音楽日記

音楽、聴いてますか?

ぼくは相変わらずたいして聴いていません。

という方向性で書いていこうと思っていたのですが、意外とそこそこ聴いているんじゃないかと思い始めました。Spotifyの聴いた順でも9thワンダー、キース・ジャレット、スウェーデン・ランドリー、オルケスタ・アラゴン、HEIZE、シニード・ハーネットなどなどが上位に来ていて、どう考えてもふつうにたいして音楽を聴いていない人よりは聴いています。

じゃあどうして「たいして聴いていない」と思うようになったのか。

やっぱりお仕事で音楽を聴いていた時とは比べるべくもないからだと思います。月刊誌の新譜レビューやインタビュー、論考の参考音源などなど山のように聴かなければいけない音楽があり、自分の本当に聴きたい音楽すら聴けなかったような時期に比べたら、音楽を聴いている時間自体が大幅に減っています。

それに加えて、聴く時間だけでなく音楽について考える時間も減っているからというのもあると思います。音楽を巡る批評的な言説、特にSNSで繰り広げられるそれにうんざりしていることもあり、いろんな音楽を聴いても「ああ、いいなぁ」という以上のことは考えないようにしていました。

ここ半年ほどで音楽ではなくラジオを聴く時間がとても長くなったのですが、音楽専門の番組はどうにも肌に合わずほとんど聴くことはありませんでした。その代わりに、お昼のFMなんかで特別音楽好きではないふつうの方々が特別な思い入れを込めてJ-POPをリクエストしている様子なんかがとても新鮮に聞こえたりしました。音楽っていうのは、SNSで語りたがる音楽オタクたちのものではなく、そういうふつうの人々の心に響いてこそなんだ、と思ったり。

というわけで音楽をあまり聴いていないと思っていたらそこそこ聴いていた話ですが、これからは批評的なお遊びにならずに音楽について語れるような言葉を少しずつですが探していきたいと思っています。

以下は最近聴いていた音楽について。

9thワンダーの『Zion II』です。これは外出先で本を読んだりする時によく手が伸びます。インストアルバム『Zion』はシリーズ化されていて何作か出ているのですが、『Zion I』は内容というより音量にばらつきがあったので『Zion II』を聴いています。40曲ちょっとで1時間半ほどで、シャッフルしながら聴いています。一聴して9thワンダーだとわかるサンプリング・ビートから重たいドラムにシンセベースを鳴らすファンクまで多彩ですが温かみがあって柔らかい音色は共通しているので飽きずにずっと聴いていられます。

スウェーデン・ランドリーという韓国のアコースティック・デュオ。クラシックバレエをテーマにした韓国ドラマ『ナビレラ それでも蝶は舞う』の中でラジオのリクエストという形でスウェーデン・ランドリーの曲が流れるシーンがあり、とても印象的だったので聴いています。ぼくは韓国の音楽でもUSからの影響が濃いグループアイドルのK-POPよりもIUがアコースティックで韓国歌謡をリメイクした『A flower bookmark』のような作品が好きなので、このスウェーデン・ランドリーも心地よく聴いています。

オルケスタ・アラゴンはキューバのバンドで、Spotifyの中にも膨大な数のアルバムがありますがこれは1950年代頃の古い作品です。キューバをテーマにした村上龍の小説『KYOKO』の終盤にオルケスタ・アラゴンが流れるシーンがあったはずですが、オルケスタ○○○はリル○○○のようにたくさんあるので違ったかもしれません。最近ラテンアメリカ文学についての本を読んでいたので、その時のBGMにしていました。フルートやヴァイオリンを含んだ編成で、優雅というか牧歌的というか、ラテンらしい明るさの中に陰があるようなノスタルジックな音楽を聴かせてくれます。





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