『傲慢と善良』辻村深月 読んだ

本当にすごい


ふわふわあらすじ
婚活の中に付き合い始めた西澤架と坂庭真実だが、ある日突然真実が失踪する。
上京する前の実家暮らし時代、群馬で交際を断った人間にストーカーされていたという真実。彼女を探す架は真実の過去と向き合うことになる。


いや
本当にすごい
一部と二部でだいぶ違うんだけど
出来れば二部の感想を目にする前に
この本を読んで欲しい
ネタバレ要素もあるし

本当にすごいよ……。


大まかな流れというか紹介

西澤架.......39歳。父の会社を継ぎ自営業を生業にしている。顔も良く、気も利くが結婚を決断する力がなく元カノにフラれる。婚活アプリで真実と出会い、交際。真実のストーカーが真実の家に上がり込んだことをきっかけに同棲、結婚を決意。

坂庭真実.......35歳。群馬から2年前くらいに上京してきた。真面目でいい子、過保護な母親がいる。失踪半年ほど前からストーカー被害に遭っており、失踪2ヶ月前家に電気がついていたことで上がりこまれたことに気づき、架に助けを求めた。


一部

ストーカー被害に遭っていた真実が失踪、
架は過去に関わった男にその犯人がいると
考えて群馬に足を運ぶ。

彼女の両親や結婚相談所で関わった人々、
元同僚などに話を聞くうち、
婚活に苦しんでいた真実の姿が浮び上がる

誰かに愛されながら結婚相手を決めない
架の傲慢さ、
「いい子」「真面目」な
真実の善良さ
結構「傲慢」「善良」は作中でもしっかり
言葉にして取り上げられてる

群馬の田舎感すごい
過干渉する母親、狭すぎる世間、
飛び出していく人間と飛び出せない人間
心当たりがありすぎる

私は親の言いなりタイプなので
これを親に読ませたらどう思うんだろう
という所感

子供のことを信じたことがないから
子供のことを信じない。
1人では何も出来ないと思い続けたくて
心配という言葉で支配する。

周りの言うことにただ頷いていたら
自分の意見というものがなくなった。
それでもプライドや好みは消せないから
妥協も出来ず何も得られない。

自分につけている値段が高すぎるから
人を自分に釣り合わないと考えてしまう
決定力不足に反して自己愛が強すぎて
結婚できない。

やめろ〜〜〜!!!


辻村深月ってそういうところある。
真実の刃が鋭すぎる
ずっと本当にきつかった
結婚の話もそう、自己決定の話もそう、
思い当たりがありすぎる
行動力はないのに理想は高い

やだ……やめて……怖くなるから……人生が不安になるから……本当にやめて……でも読んでしまう
本当にそうだから

作中、徐々にいい子だった真実の像が
いい子であるがゆえの傲慢さに
変換されていく。
ここら辺はホント読んで欲しい
説明ができない

人が誰を選び誰を選ばないか、
誰に選ばれるか。
プライドと現実の差、
俗に言う女の嫌なところ、
自分の年齢と周りとの差異、焦り、
なんかもう
嫌ですね!!!!!

あと作中の女友達本当に良くないと思いました
シンプルに嫌な奴やんやめろよ
必要なんだけどさ
私の友達にこんな奴おったら泣くわ

辻村深月特有のガッッッとした
急展開で前半終了


以下ネタバレすんごい


二部

真実目線のお話。
どんでん返し後なのでネタばらし的な要素も
一部で善良からくる傲慢の像を示された
真実目線の自己正当の描き方ったらすごい

いや辻村深月は自己正当化批判の描写
本当にずっとすごいよね まじで
見ててすごく痛む 私を批判されてる気分になる

すげーよ


作中の話。
ストーカー被害が嘘だったことが
架の女友達にバレていた、
しかもめっちゃ嫌味言われたし
嫌われすぎてる

そう ストーカー被害って嘘なんです
架はそれを信じ続けてたけど
架の女友達にはめっちゃバレてたし
タイプが違うから超嫌われてた
架は都会育ちの陽キャなんだよね
女友達もそう ちょっとマジ性格悪いけど
真実は田舎の箱入り娘だから
空気合わなかったんやろな

挙句の果てに
「架、あなたを70点なんだって言ってたよ
元カノは100点なのに妥協されてるんだよ」
みたいな事を言われてめちゃめちゃ傷つく

傷つくんだけど
なんというか傷つき方が被害形すぎる

表現ムズいけど
「私はこんなにいい子なのに
どうしてもっと心から愛してくれないの」
みたいな感じ
これも自己愛の強さだよね

女友達に
この人は架のことが好きなんだ
他の人と結婚しているくせに
だから私みたいな嫌いな人間が
好きな架と結婚するのが許せないんだ
みたいなこと言ってて
そういう男女のゆらぎもさ〜〜
描くよね〜

短編集
「噛み合わない会話と、ある記憶について」
でも描いてた
この短編集マジで心の避けてた部分に
グサグサ来るので元気な人は読んだ方がいい

親の支配に気づき、架の妥協を知り、絶望

過去の婚活相手が幸せそうな家族を築いて
いるのも目撃してしまう

自分だってあんな「いい人」を恋愛対象に
見れたらどんなにいいか。
キスしたくないという理由で断ってはダメなのか。話が続かないという理由で断ってはダメなのか。
理想が高いって、なんだ

↑↑↑これ↑↑↑まじ↑↑↑それ↑↑↑

理想が高い、自己評価が高い
そこが無ければさ もっと楽だよね、人生


なんやかんやあって

1人では何も決められない人間だったのに
過去婚活相手に聞いたことのある団体を頼り
ボランティアで東北に行って
深く関わったことの無い人と
心の交流を重ねていく。

いい子であるがゆえに傲慢で世間知らずだった
真実が自分の足で人の役に立ち、
ふとした優しさや言葉を知っていく場面は
前半と同じ小説だとは思えないやさしさ

後半の優しいこと優しいこと
前半であれだけ私のHPゴリゴリに削ったこと
忘れてないからな???

終わり方めっっっっちゃ良かったです

てか架が良い奴すぎ

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