街のヒミツ
「みんな知らないと思うけど
あの道はすこしおかしいよ。」
職場の1人が話しはじめた。
耳を傾ける私達に
彼女は続けた。
「普通はあの時間にあの道にはいかない。私は犬を飼っている。
犬を飼っているから、たまたまあの時間にあの道を歩いたんだ。」
あの道とは
この街に住む人誰もが知っている
緑豊かで車は通らない、秋には落葉で埋めつくされる、ごくありふれた遊歩道だ。
街は日本中のどこにでもありそうなごく普通のベッドタウンで、良識人達が毎日真面目な顔で住んでいる。
あの道がおかしいなんてことがあるだろうか?
私は固唾を飲んで話の続きに耳を傾けた。
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彼女の話を要約するとこうである。
日の出から、
人々が出勤し始めるまでの時間帯
つまり朝早くに
その遊歩道に行くと
出会う人出会う人
それは犬を連れていようが
連れていまいが関係なく
大変元気のよい
大きな声で
「おはようございます!」
と声をかけあっているのだそうだ。
それは
道ですれ違えば
顔見知りでもせいぜい
会釈を交わすくらいが
常識とされる
我が街では確かに異常な光景だ。
彼女ははじめ
「私この人と知り合いだっけ?」
と戸惑ってしまったという。
ところが出会う人出会う人次々に声をかけて来るのでついにこの道の異常に気がついた。
そして、しばらくして気がつくと
自らの口からも
「おはようございます!」
が飛び出ており非常に怖い思いをしたらしい。
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彼女の話を聞き終えて
身震いをした私達は
その遊歩道に新たな名前をつけた。
「おはようストリート」
私はまだ怖くて行けない。
おまけにとても近いのに
その時間だけは私は非常に忙しいのだ。
いつか行ける時が来たら
いってみたい気もする。
なんのはなしですか
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