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📖ポストモダンのでたらめな論文が掲載された事件がありますか?

はい、「ソーカル事件」として知られる事例があります。1996年に物理学者のアラン・ソーカルが、ポストモダン文化批判を行う学術雑誌『ソーシャル・テキスト』に「量子重力の解釈についての超越的な観察」と題する論文を提出し、それが掲載されました。この論文は、科学的な専門知識を騙るために意図的にでたらめな内容を含んでおり、ポストモダン思想が科学的な厳密性を欠いていることを示すための実験でした。ソーカルは論文の掲載後にその真意を公表し、学術界における品質管理とポストモダン思想への批判を巻き起こしました。この事件は、学問の分野における厳格さと検証の重要性についての議論を促しました。


なぜ掲載にいたったかと、どのようにでたらめだったのかを知りたいです

ソーカル事件で論文が掲載された理由と、そのでたらめな内容について説明します。

掲載に至った理由

ソーカル論文が掲載された主な理由は、当時の学術雑誌の査読プロセスが、提出された論文の学術的な正当性や厳密性を完全に検証するのに十分でなかったことにあります。『ソーシャル・テキスト』は査読を行っていなかったため、ソーカルが意図的に使用した専門用語やポストモダン理論への言及が、編集者によって真面目な貢献と誤認されました。ソーカル自身が後に述べたところによると、この実験は学術的な厳密さを欠いた理論がどのようにして専門的な議論として受け入れられてしまうかを示すことを目的としていました。

でたらめな内容

ソーカルの論文は、現代物理学の概念と用語を誤用し、意図的に非論理的かつ矛盾した主張を展開していました。例えば、量子重力の理論を文化的および政治的な相対主義に結びつけ、物理学の法則が社会的および言語的な構築物に過ぎないという主張を行いました。これは科学の基本的な原理と明らかに矛盾しており、厳密な科学的方法とはかけ離れていました。さらに、論文はポストモダン理論家たちの引用を乱用し、科学と人文学の間の境界をあいまいにすることで、学術的な信憑性を装ったのです。

ソーカルが論文の真意を公開した後、この事件は学術界に大きな衝撃を与え、学術誌の査読プロセスの重要性、学問分野間の対話の方法、および科学的根拠に基づく主張の価値について深い議論を引き起こしました。この事件は、学術的な誠実さと厳密性の維持がいかに重要かを示す典型例として広く引用されています。

具体的な矛盾点を知りたいです

ソーカルの論文における具体的な矛盾点や誤用例は、科学的概念を根拠のない文化的、社会的主張に無理やり結びつけたことにあります。以下は、そのような例のいくつかです:

  1. 量子重力と社会構築主義: ソーカルは、量子重力の理論が社会と文化の構築物であると主張しました。このような主張は、科学的理論が客観的現実を記述するものであるという基本的な理解に反します。科学理論が社会的、文化的要因によって完全に形成されるという考え方は、科学的手法や客観性の概念と根本的に矛盾しています。

  2. 数学の概念の誤用: 論文では、数学の概念や定理(例えば、ゲーデルの不完全性定理)が哲学的相対主義や社会学的主張を支持するために引用されました。しかし、これらの数学的理論はそのような目的で設計されたものではなく、そのような文脈で使用することは完全に不適切です。

  3. 科学用語の無関係な文脈での使用: ソーカルは、科学用語を完全に異なる文脈で使用し、その結果、意味をゆがめました。例えば、物理学の「相対性理論」を文化的相対主義と結びつけることで、科学的概念が社会的文脈に依存するかのような印象を与えました。

  4. 非論理的な結論: 論文では、科学的、数学的理論が社会的、政治的目的に奉仕するという結論に達していますが、これらの結論は提供された証拠や論理的推論から導かれたものではありません。ソーカルは、非論理的な飛躍を敢えて行い、学術的な議論の体をなしていながらも、その内容が根本的に矛盾していることを示しました。

これらの矛盾点は、ソーカルが科学的な概念を意図的に誤用し、非科学的な主張を支持するために引用したことにより、学術誌の査読プロセスと学問的な厳密性に対する重要な議論を呼び起こしました。この事件は、学術界における検証の重要性と、学問的な誠実さの維持を強調するものとなりました。

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