芹沢あさひ論(天性と天然の相互関係について

アイドル文学論
提出日 2023/07/08
所属 文学部 小説・論文コース
氏名 進藤洸一朗
学籍番号 370L59-3

1.はじめに

 今回の課題、アイドルについての魅力を定型的な言葉を用いらずに評せよという課題に即し、私は長らく好んでいるアイドルユニットの一員である芹沢あさひさんへの私なりの私見を綴ろうと考える。

 そもそも何故芹沢あさひさんなのかと言えば、彼女のテレビ番組やインターネットの配信で見せる奔放な姿とライブ上で見せてくるパフォーマーとしての姿の二面性、率直な言葉で示せばギャップ性に私を含めて惹きつけられる、魅了される者が多いのは何故なのか、あらゆるデータを参照して俯瞰していくと、とても興味深い事実が判明したからである。

 本論に入る前に一つだけ整理しておきたいのは、今回の主題は芹沢あさひさんに関するメディア作品、ここ最近出演しているライブや他メディアからの引用を多々行いながらも、それがあくまで編集された物、必ずしも芹沢あさひ自身の意志が直接的に反映されている物は数少ない事を留意しておきたい。

2.芹沢あさひを読み解く

 まず、彼女が所属しているアイドルユニット、ストレイライトに関してのライブ時のMCを纏めているgoodidolnews(流星出版社)の35ページ目からMC部分を引用する。

>「みんなー! 楽しいっすか!」
 ステージ上で才気走るパフォーマンスと歌声を披露したあさひちゃん。その格好良さからガラッと変わって年相応の弾ける様な笑顔を見せる。クールなパフォーマンスからの天真爛漫さが凄い。
>「でもわたしが今一番、楽しい!」

 また、ストレイライト主体で行われたワンマンライブに於いて音楽情報サイト、nicepopにて掲載されたライブレポートにて、芹沢あさひさんのパフォーマンスに関するアイドル評論家の茂木田雄介氏の評論の一部を引用する。

>ストレイライトのライブは常に精密でありながらも、ことさら中心である芹沢あさひさんの予想外の動作、ファンも予期できないアドリブ力に驚かされる面がある。timelessshootingstarの披露後、芹沢さんは突然叫びながら会場内を走り出す。これには観客はおろか、メンバーの黛さん、和泉さんも不意を突かれた様な表情を見せつつ、まるで歌を歌う事、踊る事に対する喜びを謳う様な彼女の疾走には誰もが目を惹きつけられてしまう。

 上記の参考文献から分かる様に、芹沢あさひさんの言わば自然体、どの様なライブでも感情の高まりや本能に従い行動できる衝動性が正確無比、凄まじい運動量を誇るライブパフォーマンスを経た上で実行できる点に天性のアイドル性を思わせる強みがあると私は推察する。

 また、芸能界に於いて子役と呼ばれる存在がいる様に、低年齢からのデビューはさほど珍しくはないが(かの宇多田ヒカルさんも15歳からのデビューである)この事について自身がメイド役で舞台を飾った際のインタビューを舞台で生きる(青雲社)の52ページから引用する。

>「芹沢さんは今まで舞台未経験という事で、様々な年齢層の役者さんと演技で共演される中でプレッシャーなどはありましたか?」
 緊張はしないです。
「凄い強気な……(笑)でも、自分と同じくらいの子供達や、あるいは下の子と練習したりする時に何か学んだり、こういう所は負けたくない、って所もあるんじゃないでしょうか」
 そうですね、私が知らない事とかあったら知りたいなって思うし、それがあるから面白いなって感じます。
(注略)
「芹沢さんは今14歳で色々な事に、この舞台もですしアイドル活動とかバラエティとか挑戦されてますが、挑戦心が凄いですよね」
 14歳だからってあんまり考えた事ないです。私は私自身したい事を見つけて、どんどん挑みたいです。楽しいから。

 記者の意図から逸れているという返答に思えるが、ここに彼女の特性が垣間見れる。何かと芸能人、及び芸能界は幼年期からデビューする事自体が特色として打ち出される風潮があるが、この発言から想像するに芹沢あさひさん自身は自らが興味の赴く仕事や経験があるならば年齢などに囚われず、この先歳を重ねても果敢に挑む、その覚悟が見て取れる。

 一例に最近の芹沢あさひさんのこなしたフィルモグラフィーに若年層を中心に多大な人気を誇るアーティスト、RIRI:KAの最新曲、howlingのPVにて起用された際の彼女の仕事ぶりを抜粋したい。

