蜃気楼だったのかな
実家は山の上にあった。
見晴らしがよく、いつも遊ぶ場所からは空港もみえた。
夜になると離発着する飛行機のライトを見守ったものだ。
暑い夏の日、私は近所の同じ年の小学生Aちゃんと2人で遊んでいた。そして、ある場所に立つと景色がまるで変わることを発見した。目の前が空港になるのだ。大きな飛行機が動くのが見えた。
「ちょっとここに来て」
驚いた私はAちゃんを呼び寄せた。
Aちゃんも驚いた。
2人で飛行機に近づこうとすると
3歩あたりでいつもの光景に戻る。
元の位置に戻るとまた飛行機が目の前に見える。
信じられなくて2人で何度も行ったり来たりした。
不思議すぎて大人を呼ぼうかと思ったけれど、あいにくそこを通りかかる大人はいなかった。子どももいなかった。
大人を呼びに行こうか2人で考えたけど、呼びに行ってる間にこの不思議な現象が終わってしまうのではないかと考え2人で何度も行ったり来たりした。
しばらくすると本当に終わってしまったので大人を呼びに行かないで良かったと思った。
家に帰って母にさっきみた不思議のことを話したんだけど、母さんは台所仕事をしながら
「ふうん。それは良かったねえ。」 と言っただけだった。
よくあることなのかな?
私にはわからなかった。
ずっと後になって大人っぽい女の子になったAちゃんにその時の不思議について話したんだけどまるで
覚えてないみたいだった。
記憶を書き換えられたのかな?
あんな不思議なことを忘れることってあるだろうか?
私は今でもあれがなんだったのかわからない。
たまに蜃気楼について調べてみるんだけど、あんなにハッキリ見えるもんだろうか?
海上の蜃気楼は遠くにゆらゆらみえる。そんなんじゃなかった。20歩くらい歩けば飛行機を見上げられそうだったんだ。
誰かそんな経験したことある人いますか?
なんのはなしですか
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