2024年4月25日競争力ca病気によって治癒の見込みが極めて低い状態の患者の安楽死を認めるべきか

大久保被告は元医師の山本直樹被告(46歳)(控訴中)と共謀し、2019年11月、ALS患者である女性が住む京都市のマンションを訪ね、女性に頼まれて薬物投与にて殺害した。
京都地裁は、ALS患者への嘱託殺人および共謀した元医師の父親への殺人に関与した医師の大久保愉一よしかず被告(45歳)に対し、川上宏裁判長は被告の生命軽視の姿勢を非難し、懲役18年の判決を言い渡した。弁護側は被告の行為が憲法に反すると主張し、無罪を求めたが、裁判長は自己決定権は個人の生存が前提であり、命を絶つ権利は導き出せないと指摘した。判決では、ALS患者への嘱託殺人の成立要件として、死期が迫り、苦痛を和らげる手段がないことや患者の意思を慎重に見極めることが提示された。判決後、大久保被告の弁護人は控訴の意向を示した。女性の父親やALS患者らは被告を許さない姿勢を示した。

世界的には合法化が進む安楽死ですが、日本ではまだまだ議論の最中であり、現状では死を望む患者を殺害・自殺を援助した場合は「自殺関与・同意殺人罪」、患者が死を望んでいたとは認められない場合は「殺人罪」に問われます。

そこで今回は「病気によって治癒の見込みが極めて低い状態に陥った患者に対しての積極的安楽死の是非」についてCAを行った。

立論側は、『積極的安楽死は病気によって治癒の見込みが極めて低い状態において認められるべき』とい立場から議論を行いますので、皆様は『消極的安楽死/尊厳死は病気によって治癒の見込みが極めて低い状態において認められるべきではない』という立場で議論を行った。※ここでは積極的安楽死に自殺幇助を含むこと

言葉の定義
・積極的安楽死: 患者に致死薬を投与する作為によって死なせるもの。
・自殺幇助:  積極的安楽死と同様の条件で、医療従事者が処方した致死薬を患者が自ら摂取する行為
・消極的安楽死: 延命治療を行わない、あるいは中断するという不作為によって患者を死に至らしめるもの。
・治癒の見込みが極めて低い状態: 患者の病態が不可逆的であり、現行の治療法や医学の進歩によっても回復がほぼ期待できない状況であると同時に、患者が自立して日常生活を送ることが事実上不可能な状態を指す。

1.苦痛を終わらせる権利を認めるべき
→ 日本国憲法の「人間の尊厳」の解釈として「一定の感情・理性・人格を有する人、一個人がが社会的な存在であり、人間が社会的に尊ばれる存在であり、誰からも侵されることのないものである」というのがある。(引用元: 人間の尊厳と自立の在り方)
積極的安楽死の対象とされる終末期の患者の中には、病気による強度の苦痛に苛まれていたり、病気により身体の自由が利かなくなったことで自らの尊厳を失ったと感じている。そのため安楽死という選択を設けることで彼らの尊厳の保持が可能なのではないか。
Q、死ぬ権利から義務に代わるのではないか?カナダで実際ある。
A、病院では起きる可能性が低い。医者がちゃんと長く考えて決めるため可能性低い。

Qガイドラインの運用が難しい。死ぬ権利が保たれたら社会もそれを許す社会に変化する可能性あるのでは?
A患者が自立できないから社会がそれを許しても安楽死が認められる人は決まっているため大丈夫

Q政治的余地(政府が医療費を削減できるから安楽死を許してしまうこと)が入り込む可能性があるのでは?
A実際に、安楽死認められる国はそのような問題は起きてない。海外では国の病院の制度が政府より深く関わる。

2. 人生の最期の迎え方を決定する権利
→ 現在の日本では、75.8%が最期を病院で迎え、自宅で迎える人はわずか13%に過ぎない。しかし、全国調査では、58.8%が「自宅」を希望する最期の場所として選択している。一方、安楽死を容認しているオランダでは、病院で最後を迎える人は30%未満である。したがって、安楽死の容認と最期の場所が病院であることとは反比例の関係にあると考えられる。
この理論に基づくと、日本人の人生の最期の迎え方は現状限定的であり、安楽死を容認することで彼らに人生の最期まで自ら決定する権利を与えることができるのではないか。安楽死の合法化により、患者は自らの最期の場所や方法を選択できるようになり、病院や施設に限定されることなく、自宅や家族と共に穏やかな最期を迎えることが可能。よってこのような選択肢の拡大は、個々の尊厳や自己決定権を尊重された最期を提供できることに繋がるのではないか。
Q自宅で安楽死を迎えること見る人の権利は無視されているのでは?死体の腐敗の可能性もあるのでは?(家族など)
A早急に病院に移動すれば問題ない。死を迎える本人の権利を妨害してはならない。家族が自宅にいなければいい。

3.患者や国のコスト削減
→ 患者が終末期の治療を受けることは、高額な医療費や社会的コストを伴う。一方で、積極的安楽死はこれらのコストを削減し、医療資源を効率的に活用することができる。終末期医療の患者負担は一日当たりおよそ3万円であり、終末期医療ではなく安楽死を推し進めることで、国は約200億円の医療費削減が可能という見解がある。これらの医療費や社会的コストの削減は、国の医療制度の持続可能性にも関わる重要な要素ではないか。
Qどの程度のレベルで患者だと基準すべきか明確ではない?
Aリビングウィル導入。(人生の最終段階の履歴書のようなもの)これで判断できる。

