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【パイオニアメソッド】

東北にGRAという農業法人がある。
http://www.gra-inc.jp/

震災後の被災地から、先進農業施設栽培で高級イチゴブランドを作った同年代で同名のヒロキ氏が中心となった会社だ。

同様に、福島で飲食店の復興に取り組む会社も出てきた。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/38981

こちらも同年代の若い人物が中心となっている。
震災後、何度か被災地へ復興支援に行った人間としては、「これからどれだけの人間が被災地へ移住して事業を立ち上げるかだな……」と思っていたのだが、一時『支援金は集まっても、プレイヤーである人材が足りない』という話を耳にしていたので、ちょっと残念だった。

だが、こうして元気のある若手が登場してきたようで、少しは行った甲斐があったというものだ。
で、彼らを調べてみて少し面白いことに気が付いた。

まず、イチゴの岩佐氏は元パチプロだそうで、結構ギャンブラーな人生を歩んできている。
そして飲食店の鈴木氏は、何と元アーケードゲーム『鉄拳』の鉄拳王だというのだ。
かなりゲーマーな人物のようだ。

アリの集団が、超働くアリ2割と普通に働くアリ6割、そして働かないアリ2割によって構成されているという話を聞いたことがあると思うが、先日考えていた結果、この働かないアリの2割は『社会的にバッファとなる存在なのではないか?』という仮説が生まれた。

先日の関東甲信越を中心とした大雪害については記憶に新しいものだと思うが、今度は再びその雪害支援に行った人間として思ったことは、『みんなが目一杯働いていると、いざイレギュラーな事態が起こった時に動ける人間がいない』ということだった。

そのため、一人寂しく自腹で支援に向かったわけだが、その辺の事情についてはまた改めて文章に起こすこととして、今回は『社会的なバッファという存在』についてだ。

上記に紹介した二名は、一般的に見れば『働かないアリ』の部類に入っていたはずだ。
だが、震災のように『いざという事態』が起きた時には、率先してすごいエネルギーを発揮しながら動き出す。
働かないアリには、こうした潜在能力があるのではないかと思う。

こうした人々はおそらく、開拓者(パイオニア)としての力が備わっているのだと思う。
自分で言うのも何だが、私もその部類に入るのだと思っている。
だが、悲しいかな私はまだ、これらの二人のような実績を残せていない。
というのも、色々と原因を考えた時、一つの仮説に思い当たった。

……それは、『パイオニアは撹乱された場所で輝く』ということだ。

生態系でパイオニア植物と分類される種には、ある特性がある。
それは、『誰も存在していないエリアへいち早く侵入し、その勢力を広げる』という性質だ。
逆に、既にたくさんの植物が存在している場所では、あまりその能力が発揮できない。

この事を考えてみると、確かに自分の場合にも当てはまる。
震災後の被災地のような、まっさらになってしまったような場所では、まさしくパイオニアが活躍できる環境が整っている。
しかし、ここのように全く何も起こらず、日々平穏な生活を送っているエリアでは、外からやってきたパイオニアが「今のままでは将来大変なことになります!今から改革していきましょう!」と語ったとしても、誰もそんな言葉に耳を傾けるような環境ではない。
むしろ、「折角平穏なのに、何言ってんだこいつは……」という目で見られてしまうのである。

これらのことから考えてみると、どうやらパイオニア人間は、『何かが撹乱された状況』でなければその力を発揮できないのかもしれない。
既に多くの多年生植物が生えているエリアに足を突っ込んでも、そこに根を張れるような隙間は空いていないのだ。

世の中のパイオニアたち諸君は、充分に気をつけて欲しい。
これが、パイオニアたちのメソッドだ。

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