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無題PART4 或は今ここで電話をかけろという秘術

その日夜子は珍しく仕事終わりにお洒落してた。
化粧もし直してルンルン気分だ。

「なんだおまえさんこれからデートか?」

彼氏なんかできる暇ないの知ってるはずの仕事押し付けてくる張本人がそんなこと言ってくる。夜子は呆れた。

(ったくめんどくせぇな!)

「今日は友達と久しぶりに呑むんです。朝からそれを楽しみにモーレツに働いたんです。残業はお断りです。」

夜子はキッパリ断った。

「友達と呑むのかあー。そりゃいいな。その友達っていうのはこのへんの子?」

「そうです。そうです。近くに住んでるのになかなか会えなくて、今日は本当に楽しみです。」

「伝われ私の牽制!」
 夜子は念じた。

「そりゃあいいことだ。単身で頑張っとるうちの娘が話を聞いてもらってお世話になっとる。俺からもひとつご挨拶しとかないかんな。」

「は?」夜子は虚を突かれた。

「あ、伝えておきます!ありがとうございます!じゃ!」

夜子は急いで体勢を立て直す。

「待て待て待て。今からその子に電話しろ。3人で一緒に呑めばいいじゃないか?」

はああああー?!

「絶対ヤです!!2人で呑みたいです!!!」

とんでもないよ。こっちは会社で毎日どんなことがおこってるか聞いてもらいたいんだよ!!特にしたいのはあんたの話だ!😹夜子は焦った。

「まあまあまあ、お前さんが嫌でも友達のほうがいいっていうかもしれないじゃないか。ホレ。俺が3人で呑もうって言ってると電話をかけろ。奢るぞ。途中でかわれよ。」

なんでこうなるの??
どうやって断るの??

夜子はヨンちゃんに電話をかけた。

社交的すぎる私の友達…。

ヨンちゃん頼むから断って😭。

「ヨンちゃ〜ん❣️大丈夫。大丈夫。間に合う。間に合う。それでさ、ちょっと変な話になってて、私の上司が3人で呑もうとかわけわからんこと言ってる。電話かけて代われって言ってるんだけど、代わっても大丈夫ー?」

大丈夫なんかーい😭。

「あーもしもし?ヨンちゃんさんですか?はじめまして、私夜子君の上司をさせてもらっとります○○と申します。いや、いつもね、うちの夜子君からあなたの話をきいておりまして、ずいぶん世話になっとるというもんですから、ちょっと私からもご挨拶をさせていただきたいと思っていたんですよ。今日ちょうど呑みにいかれると聞いたもんで、ちょうどいいと思ったわけなんです。ちょっと急な話なんですが…」

ヨンちゃん
断れ断れ断れ断れ断れ断れ
断れ断れ断れ断れ断れ断れ
断れ断れ断れ断れ断れ断れ


やっぱりヨンちゃんだ❣️


断らないー😭

かくしてヨンちゃんと夜子は
2人セットで銭湯に拉致された。

せっかくお洒落して化粧直しまでしたのにヨンちゃんともどもすっぴんで銭湯の飲食コーナーにいる。
意味わからん。

ヨンちゃんは
少しは飲める夜子も
みとめる大酒飲みだ。

銭湯でこんなににビールの食券を買うのは人生で後にも先にももうないと夜子は思いながら、まあいいかとも思った。

夜子は知っていた。明日以降銭湯で夜子とヨンちゃんはこの銭湯に出入りする人達の格好の話題の的となる。

しかし、ヨンちゃんはその目で夜子の上司をみたのだ。今まで話していて、そしてこれからも話すであろうへんちくりんな上司の話。これにグッと信憑性が増すのはこっちだって同じである。

つまりおあいこだ。


夜子は次にヨンちゃんに会う予定をいつにするか考えながら、自販機のボタンを押して、上司とヨンちゃんの分のおかわりのビールの食券をまた買うのであった。

蛍の光はまだ流れない。

私も飲みさしのジョッキを空けて
もう一杯飲んじゃおうかな。

夜子はふふっと1人で笑いながら考えた。


はい。もう一度確認します。
フィクションです。

それから今回のおさらいです。
ポイントは題名にしましたからもうおわかりですね!

「今ここで電話をかけろ!
 そして電話をかわれ!」

みなさんこの術には
気をつけましょう。

真偽を確かめる効果、
予定を勝手に書き換える効果を
相手に手渡すことになります。

全く関係ない話なんですけど
男の子ってなんで出掛けに
「宿題してない。」とか
車降りる時に
「傘忘れた。」とか
私に言ったって仕方ないこと
言っていくんでしょうか?
最近慣れてきて
ちょっと可愛く思えて
きちゃいました。

おしまい。

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