『黄昏の百合の骨』恩田陸 読んだ

寝ながら本読んだら目がいたくなりました!!


そういえば煩悩が
My most favorite 恩田陸 syosetsu
『私の家では何も起こらない』
を読んでくれているんですが、
仕事中になのかな?そしたら無理か
あのね

恩 田 陸 作 品 は
ピ ア ノ ク ラ シ ッ ク を
流 し な が ら 読 め

マジで味変わる。
シンプルに文章が入ってきやすくなるし、
描写の濁りも彩りも鮮烈になる。
最高の時間をやってくれ。以上。
無音で本読むのが大好きな人もいるけどね


恩田陸 理瀬シリーズ。
短編集にして物語の予感を描く
『三月は深き紅の淵を』
湿地の中に浮かぶ、檻のような学園時代を描く『麦の海に沈む果実』
大人の男女が旅をする中で謎を語り見つめる
『黒と茶の幻想』
に続く4作目。

いや〜べらぼうに読みやすかったな
後半ネタバレあり


あらすじ
強烈な百合の匂いに包まれた洋館で祖母が転落死した。奇妙な遺言に導かれてやってきた高校生の理瀬を迎えたのは、優雅に暮らす美貌の叔母二人。因縁に満ちた屋敷で何があったのか。「魔女の家」と呼ばれる由来を探るうち、周囲で毒殺や失踪など不吉な事件が起こる。
将来への焦りを感じながら理瀬はーー。


全体的な感想

麦の海に沈む果実で青の丘を出て、
イギリス留学を経て
元の家に帰ってきた理瀬のお話ですね。

祖母が死んだ。本当に事故死なのか。
今暮らす叔母二人の思惑は?
祖母が家に隠しているものは?
居なくなった少年に何があったのか?
誰が誰を殺したのか?

いや、あの、まず黄昏の百合の骨、
単体でいいミステリーになってる。
なってんのかなー?
もう贔屓目抜きに見ることができないよ
恩田陸作品の幻想系は普通に伏線の辻褄合わないことあるからミステリーってかゴシック……何……サスペンス……何小説って感じ

〈ゴシック……何……サスペンス……何小説〉
これは理瀬シリーズ全部そう。
重厚なオペラ舞台を思わせる文体で不穏な謎、事件が起こり、主人公も周りも何かを抱えている。謎は謎を呼び、全てを巻き込み思惑を詳らかにしながら物語は収束へと向かう。いくつかの伏線をぶん投げてなにか確信めいた眼差しを空、その向こうのいつかの運命に向けてエンド。
いや私はそれが大好きなんですけどね

んで当然、今作は麦の海に沈む果実を完全に読んでた方がいい。ヨハンとか黎二とか(名前は)出てくるし、校長出るし。

おばあちゃんが死んで、
家に何かが隠されてることを
ほぼ皆が知ってて、
それを探しながら互いが隠してることも探りながら……。みたいな
おもれ〜!


そんでまー!読みやすかった!
麦の海に沈む果実の重いこと重いこと!
文体もザッハトルテ的な濃厚さがあるし幻想的で人が多くて謎が多くて舞台にふさわしいどんよりとした曇り空の世界でさ〜読むのに時間かかったもの〜

理瀬シリーズ、何回でも言うけど本当〜〜に文体が好き。世界観も好き。辻褄とかマジでどうでもいいんよ
(実際辻褄は別にぐちゃぐちゃではない。後半のどんでん返しから得られるカタルシスや人物相関から納得出来る謎解きにはなっている。
それ以上に世界観が好きすぎるだけ)

灰色 幻想 思惑 視線 気づき 謎 秘密 裏切り
官能 共犯 欲 過去 支配 愛慕 とか
雰囲気で言うとこういう……分からんか

妖しくて艶やかで謎めいた、あちら側の世界
一歩踏み入れたらもう戻れない感じ
そして例によって例のごとく
登場人物の殆どがすんげー頭いい 頭よすぎる
聡明な人々……交わされる言葉と視線……。
すき……。

けど麦の海(略)に比べて黄昏(略)は
めっちゃ読みやすかった 何でだろう……。
理瀬視点がかなり固定されてるし
謎めいた舞台!!巻き込まれた少女!!
と言うよりは
事件と屋敷と人々の謎を主体的に解こうと
してたからかなあ
心做しか文体も現実的だったし