1.宗教的倫理観において安楽死が認められない人もいるのではないか。
→ 一つ例を挙げると、スペインはかつて自殺をタブー視するカトリック信仰が強い国だったが、2021年に安楽死が合法化された。また、スペインにおける最近の世論調査でも自殺幇助を過半数が支持しているそう。このような背景から考えると、積極的安楽死が認められにくい状況でも、自殺幇助は患者の尊厳を考慮した安楽死の手段として考えられるべきではないか。
Q無理してまで日本も安楽死制度を世界に合わせて行く必要はない。
A日本の需要にこたえるべき。世論調査などでは安楽死を賛成する意見が多い。実際に海外に行って安楽死をする人もいる。

Q死んだ後に、幸せに生きる可能性もあるが、その可能性がなくなる。
Aほぼ死ぬ直前の時までいって苦しむよりは死んだほうが患者としては楽だ。

Q安楽死という選択肢しかないから仕方なく安楽死を選択するのでは
A安楽死があるからこそ死を選択しているわけでない

2. 本人の決断が自暴自棄になっているときなのか、それとも冷静に判断しているのかという見極めが難しいのではないか。
→ 医師は患者が自らの意思を明確に表明し、冷静な判断を下せるかどうかを判断するために、患者との信頼関係を通じて精神的な状態や意思決定能力を評価し、さらに積極的安楽死の意思表明が一時的なものでないことを確認するために、複数回の意思確認を行う。これにより、患者の意思が一貫していることが確認され、自決が冷静な判断に基づくものであることが保証され、患者の意思を尊重しつつ倫理的かつ法的な観点から適切な判断を下すことが可能になるのではないか。

Q安楽死は薬を投与して患者の死を終わらせる。安楽死の後に医師に対する負担が大きい。
A自殺幇助がある。事前に患者が決めるので直接的に医師がかかわることではない

3. 患者の周りへの配慮による意思決定の可能性。
→ 確かに日本には集団行動や周囲の人に気を遣うと言う特徴があるため患者は高い医療費で家族に負担を掛けるくらいならなどと考える人も少なくないのは事実かもしれない。
しかしながら患者とのコミュニケーション強化(心理的面での支援など)、医師や医療スタッフにおいては、患者の自決権を尊重し適切なケアを提供するための教育を設け、共通の安楽死に関するガイドラインやプロトコルの整備を設けることによってそのようなケースは減るのではないか。

参考文献・URL

  1. 読売新聞オンライン. (2024b, 3 5). ALS嘱託殺人、医師の男に懲役18年判決. . .京都地裁「生命軽視の姿勢は顕著」. 読売新聞オンライン. https://www.yomiuri.co.jp/national/20240305-OYT1T50104/

  1. 安楽死の概要.(n.d.). https://www.let.kumamoto-u.ac.jp/ihs/soc/ethics/takahashi/tyousa/zyobun.html#:~:text=%E3%83%BB%E6%B6%88%E6%A5%B5%E7%9A%84%E5%AE%89%E6%A5%BD%E6%AD%BB%EF%BC%88passive,%E3%81%A7%E5%8C%BA%E5%88%A5%E5%8C%96%E3%81%95%E3%82%8C%E3%82%8B%E3%80%82

  1. みんなはどう考える?〜積極的安楽死の合法化について〜.(2020,1119). https://www.sdgs-award.com/post/%E3%81%BF%E3%82%93%E3%81%AA%E3%81%AF%E3%81%A9%E3%81%86%E8%80%83%E3%81%88%E3%82%8B%EF%BC%9F%E3%80%9C%E7%A9%8D%E6%A5%B5%E7%9A%84%E5%AE%89%E6%A5%BD%E6%AD%BB%E3%81%AE%E5%90%88%E6%B3%95%E5%8C%96%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%A6%E3%80%9C#:~:text=%E6%B6%88%E6%A5%B5%E7%9A%84%E5%AE%89%E6%A5%BD%E6%AD%BB%E3%81%AF,%E6%97%A9%E3%82%81%E3%82%8B%E4%BA%8B%E3%82%92%E6%8C%87%E3%81%97%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82

  1. 第四回 JDA 日本語ディベート大会 B 部門 決勝戦 「日本は積極的安楽死を法的に認めるべきであるか?」. (1998, 3, 21). 第四回 JDA 日本語ディベート大会 B 部門決勝戦.

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  1. 人間の尊厳と自立の在り方 -憲法学的視点から-. (2017). 高田短期大学 介護・福祉研究 第 3 号2017. 

  1. 9割超が延命治療を拒絶する日本で「安楽死」は個人の権利か否か!? (2019, 1,23). みんなの介護. https://www.minnanokaigo.com/news/sakai/study27/

  1. 人生の最期の迎え方に関する全国調査結果|日本財団.(2023,3,27).日本財団. https://www.nippon-foundation.or.jp/who/news/pr/2021/20210329-55543.html

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