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ロバート・プラントとタンバリン、1973年7月29日 前編
何を隠そう、私はステージでは世界で一番のロバート・プラントトリビューターになりたいと思っている。そのために日々のボイトレ、体づくり、歌詞の暗記などなど、研鑽を欠かさない…と言いたいところだが、怠け者なので、なかなかそういうわけにはいかない。だいたいみんなそんなものだと思うのだが、機材や見た目、目に見える形から入ることになる。ギタリストならば「ジミー・ペイジになりたいからレスポールだ!」とレスポールを買ってきて、チューニングしようとするやいなや、「あれ、ペグの形が違うじゃないか、ふむふむグローバーのゴールドか、よし交換だ!」てな感じになるのと同じで、本人が使っているものと同じ形、はたまた最終的には同じ機材を手に入れたくなってしまうのがなんとかの常。
ではロバート・プラントの形から入る、とは具体的に何から入ることを意味するのだろう。マイク、衣装、カツラ…いろいろあるけれども、今回取り上げたいのは「タンバリン」である。「ええっ、そこ!?」しかし、ロバート・プラントがタンバリンを振っている姿はとてもかっこいい…だけではなくプラントは割と「ちゃんと」タンバリンを振っており、そのプレイはZeppelinのライブ音楽の一要素を十分に構成している。決してデタラメやっている訳ではないのだ(もちろん日によってはあまりやる気のないタンバリンプレイはあるかもしれないが)。
例を挙げよう。プラントとタンバリン、といえばStairway to Heavenを思い浮かべる人が多いと思う。階段のソロでは中間の盛り上がり地点からいったんクールダウンする場面があるが、その時のプラントのタンバリンの叩き方が変化していることに注目してほしい。
プラントは基本16分で振りながら手と体でアクセントをつけている(この辺の言葉の使い方がわかっていないので間違ってたら教えてください)が、楽器隊全体のアクセントの位置が変わると、それに合わせてちゃんと振り方を変えている。いわば、ロバート・プラントのタンバリンは(オーディエンスのテープでは聴こえない事もたたあるけれど)レッド・ツェッペリンの音楽の重要な1ピースなのである。
ちなみにその再現を試みる私の動画は↓。
この動画での問題点
①首振りすぎ
②楽器隊のほう見すぎ
さて、そういう訳で、タンバリンは大事だ。だからプラントと同じタンバリンが欲しくなる。どのタンバリンを使っているのだろうと思い、いろいろとネットの情報を調べてみた。当初私が得た情報は下記の通りである。
①ロバート・プラントはラディックのタンバリンを使っていた(もちろん動画を見てみると、どこのタンバリンだかよくわからないものもある。例えば↓の3:03で右手に持っているもの。やたらとジングルの数が多い気がする。こんなやつ:https://www.pinterest.jp/pin/robert-plant--735283076634623342/)。
②ラディックのタンバリンにはヘッド付きとヘッドなし、そしてそれぞれにジングルが1列(Single Row)と2列(Double Row)のバリエーションがあ
る(上のリンク先で右手に掲げれているのがSingle Rowのヘッド付き)。
そして最初に手に入れたのが、ヘッドなしのDouble RowであるNo.95-2である。
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これはおそらくはプラントが75年の限られた時期に使用していたもの。いちばん有名な使用場面は上に埋め込んだ動画でも観られる、75年のアールズコート公演のアコースティックセットやStairway。日本のフリマサイトで購入した。ガッチリとした作りをしていて、振ってみるとかなり重たい。音にも重たさがありつつ、高音はとてもきらびやかかつ伸びやかでありながらキンキンしない。
しかし、書いた通り、このNo.95-2を使っていた時期は限定的なので、もちろんより広い時期で使われていたと思われるSingle Rowのものが欲しくなる。ただこれが結構市場に出てこないのです。しかし、とあるライブ後会場周辺の街をふらつきながら、ふっとメールアプリを開くと、そこにはEbayの新着商品リマインダーが。なんとSingle Rowのタンバリンがでているではないか!!速攻で購入し、待つこと約3週間。使用感はあるが念願のSingle RowのラディックタンバリンNo.95-1がアメリカから届いた。
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当然ですが、Double Rowより軽くて振りやすい。
さあSingle Rowもゲットしたぞ!StairwayでもThank Youでも何でも来い!と意気込んでいた矢先、事件は起こるのである。(つづく)