょうか?確実に以前よりさらに没入させられる感じがありました。
T:本当ですか?(ていねいに両手を合わせながら頭を下げる)ありがとうございます。

G:それで、格好良さとは何なのか、答えは見つかりましたか?
T:表現しようとすることをどれだけ正確に表現するか、に答えがあると思います。例を挙げればこういうことです。「私、悲しいです。」という言葉をどう言うかによって受け取る側は違うように感じるじゃないですか。僕は言葉の代わりに歌を歌って踊りを踊る人です。メッセージを僕の手段で真誠に伝えることができたらそれこそが格好良いということじゃないですか?僕が伝えるある表現が誰かの心に響けば嬉しい、見る人に良い影響やインスピレーションを与えたい。これが僕が考えるアーティストです。

G:テミンの格好良さは自分の格好良さが何であるかを知っている点、そこから始まっていると感じました。
T:僕だけの道を進んでいると思います。人生の半分以上をSMと共にしながら会社が示す道を歩んで来て、今はそれを基に自分なりに僕のバウンダリーを作ったと思います。ソロ活動のアイデンティティーを自分で考えながら努力し、発展して、挑戦してきました。おかっぱ頭で“Replay”の活動をしていた16歳の少年が、今は長髪になってここに座っています。後退ではなく成長したならば、その一連の過程が格好良さではないかと思います。

G:昨年発表された<Never Gonna Dance Again : Act 1>を準備しているとき、振付師が、テミンの内面から深い反抗心をすくい上げたと言っていました。
T:これ以上新しいものを作り出すのは難しいと感じている時期でした。停滞している気がして、枯渇した感じでした。僕がやると新鮮なものは何だろう?ダンスをせず歌だけだったらむしろ破格だよね?親しい演出家のヒョンに、そんな悩みを真剣に打ち明けました。それで、前回発売された<Prologue>, <Act 1>, <Act 2>に、僕の正直な内面、姿を沢山込めることができました。

G:正直な自分を丸ごとさらけ出したい欲求、完璧なステージをしたい欲求のうちどちらの動力がより作用しますか?
T:その二つの岐路にいる気がします。踊りたいけど踊りたくない気持ちは矛盾じゃないですか。そんな矛盾した心を激情的に体で表現したい感じというんですかね。愚痴をこぼす、駄々をこねる、をパフォーマンスに込めてお見せしたい気持ちでした。“Never Gonna Dance Again”という言葉のとおり、もう踊らないということではなく、こういう僕の感情を知ってという駄々でした。

G:体を通して、率直な考えを排泄したわけですね。いつだったか、歌詞を体で表現したいと話していたことがありましたよね?
T:動作ひとつひとつに最大限意味を付与しようとします。黙って立っていてもどんなことを考えているかによって、テンションや目つき、指先、ディテール、細かな震えまで違ってきますよね。それが見ている人にまで伝わります。振付を踊るときも、単純な動作に酔いしれるのではなく、神経ひとつひとつを僕が感じていると考えます。内的ダンスというのは結局は自分が感じるダンスでしょう。だけど僕が感じると結局は見ている人も感じるんです。どんなに小さな動きも、人は集中して見るものです。逆に言うと、どんなに大きな動作を一生懸命踊っても必ずしも視線を引き付けられることはできないものです。

G:先日あるイベントでテミンの神曲投票をしたことがありましたよね。MOVE vs IDEA。テミンはIDEAだと確信していましたが、ファンの結果とは見事にずれていました。
T:ファンがMOVEを選ぶのを知っていてわざとIDEAって言ったんですよ。意地悪くひねってみたんです(笑)

G:今回発表するアルバムのタイトル曲“Advice”はどんな曲ですか?
T:最初のフレーズですべて説明されます。「誰がなんと言おうとMy Way」人によってそれぞれ主観がありますよね。多くの人が自らの主観を他人に投影してこれが正しいと助言します。僕は勿論そのような考えを尊重しますが、自分の考えを強要してはいけないと思います。

