中学校におけるロボット教育シンポジウム
(この記事は、2011/01/24 に公開された記事です)
2011年は1月から科学技術教育ネタのイベントで走りだしました。
忘れないうちに書いていこうと思います。
富士山 新幹線より。
やや雪少なめ。
「中学校におけるロボット教育シンポジウム」
2011年1月6日(木) 会場:科学技術館
主催:日本産業技術教育学会ロボコン委員会
共催:NPO国際ロボフェスタ協会
中学校の技術家庭科・技術分野における、ロボットを活用した技術教育のシンポジウムです。現場の先生からの10件の実践発表。
とにかく”熱い”みなさんの集まりでした。パネルに参加させていただいたのですが、質問や意見、発表はそれはもう熱のこもったものです。こうした先生方が未来の技術者育成を支えているといえます。先生方はやはり話しがウマイ、かつ10分きっかりで終えていきます。スゴイ・・・。
パネルディスカッションではロボット活用教材の開発企業として、また産業界からの立場としてお話させていただきました。現場の先生、サポートする大学の先生、そして三菱総研の野口さんのお話と、とても勉強になった機会でした。
70名の枠いっぱいの参加で、定員オーバーでお断りしたのが50名あったという”熱さ”。1年後の技術分野「プログラムによる計測・制御」の必修化にむけ、気合が見えます。
※:中学校 技術家庭科・技術分野では「情報とコンピュータ」という内容で授業があります。この中に現在は選択テーマとして「プログラムと計測・制御」という単元があります。この中ではコンピュータの利用側よりも、コンピュータ、ソフトウェアをつくる側としての技術教育内容となっています。選択ですので、原則希望者の履修です。これが平成24年度施行の新学習指導要領からは「プログラムによる計測・制御」として全員必修とされ教科書も改訂されます。
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いくつかお話内容からと小林感想メモを。
(中学校の先生方より)
・ロボコンの勝ち負けにこだわる先生もいる。先生がロボコンにたいしてマニア化してしまう場合もある。教育の場としてどうあるべきか。(これはETロボコンでも同様の悩みあり)
・技術分野の授業時間が削減されている中でどう取り組んでいくか。時間短い中で参加できるような取り組みを。
・先般ある弁護士が生徒向けに講話した際、「特許や著作権といった知的財産は、ロボット分野で日本が一番、これからロボット分野をめざしてみては」とあったそう。(知財からモノの見方を示すなんざ弁護士先生エライ)
(野口さんのお話より)
・”科学技術”という抽象概念ではなくて、ロボットは具体的に語れるもの。
・科学の創造性と技術の信頼性の双方を必要とするロボット競技、アイディアがよくても技術の信頼性がないと勝てない。
・機能革新と信頼性が重要な科学技術社会。理科教育とともに技術教育が必要。(激しく同意)
・How to しか考えない技術者からの脱却をはかるべきでは、どういうものを世の中にだせばよいのかを考える。(How toしか考えないというのは、ロボコンにおいて”勝てばよい”と考えることと同様ではないかとも思います)
・人間とロボットの役割分担を考えることとして、ロボットに何かをしてもらうことを期待することで考えては。(これは昨年WRO Japanのロボット教育シンポジウムで東大の下山先生の発表に通じるものがあるなぁ)
・ロボットが活動しやすい環境=高齢者やハンディキャップを持つものに優しい環境になるのでは。
・科学技術の影響が大きくなった、道具としての科学技術から、人が科学技術をインフラとして利用するの豊かな社会へ。(同意)
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さてさて、シンポジウム後の懇親会にも30名ほどのご参加あり、これがまた熱心。東京工業大学名誉教授の森政弘先生とも楽しくお話させていただきました。森先生は日本でロボコンを提唱しはじめた方で、ロボコン博士とも敬意をこめて呼ばれ、ロボットの開発者は森先生のお弟子さんも多く。私は「技術は技道へ」というお話を以前お聞きして感銘を受けました。(柔術が柔道へ、剣術が剣道へ、・・・) WROの国際シンポジウムでこの「技術は技道へ」を他国指導者に紹介したこともあります。こうした活用を今回、森先生にもご了解いただけてこれまた嬉しかった。
森先生84才、お元気です。中学校の先生方のお話にて「お金ない」「時間ない」といったことはどうしてもでてきます。森先生「私が東工大でロボコンやり始めたころは、何を遊んでいるんだと見られた。お金なんか全然なかったし、そのための時間なんてものもなかった。工夫しましょう、ナイからなんて言っても何も起きない、実行しましょう」と。
森先生や他の先生方といろんな話しができて、とっても嬉しかった、楽しかった、心地よい1日でした。
よし、がんばろう。
科学技術館 (東京都千代田区北の丸公園)
館長は有馬先生。WRO Japan実行委員会・名誉実行委員長でもあります。
○○科学館、■■科学技術館、といったのは日本にいろいろありますが、「科学技術館」だけなのはここだけ。
科学技術館は財団法人科学技術振興財団によって設立・運営されています。設立は民間企業の寄付によるところ大きく。ひだりは設立時の寄付企業を記載した銘板。
(発表・シンポジウム紹介ページより)
(1)エネルギー変換における必修授業での実践 4件
(2)プログラムによる計測・制御における必修授業での実践 4件
(3)宿泊型ロボット学習の実践 1件
(パネルディスカッション・シンポジウム紹介ページより引用)
「中学校における今後のロボット教育の展開を考える」
パネリスト 司会:村松浩幸(信州大学教育学部)
佐藤正直氏(板橋区立赤塚第三中学校主任教諭:中学校現場)
山本利一氏(埼玉大学教育学部教授:技術教育研究)
小林靖英氏(株式会社アフレル代表取締役社長:ロボット教育関連企業)
野口和彦氏(NPO国際ロボフェスタ協会事務局長:社会教育)
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