あめ

 九月。

 僕が住んでいるタイの季節は雨季の最中である。毎日、雨が恐ろしいほど降ってくる。どれほど涼しくても、びしょびしょになるのは少し苦手だった。子供のころはそうなるのが好きなのに。
 
 見えない月、やむ気配のない雨天の下。
 2年前公開したファーストアルバムを思い出す。「雨天の偃月」だったっけ。振り返ると、大まかにテーマが決まっていたものの、それにあまり沿わずマスターリングもガバガバだったな、と。

 いつか小説作りに挑戦してみたいなー。

 実は、作文が大の苦手である。何を書こうかすら思いつかない自分は、どれだけ努力しても微妙なものしか仕上げられないだろう。なのに…いつかストーリーを考えて、文章を書いて小さな小説を書いてみる欲望が湧き上がる。

 テーマさえあれば、設定を作ることもわりと簡単にできるだろう。テーマが、ほしい。語彙力も、ほしい。

 そう考えている中、すでに強い雨が強まってくる。ああ、今日は帰るのが面倒くさいだろうな。

 傘を差して、大学裏の駅に向かった自分であった。

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