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Dream Guest 『一人目』

「わたしは海が好きなんです」


ディズニーキャラクターの中で『アリエル』が一番好きだと答えてくれた彼女は、ディズニーシーの『マーメイドラグーン』の中で、自分も人魚になったらなんてことを考えているのかな。


・女性
・十代
・18回(1回/年 今までにディズニーリゾートに行った回数)




「わたしのディズニー」



『ミステリアスアイランド』の吸い寄せられるような造詣に目を奪われながら、下に続く『海底2万マイル』のこれまた神秘的な作りに心躍る。
『プロメテウス火山』という活火山のすぐ側に掘られた海底へ続くこの大きな穴。
このエリアにいれば、まるで自分が本当に火山や海底を調査する調査隊の一員になったかのような気持ちになれる。

ネットで見た「ギョウザドックがあるのはこの辺りだったっけなー」なんて思いながら岩でできた大きなアーチの下をくぐり、『リフレッシュメント・ステーション』で売ってある”ポテト味”のチュロスの香ばしくも甘〜い匂いに後ろ髪を引かれながら先へ進んでいくと、今回のゲストのお気に入りの場所。
映画『リトル・マーメイド』の海底世界を模した、カラフルでその迫力に思わず声を上げてしまう『マーメイドラグーン』へとたどり着ける。


大小様々な貝殻やサンゴ礁、海藻などで形作られたこちらのテーマポート。
彼女は「アンダー・ザ・シー」の中まで入るのか。
それとも地上からすぐ側を流れる海を見つめながらその音に安らぎを感じ、太陽の日差しを跳ね返すキラキラした水面に、誰にも言えない日頃の想いをそっと溶けこますのかな。
それとも遠くに望む『アラビアンコースト』を眺め、心の中の異国情緒を求める気持ちを少しずつ刺激するのかな。

なにせ彼女のディズニーシーの中で一番好きなアトラクションは、目の前に広がるアラビアーンナ世界にあるんだから!


「ディズニーリゾートには年に一回くらいしか行けないし。家族としか行ったことないから、いつか”一人ディズニー”をしてみたい!」
車の中から少しずつ見えてくるディズニーランドの景色が一番好きだと語ってくれた彼女は、物心ついた時にはすでに隣にはディズニーキャラクターがいて、『ダッフィー』のぬいぐるみが友達でした。

そんな彼女は、「不思議な力を使うところが子供の頃から好きだった」と、好きなヴィランは『リトル・マーメイド』から『アースラー』
そして「自分の正義を貫くところが好き」とさらに『ノートルダムの鐘』より『フロロー判事』を上げてくれました。

「うーん。確かにミッキー達が活躍するショーも好きなんですけど、もっとヴィランズに焦点を当てたショーやパレードをして欲しいです。」と。
確かにディズニー映画やショーなどは必ず勧善懲悪。
悪いことをしたら懲らしめられるのが描かれてますね。
ですが、世の中のすべてを”正義”と”悪”に分けることは本当にできるのでしょうか?

ヴィランズにも『フロロー判事』のように己の正義を貫き通す信念があり、力で海を統治しようとしていた『アースラー』にだって野望がありました。正義という皮を被った悪は存在しないのか。
自分たちの正義を貫くために悪を滅しようとすることは果たして正義と言い切れるのだろうか。

まあ、ここまでは考えていないかもしれませんが笑
今回答えてくれた彼女はしっかりと自分の考えを持ち、そして物事の本質を小さい頃から見ていたんじゃないか。
インタビューをしていてそんな印象を受けました。


さあそんな思いにふけながら、カレー味のポップコーンに鼻腔を刺激されつつ歩を進めていると着きました!
入場規制が掛かるほど混雑していないとほぼ並ばず乗れるゲストさん一推しのアトラクション『シンドバッド・ストーリーブック・ヴォヤッジ』です。


ヴォヤッジ/Voyageとは「旅行」という意味らしいですね。
ボートに乗って『シンドバット』と小虎の『チャンドゥ』と一緒に海を渡り一緒に冒険の世界へと漕ぎ出すことができるアトラクションです。

ぼくも一度だけ乗ったことがありますが、正直彼女からこのアトラクション名を聞くまで乗ったことすら忘れていました。
しかし、インタビュー後に改めて公式のHPに載っている動画を見て、そしてそこから他の動画を見て回り音楽を聴いていくうちに、今では行ったら絶対に乗りたいアトラクションのベスト3に入るほどのアトラクションになりました。

