【癖はとれません!】

昨晩は会議用zoomアプリを使ったプチ発表会でした。私の演目は、(1) 夏の庭より「思い出」(セルジオアサド)、(2) Green Season「緑の季節」(佐藤弘和)の2曲です。

数年前から弾き方を改善してきています。しっかりプランティングして、瞬間的に指を離す。よく響いた、つまりたくさんの倍音成分を含んだ音がする。幼少の頃からレッスン受けてきた演奏家の方々は、耳が訓練されているので、おそらく無意識で、いとも簡単にそのように弾いているのだろうと思われます。私の場合は、強く意識しないと、綺麗な音が出せません。昨日は、そのことを実感しました。

昨日の1曲目はつい最近練習しはじめました。最初から最後まですべて新しい弾き方で練習して覚えています。つまり、演奏をはじめますと、何も考えなくても、ごく自然に新しい方の弾き方になります。(演奏の善し悪しは置いておきまして)、響きに関しては、曲の最初から最後まで、どの音も綺麗に鳴っており、倍音の響きの凸凹は感じられませんでした。

2曲目は以前から弾いている曲です。楽譜を見ながらゆっくり弾きますと、よく響いた音で演奏できます。ところが昨晩は、楽譜から目を外した隙に、演奏箇所がどこなのか?がわからなくなりました。しかも、1曲目の楽譜がそのままだったので、後半の楽譜が見えない。暗譜で弾き始めますと、いとも簡単に、昔の弾き方に戻ってしまう。昔の弾き方のほうが滑らかですし、安定しています。ただし音に関して響きが足りないんです。

演奏中に「不味いなあ、昔の弾き方に戻ってしまったよ」ということがわかる。しかも「人差し指と中指はちゃんと弾けているけど、薬指と親指の音が響いてない。どうするべー」と思う。16分音符のアルペジョが続くのですが、そのアルペジョのなかに、飛び飛びで響いてない音が混ざってしまいます。ここで一旦演奏を止めて、気持ちをリセットすると、ちゃんと弾けそうな気がします。曲はそのまま進んでいますし、最後まで休符がない。弾き方を戻せません。ということで、曲の途中から響きが凸凹になった。変な演奏だったかもしれない。ただし、聞いている人は「響きが変だねー」と気になる方もいるけど、もしかしたら全く気付かないかもしれない。

しっかり楽曲を分析して、頭で覚えたものではありません。私の場合は、なんとなく一連の筋肉の動きとして『雰囲気』で覚えています。つまり、暗譜しているのではなくて、繰り返し練習することでいわゆる『癖』になっているだけです。弾き方を改める作業は「昔ついた悪い癖を矯正する」ことですが、『強く意識して、しっかり頭を働かせてトレーニングしないと、これはちと無理だわー』ということがわかりました。一旦付いた癖は根が深くて、その癖を取り去るのはとっても難しい。おそらく歌でも管楽器等でも、いままでの弾き方を新しい方法に変えると、似たことがあるんじゃないかなあという気がします。

そこで気付きました。昔覚えた曲を再度1から練習し直すのは無理しなくてよいでしょう。いままで弾いたことがない曲を、新たに練習すれば良いと思います。昨日の演奏会は、本来は「バッハの曲を弾こう!」というものです。たとえば今後はバッハの曲などを新たに練習する。気持ちも新たになるし、それも悪くはないなあと思います。