いや〜まあ 麦の海から読んで欲しいですけどね
本当は三月は深き紅の淵を
を読んで欲しい こーーれは本当よかった
すごく上品なものを見せて貰えますよ

上品で言えば(?)
理瀬シリーズ、てか恩田陸作品全体的に
かなり官能的
誰と寝ることもあんま厭わない
これは夜の世界……的な話ではなく
なんだ……蜜月って感じ
伝われ(伝わらない)
友情と愛情と肉欲の壁が薄い
儚くて美しい友情や家族の信頼が
紙一重で性愛に繋がってしまう感じ
なのに上品なんですよ なんかずっとさ
いやあ……麦の海も黄昏も、ね
理瀬が魔性の女すぎるんだよな

淡々としてるのに人を一瞬でオトしてしまう女
読者もそう 惹き付けられてしまう


ネタバレあり

いや〜どうオチをつけるのかとヒヤヒヤした
400頁しかないのに300頁の時点で
何も明らかになってないんだもん

うん、綺麗にオチたかと思います
何様?すみません……。
いやーー麦の海は幻想にバチ振りだったから
結局何〜!?!?!?ってことも多々あって
それもまた物語を謎めいたままにしてくれてて
小さくまとまらない感じも良かったし
予感の描き方としては最高だったんだけど

完全に事件起きちゃってるし
謎解きに来てるからちゃんと解いてて助かった
いや〜姉妹怪しすぎて
外部犯のこと考えてなかったな〜
まじでミステリーに弱すぎる
物語のどんでん返し一回もわかったことない

あのさ〜理瀬さ〜
幼少期十数年を共にすごした
従兄弟とどっちも関係持つの辞めようよ〜
正確には兄とは持ってねえか
あれ?どっち兄?どっちでもいいわ

なんなら同級生ともいい感じになってるしさ〜
人が死んでる横でときメモすんなし

閉塞感よかったですね
青の丘とかいう圧倒的閉鎖空間から出て
どうなるかと思ってましたが

百合の香りを終始強調されて、
むっと目の前を塞ぐあの香りの感じが
思い浮かばれてよかった
百合ってのもな 謎っぽいしな
雰囲気がすんごいのずっと すんごい

まあ真相は いいと思いました
真相が!!!!!すごい!!!!!
とは別にならんかったけど

あぁ、終わり方で言うと姉妹の姉は良かったな
理瀬ってすげーー権力者の跡取りなんですけど
競争相手がいっぱいいるのね
兄弟が死ぬほどいて互いに貶めよう、
あわよくば殺そうとしてる
だからその刺客として叔母の姉の方がいたわけ
裏切り、からの実は味方、からの裏切り
いいじゃない……。
雇い主、麗子なのかなあ 違う感じもする

あと猫が死んだの完全に百合のせいだと思ってたのに全然ちがくてウケた
そこ伏線じゃないんか〜い
まあ百合は死臭を隠すもっとヤバいブツだった訳ですが。いいよね。館に隠された死体。しかもそこから話が始まるんじゃないってのがかっこいい。これだけのかっこいい要素を詰め込んでるのに全部の要素を矛盾なく繋げてるの天才すぎる 天才です。〈認定〉

全体的に厨二病ではあるよね
いや表現失礼かて
でもさ!!
裏側?の世界を知らされない従兄弟に
「そちらの世界の闇はそんなに暗いのか
 (意訳)」
とか言われて
『分からない。私にも、ヨハンにも、
パパにも。こちらの世界の闇がどこまで
広がってるのかなんて、分からない。(意訳)』
的なことを理瀬は考えるんですけど

かっこい〜……!

なんかもうすごいっしょ(語彙力)
かっこいいのよ……純粋無垢に暴力的なかっこよさ
カッコつけすぎてるのにかっこいいの
大好きじゃんそれはさ


は〜〜〜〜次はとうとう婚約者ヨハンとのお話らしいですわ〜〜!!!
新作 最新作 イギリス留学の時の話
黄昏の前か後かは分からん 後じゃないかな
楽しみですわ〜〜〜!!

意外と早く読み終わってよかった
5時間くらいかかるかと思ってたので
2日に分けようとしてたけど文体is大事だな
しかし思い出そうとして麦の海に沈む果実開いたらマジで全然何も覚えてなくてヤバい
読み返さなきゃ
うーわ楽しいじゃん絶対
いや無理〜時間かかる〜疲れる〜

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