 今まで取り上げてきた仕事の内容は基本的に彼女の活発な面、ストレイライトとしてライブに出演した際の凄まじいダンス・ボーカルパフォーマンスや経験はまだ浅いながらもしっかりと存在感を発揮した舞台と能動的な活躍が目立つ仕事である。

 対してhowlingのPVに於いての彼女はひたすら「静的」である。元より曲が主体である為、台詞がない仕事である上、ダンスボーカルさえもない、映像上に映るのは広大な雪原の中、物憂げだったり意味深な表情を浮かべながらゆっくりと歩いたり手を広げて回ってみたりと、恐らく監督の指示であろう、終始彼女の活発さを封じられた動きである。

 ところがこれが大きな話題を呼んだ。インターネット上ではhowlingの配信ダウンロードが上位となると同時にPVでの芹沢あさひさんを未周知な層からあの女優は誰なのか、どんな人物なのかという興味から、検索ワードランキングで週間三位以内に入る快挙を成し遂げた。

 周知な層からはアーティストとしての一面とも、バラエティなどで見せる奔放な一面とも違う新たな魅力、ビジュアル面を最大限に表現した一面として更にファンからの評判を呼んだのが記憶に新しい。私自身もその一人である。

 さて、ここまで様々なアプローチから芹沢あさひさんの何がファン層を強く惹きつけるのかと言うと私見として三点の要素が挙げられる。

・ステージ上でのプロフェッショナルな姿
・自然体に新たな仕事に挑むチャレンジングな姿
・ステージ/それ以外でのギャップ性

 ここに私は彼女の「天性」と「天然」についての相互関係を見出した。今後彼女がどのような仕事を、自らの選択か事務所からの打診かは私達の知る所ではないが、恐らく彼女のスタンスから直感的に仕事の経験を積んでいくのではないか。

 その上で、舞台やPVの時の様に天性による正解を意識せず導いていくのだと思う。今、芹沢あさひさんは14歳。これから先15歳、16歳と大人びていくであろう中でストレイライトの活動と並行してどんな方面に進むのか、非常に興味が尽きない。

3.そして芹沢あさひは星をめざす

 改めて好きなアイドルの魅力、定型的な言葉を使わずに評する、という課題にしっかりと腰を据えて向き合った結果、なぜ自分が芹沢あさひさんの事が好きになったのかが様々な観点から見つめ直す事で分析出来た。

 一重に惹かれた理由があのチャーミングな姿からは想像出来ないほどパワフルでかつ挑発的、それでいて予想出来ない天真爛漫さで溢れたライブパフォーマンスと、女優やモデルとして活躍している時のガラッと雰囲気が変わって神秘的、あるいは年相応に奔放な可愛さを見せる姿の良い意味での二面性に私達はどうしようもなく惹かれてしまうのだ。

 ストレイライトの楽曲の一つにAnotherRampageという曲がある。その一節に「どっちの世界も本当なんだもん」というのが正にあさひさんを示していると私は思う。

 最後に、芹沢あさひさんが単身で歌っているソロ曲、星をめざしてに関してに触れたい。この曲はBメロからの賑やかで不規則なメロディのあさひさんらしさや、夜空に輝く星々から更に宇宙へと視野を広げ、まだ見ぬ未知の惑星に想いを馳せる素敵な曲だが、ここで特に注目したい点はサビで幾度か繰り返される一節、「私がいつの日か 星になれたならいいのに」だ。

 作詞家の方との擦り合わせやあさひさん自身の曲へのイメージ図はあろうが、私見を述べるとタイトルの未開の星に向かって飛び立つ、というのを飛び越えてる星そのものに、スケールのもう一段階を飛び越えて巨星として輝かんとするその目線その物がとても芹沢あさひさんたらしめていて本当に好きだ。

 あさひさんが今後どれだけ私の、否、私達の想像を超えて、遥かな銀河系へと踏み出していくのか、この先の成長に大いなる期待を寄せつつ筆を置く。

参考文献
・good idle news 流星出版社
・その迷光は限りなく眩くしなやかに ストレイライト初ワンマンライブ「next future」ライブレポート 文・構成 茂木田雄介
・舞台で生きる 星雲社

歌詞引用
・AnotherRampage
・星をめざして


※このレポートは一部フィクションです 

 

 


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