『拝啓BLのかみさま』発行に寄せて

10月1日に、猫野サラさんご主宰のアンソロジー『拝啓BLのかみさま』が発行されます。

わたしも「二人組の男たち」というオムニバス形式の掌編を4つ、寄稿させていただき、一足先に、他の皆さんの原稿を読ませていただきました。発売前の作品の内容に触れるのはさすがに野暮なのでいたしませんが、ならば、こんなたとえ話ならいかがでしょうか。
これを読んでくださっているあなた、あなたはBLと同じくらいチョコレートが好きだといたしましょう。今回発行されるアンソロジーは、いわばカカオの産地もブランドも糖度も異なる八種類（とりあえず、自分のやつは抜かしておきます）のチョコレートがご用意された、サロンデュショコラの会場です。贅沢にもあなたはそのすべてを食べ比べることができ、かつ、あなたはほんとうにチョコレートが大好きなので、そのすべてにいちいちなにかしらはっとさせられることでしょう。こんなおいしいチョコレートがこの世にあったのか、という衝撃。あるいは、このチョコレートは加糖されていないとこんなにもカカオ本来のおいしさを感じられるものなのか、という興奮。やわらかそうに見えて思いのほか硬く、その衝撃が歯に意外なほどにも心地よい。エトセトラエトセトラ。
このアンソロジーは、いわばそんなアンソロジーです。それぞれの作家さんたちが、遺憾なくその個性と作風を発揮し、それを食べきりサイズにぎゅっと凝縮した、旨味がぎっしり詰まった見た目もきれいなアソート。
一執筆者として、このアンソロジーが皆様のお手元に届くのが、待ち遠しくてなりません。