「style」全曲解説 M13.羅針盤
「羅針盤」が出たとき、僕はその発表記事で次のように書いていました。
この自己評価が本当に妥当なものだったかどうか、自己採点してみましょう。
「夢を口に出してたから多くのひとに応援してもらえて、みんなと夢を共有できた」という部分が個人的に引っかかります。
出来すぎているというか、意図的に美談っぽく書いた記憶が、ぶっちゃけ、ある。
皆さんの応援のおかげで活動が出来ているということは間違いないので、問題は「夢を口に出したから共有できた」という部分についてです。
正直なところ、「口に出して共有すればよかったという後悔」をテーマにしている、と書いたほうが正確です。
世の中、何をするにもいろんなタイプの人がいて、こだわりの焙煎で究極の一杯を悦しみたい人もいれば、コーヒーなんてマックのテイクアウトで十分だよっていう人もいる。
前者のタイプは、たとえばファミレスのドリンクバーで10時間おしゃべりなんて出来ないと思うんです。
これは焙煎にこだわるのが良いとか、ドリンクバーでおしゃべりするのが低俗だとかいうことではなくて、人にはそれぞれタイプがあって、タイプによってその人にフィットした生き方がそれぞれ異なる、ということがポイントです。
音楽も、いろいろですね。
バンドも弾き語りもブルースもロックもテクノもEDMもなんでもあって、それぞれに「合う / 合わない」がある。
他ジャンルとの掛け算で深みが増すということはあるけれど、ブルースやってる人がクラブに行ってもピンと来なかったりするし、そういうミスマッチって意外と身近で良く起きていると思います。
ミスマッチが起こる原因は、自分がどんなタイプなのか把握していないからだと思っていて、自己啓発本みたいな言葉を使うと「自己分析が足りていないことが原因」だと思います。
回りくどい言い方をしましたが、僕は音楽においてどちらかというと職人気質タイプなんです。
というよりは、そもそも職人気質な性格で、音楽においてもそれは同じだよっていう感じです。
職人気質というのは、社会的な成功とかコミュニティへの影響力よりも、自分が納得いくやりかたをやり切れているかどうかのほうが重要な尺度になっているという意味です。
たとえば最近僕もボディメイクを始めました。逆立ちしたってボディビルに出れるような、他人様に見せられるような身体ではありませんが、まぁそれでも、体重を8kgほど落として中性脂肪の数値は半分になりました。
食事は日々摂取する栄養素をエクセルで管理していて、一日2000kcalを目安にコントロールしています。そのためリハスタやレコスタでも鶏むね肉の弁当を食べたりしています。休みの日は泣きながらスクワットします。
そんな僕の生活を見て、他人は、何か目標があるのかと問います。
目標はなくて、強いて言えば「痩せたままでいること」とか「リバウンドしないように気を付けること」となります。
まぁ、クリスマスイヴにマグロの赤身と納豆を食べて脚トレしてるような奴は周りからちょっと変な目で視られるのも無理はないと思います。
話が逸れましたが、僕の場合ボディメイクは目標に向かって突き進んでいるというよりも、自己規律を持って日々自らを鍛えることに価値を見出していると言ったほうが正確だったりします。
音楽においても、自分の根底にはそういった“イズム”が流れていると思います。自分が納得できているかどうか。他者との比較ではなく絶対比較が基準になっていて、品質基準が市場ではなくて自分の中にあるタイプ。
その生き方の是非はともかくとして、基準が市場に無い人間が音楽マーケットで戦うことについてどう考えてるわけ?というのは、納得の行く答えを提供し続けねばならない問いです。
もはや「羅針盤」の解説でもなんでもなくなってしまいましたが、今日ここに書いたのは普段僕が考えていることの一部でした。
そんな風に自分のこころの何割かでも、音楽を通して表現できるのなら、少なくとも続けてきた価値はあるよなって思ってます。
「羅針盤」はアルバムの13曲目。下記リンクから試聴できるのでチェックしてください!
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