日本の思想家たちが注目したのは、欲望の生産がいかに歴史的文化を実際に脅かしているかということであった。これらの知識人は、西洋、特にアメリカから連想される物質主義や消費主義を「克服」しようとした。彼らは、文化的真正性に根ざし、芸術、記憶、共同体などを通じて日常生活に意味を吹き込むことを目的とした近代を提案した。本書は、柳田国男、戸坂潤、権田保之助、今和次郎らの作品に見られるこれらの思想を、ジンメル、ジークフリード・クラッカウアー、ベンヤミン、バタイユらヨーロッパの作家の主張と関連づけながら紹介する。