G:作詞をしたわけではないが、結局はテミンのストーリー?
T:作詞家に僕の考えを伝えたのでそのようなものでしょう。僕の歌は変だ、やりすぎだ、いつも同じものばかりだ。人々の助言に従っていると結局人と同じになってしまいます。個性が色あせてしまいます。適当な選択をしていると、生き残る1%にはなれないと感じました。“Advice”は、むやみに助言する人々に対する一針のようなものです。

G:テミンが志向するアーティスティックな視点と、大衆歌手としてのアイデンティティーのギャップはありますか?
T:あります。ギャップの調節をどうしたらいいか悩みが多かったです。少し抑えて適度に見せるべきか、抜いてしまわずそのままを見せるべきか。ところが結局、大衆性というのは後からついてくるものでした。どんなにマニアックな歌手でも、心を込めて自分を正しく伝えるなら、それを大衆が納得して受け取るなら、それが結局大衆性となるものなので。僕も僕だけの道をずっと進んでゆけば、つつき続ければ、人々が受け取って理解してくれる時期が来るんじゃないかと思いました。共感というものは時間が解決してくれる部分もあるので。10年後に今を振り返ってみたら、これ自体もテミンだけの道となるのではないでしょうか。

G:以前GQとのインタビューで1歳に戻りたいと話していました。その考えは今も有効ですか?
T:冗談半分本心半分でしたが、本当は戻れるなら戻りたいです。失敗することなく堅固に一から積み重ねたいです。決定的な失敗を取り除いて、失ってはいけないものをまたしっかり掴んで。あ、でも分からないです。あまりに完璧でも面白くない気がします。

G:これまで偏見のせいで見ることができなかった真実がありますか?
T:自分の欲に囚われて、推測性の結論をよく出しました。幼心に人々の意図を曲解したこともあったと思います。やっぱりもう少し賢明だったら良かった気がします。戻ることにします(笑)

G:最近メモ帳に殴り書いたもの、思い出せますか?
T:ここでは公開できないものばかりで。

G:やさしいやつで一つ公開してくださいよ。
T:主にこういうものです。ひとりで居たいと思いながらも寂しいことを分かってくれることを求める、という矛盾した話。思春期がまた来たのかな?

G:誰にでもそういった矛盾はあるんじゃないですか?
T:はははは。そうですよね?それから、食べたいものも思いつく度にメモ帳に書きます。最近は、脂身の多い豚肉炒め、ガーリックピザ、タッカルビを書きました。最近1日1食にしているので、メニューを選ぶのに慎重なんです。今日は何を食べよう?

G:メモ帳がすごく面白そうです。
T:はい。行ったり来たりしてて。気分が良い時はあまり書かないです。主にお腹が空いた時やしんどい時ですよね。ははは!

G:アーティストとして必要な部分だと思います。そういった起伏こそも。
T:感性が繊細だからか起伏がうまれることがあります。そこからくる長所がきっとあるので、短所を甘んじて受け入れなければと思います。

G:もうそろそろ撮影です。“ラストパフォーマンス”というコンセプトについて聞いたときどんな気分でしたか?
T:良かったです!ギャラリーだなんて特別な空間じゃないですか。新鮮な画が撮れるのではないかと期待しています。

G:あるダンサーがインタビューでこう言いました。もうこれ以上踊ることがなくなった時、真のダンスが生まれる、と。
T:本当にそうです。意識しない瞬間にはじめて開けるものがありますよね。踊っていると仕方なく習慣のように出てくるものがありますが、もうこれ以上踊ることがない瞬間には習慣が捨てられるんです。その時新たなものが生まれます。

G:それでは、これからどんどん捨てに行ってみましょうか?
T:はい、いいですね。

https://www.gqkorea.co.kr/2021/05/24/태민-내적-댄스란-게-결국은-자신이-느끼는-춤이죠/

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