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足枷

脳出血で、左半身が麻痺した弟。
少しづつ、回復をして、杖をついて歩けるようになっている。

問題は、弟の身体の変化で、自分だけが、この家で一番の弱って、守られる立場ではなくなったと察した爺。

自分の嫁さんが、パーキンソン病になり、歩くことがままなくなったときにも、何をすれば良いのかわからず、すべての手間を人に押し付けてきたクズ。

自分が、一番、心配される順位から転げ落ちたとき、思考をすることもやめ、赤ちゃん返りして、また、すべてから逃げようとしている本物のクズ。

家族全員が、障碍者になっている。
呪われた家族。
ならば、すべてを消してしまえば良い。
クズを消す必要などない。
俺が消えればお前は生きてはいけない。

母親は、施設で、息子の死を理解できないまま過ごすだろう。
弟は、兄の死をちちおやのせいにして生き延びる。

死にたくても、自分で死ぬこともできないクズは絶望の中で、独り生き延びれば良い。

さて、自分はどうするか……
足枷になる女の子に出会ってしまった。
初めて顔をみた時に気がついてしまった。
慌ててもしょうがない。
でも、できる限り、この子の側にいなくてはならないと。
自分のためにも、この子のためにも。

もたれ掛かる、存在になるかもしれない。
でも、ふたりとも経験したことがない。
まちがえなく。
手を繋ぎ、お互いが、お互いを守りつつ、足を引っ張りつつ、時間を過ごさなければいけない。

永遠ではない。

先に消えるのは自分だ。

でも、自分がいなくなっても、一人で立ち上がり、新しい道を見つけられるようにしなくてはならない。

世界一可愛い女の子。
髪も固く、肌も滑らかではない女の子。
自分の未来を信じきれずにいる女の子。
眉毛の処理も、他の毛の処理も乱暴な女の子。

でも、すべてをキレイにしてあげる。

身体が細い女の子。
でも、オッパイの形と柔らかさ、固さは自慢できる美しい。
身体中の反応がとても良い子。

受け身でいることには慣れているけど、反撃のやり方がわからない女の子。

君が足枷になるから、俺は死ぬことをためらってしまう。
君が自分の美しさを恥ずかしがることなく表に出せるようにしなくては、と思っている。

一目見て感じたこと。
世界一可愛い女の子。
言葉が重いけど、声を聞きたくなる女の子。

世界一大切な。
自分の生きてきた中の最後に出会ったとても大事な子。
足枷として、ずっとついていて欲しい女の子。

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