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Impending Doom / Hellbent(2021)〜ベテランデスコアバンドの奏でるGORSHIP〜

カリフォルニア出身クリスチャンデスコア、3年振りのEP。
Whitechapelやスーサイなんかとほぼ同時期にデビューしたベテランバンド。
2013年頃まではポンポンと作品をリリースしていたが、その後のアルバムが2018年、そして3年振りの本作はEP形式。

シーンの流れがあまりに凄まじく、ここまでスパンが開いてしまうとどうしても世間の注目度的にも下がってしまう。もう少しハイスピードに活動してほしいってのはぶっちゃけある。かなり好きなバンドなんで。

便宜上クリスチャンデスコアと表現したけど、ボーカルのBrookは自分達の音楽を“Gorship”(GoreとWorshipを掛け合わせた造語)と名乗っている。

サウンド的にはデスメタル由来のリフや高音メロディーとシンプルな刻み、ブレイクダウンなどを用いるオーソドックスなサウンド。Brookのボーカルはどこか荘厳な響きを持っていて、グロウルやハイピッチも魅力的だけどミドルのスクリームがえらくカッコ良い。

前作『The Sin and Doom Vol.Ⅱ』ではグルーヴを強化しつつも、デスメタリックなフレーズや高音ギターとの対比でニューメタルテイストとのバランスを上手く舵取りしたように思う。この手法自体はWhitechapelがいち早く取り入れていたけど、アルバム全体のクオリティーとしては非常に高かった。で、今作でもその路線は踏襲。

#1「Satanic Panic」は最高にグルーヴィー。ってかこの曲まじでめちゃくちゃカッコいい。まさに前作の路線を真っ当に進化させた感じで、アンセミックな歌詞も中毒性が高い。最近のデスコアバンドみたいな派手さは無いけど、かなりのキラーチューンだと思う。

#2「New World Horror」はカタカタとデジタライズされた音にリズミカルなグルーヴリフが絡み、バックでは高音ギターが鳴り響く。今までのImpending Doomと同じ手法だけど、本作はミックスの影響なのかとてもヘヴィーに聞こえる。

#3「Culture of Death」はガツンガツンと刻みながら、ニューメタル的なグルーヴを織り混ぜ、呪詛のようなボーカルスタイルなどを組み合わせた曲。どこか荘厳な雰囲気が出ているのがこのImpending Doomの特徴。

タイトルトラック#4「Hellbent」はImpending Doomらしいシンプルな刻みから加速→テンポダウンという王道ナンバー。

#5「I Must End」は冒頭から“Ughh!!!”とか“Blegh!!!”を連発する00年代デスコア。とはいえほのかに香るニューメタル臭は最近の彼らを踏襲してるね。

派手さは無いけど、Brookの個性的なボーカルはやっぱり良いし、前作あたりで培ったニューメタル要素も悪くない方向で活きてきている。

なんだか最近のデスコア界隈は小出しにすることが多くて、個人的にはフルアルバムで楽しみたいってのはあるんだけど、時代が変わったからねえ。

★★★★

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