イギリスでスーツを買う

背広の語源はサヴィル・ロウ(Savile Row)との説もあります。いつかは発祥の地イギリスでスーツを仕立てたりしたいものだ、なんてぼんやり思っていましたが、そのタイミングは思ったより早く来ました。

入校中の学校ではスーツ、ネクタイ着用です。
コースが始まる直前、日本から送り出した船便が届き、持ってきた1着と合わせてようやくスーツ2着体制になりました。
ずっと1着で頑張ってきましたが、これで1着クリーニングに出せます。嬉々としてフラット備え付けのアイロンでプレスしていたところ、肩の目立つ部分が溶けてしまい、修復不可能になりました。もはや、人前で着られる状態ではありません。
アイロンは壊れていました。サーモスタットが用をなしていないため、真っ赤になるほどの高温です。よくチェックしていれば、最初から溶けた繊維がついているのを見逃さなかったはずです。そもそも、「目立たないところで試してからスタート」、というのがセオリーだったはずです。(当て布も)

ところで、身長も180cmを超えると日本での生活に色々とデメリットが増えてきます。
吊るしのスーツが買えない、というのもその一つです。
大抵は、上衣の袖が短くて、ズボンは丈が足りません。ウェストを大きくしていっても、長さは一定なのです。
大きな専門店に行っても、サイズの合うものが一つもなかったりします。
溶かしたスーツも、セミオーダーでした。

さて、この局面をどう乗り切るか。
スーツ1セットのみで1年乗り切るのは絶対無理、クリーニングにも出せないし、もう一度アクシデントがあったらおしまいです。

真っ先に思いついたのは、慣れない土地で一からスーツを作るのは大変、採寸データがある日本の店で同じものを作って送ってもらう、というものでした。
しかしながら、そもそも国外縫製で、時間がかかり過ぎるのでやめました。1カ月くらいかかります。送料もなかなかです。

1週間だけさらに頑張って、週末、車で2時間のアウトレットに向かいました。
いくつかあるお店の中で、「M○SS BROS」にイン。その他大勢の冷やかしのお客さんの中にあって、相当買う気満々に見えたのでしょう。すぐに店員さんが来ました。
「今日はどういったものをお探しで?」
正直に、全てを話しました。懸案のサイズのことを伝えると。
「大丈夫!」
とのこと。良かった!

私のいでたちは、近所のツ○ヤに借りたビデオを返しに行くような、そんなラフな恰好だったのですが、ワイシャツを下に着ないと分からないからと、売り物のワイシャツを、包装をほどいて着せてくれました。
ズボンの長さも、見やすいからと、同じく売り物の革靴を持ってきて履かせてもらいました。
(シャツも靴も買わなかったのですが、特にワイシャツはどうしたんだろう、と思います)

スーツは「Regular fit」、「Slim fit」などのスタイル、胸回りでサイズをそれぞれ選び、袖は「短め」「普通」「長め」から選ぶ、というのが手順のようです。
ズボンはウェストと、やはり「普通」、「長め」の選択肢。
簡単です。

店員さんの見立てのとおりいくつかトライしてみると、あつらえたようにピッタリ、な組み合わせが見つかりました。結局、割引もあるので色違い、スタイル違いで2セット購入。
お値段は、日本でならA○KIの普及価格帯くらい(200ポンドほど)、大変にお得です。なにより、「お直し」なしでお持ち帰りできるのがありがたいです。

一般的な傾向として、ロンドンでは「Slim」か「Skinny」 fitの人が多いようです。皆さんぱっつり。そして、白以外、パターンの入ったワイシャツもよく見かけます。ネクタイもvividなものを含めて色々。
pocket square(ポケットチーフ)を差している人も多く、全般にスーツの着こなしがおしゃれ、です。
その代わり、カジュアルでは魔法が解けたように「いけてない」人もいますが。。

件の「MOSS BR○S」、2か月後靴だけ見に再訪しました。
前回は切羽詰まっていたのが伝わっていたみたいで、店員さんには上下サイズ含めばっちりと覚えられていました。

なお、「Savile Row」の背広は高すぎて断念。アイロンだけ買いました。(Sainsbury'sスーパーで10ポンド)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?