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『人生は冒険だ』

『心のコンパスを信じて!』



「一体どこへ・・・」



彼女がなぜこの『シンドバッド・ストーリーブック・ヴォヤッジ』というアトラクションに心惹かれるのか。
それをなんとか感じ取れないかと画面を覗き込み、曲を聴いていました。

「まずわたしは海が好きですし、それにこのアトラクションの曲が好きなんです。」

インタビューをメモした紙を見て、意識を『シンドバッド』が歌う『コンパス・オブ・ユア・ハート』という曲に向ける。


「ではいってらっしゃい。良い旅を。」

「青い空高く 帆を上げて
 水平線の彼方を 目指せ
 夢のように 光きらめく
 宝物が 君を待つ」

こうしてぼくたちの冒険が始まる。

船は進み、幻想的な夜の街を抜けて嵐の海へ向かう。
そこでは人魚に助けられ、人魚は次の目的地を指差す。

「人生は冒険だ
 地図はないけれど
 宝物探そう
 信じて コンパス・オブ・ユア・ハート」

たくさんの人に出会って、時に手を差し伸べ助け、時に出会ったものたちに危機を助けられながら旅は続く。

大きな友達や空を飛ぶ友達。
新たな地で出迎えてくれる心優しき人たち。

嵐を超え、盗賊を倒し、魔法の楽器だって手に入れた。

そしてついに見つけた宝の山。
金銀財宝。

大きな鯨の背に乗って、月夜をBGMにしてシンドバットは高らかに歌い上げる

「宝石や 黄金より
 大事なものがある
 何よりも 大切な
 心の贈り物」

それは一体何だったのだろう?

「ついに見つけたよ 宝物
 宝石や 黄金じゃなく
 旅の中で巡り会った
 素晴らしい ぼくの”友達”

 人生は冒険だ
 地図はないけれど
 宝物探そう
 信じて コンパス・オブ・ユア・ハート」

旅の中で見つけた本当の宝物は、その道の途中で出会ったたくさんの友達、仲間だったんだとシンドバットとチャンドゥは気づいたんです。

アトラクションの最後には美しいコーラスでこう歌って、この大冒険は一度幕を閉じます。

「無事に帰ったら
 君のまわり 見てごらん
 友達こそ宝
 信じて コンパス・オブ・ユア・ハート」

どうです?
最高じゃないですか!

ぼくはもう一度生であのアトラクションに乗ってシンドバットとチャンドゥと一緒に旅がしたい!
彼女がこの曲が好きだと言っていた意味は、一度聴けばすぐに理解できます。
こんなに素晴らしいアトラクションがほぼ待ちなしで乗れるなんて、ディズニーは本当に末恐ろしいなと頬が引きつりました笑


このインタビューをしていると、ほとんどのゲストがディズニーリゾートに足を運ぶ理由(何を求めていますか?という質問に対して)に、
”現実逃避ができる”からとお答えになりました。

一見すると少しネガティブな印象を受けてしまう言葉ではありますけど、この『シンドバット・ストーリーブック・ヴォヤッジ』そして『コンパス・オブ・ユア・ハート』という曲を聴いて、その思いがどうやらそれだけじゃないみたいだなと思えました。

日常の嫌なことを忘れるために・・・。
彼女はディズニーランドはアトラクション用(騒ぎたい)そして、ディズニーシーはゆっくりしたい時用(海を見て落ち着きたい)と自分の中で差別化していると仰いました。


本当に日々の現実から逃れるためだけにディズニーリゾートへ足を運んでいるのだろうか。
どうやらぼくの認識は違ったみたいです。

夢の国に足を運ばれるゲストの多くは、確かに日常を生きていく上で擦り減らした気持ちを元に戻すために、童心に返り何もかも忘れるために来ている気持ちも持ち合わせています。

ですがそれ以上に、

”もう一度自分と対話をするために。そして、夢を抱いたあの頃のワクワクを取り戻すために来ているんじゃないか”

今はそう思えて仕方がありません。


『シンドバット』は最後にこう言ってくれます。

「さあ、心のコンパスに従って、自分の信じる道を行こう。さようならみんな。一緒に冒険してくれてありがとう。」

楽しいお話と共に素敵な話を聴かせてくれたあなた!
この記事を読んでくれていますか?
素晴らしい曲とアトラクション、そして言葉を教えてくれてありがとうございます!


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そして舞台はディズニーランドへ



「夢は続くよ」修正後



何を隠そう彼女は、6:4くらいの割合でディズニーランドの方に多く行かれます。
やっぱり行くからには騒ぎたいみたいですね笑
(ご家族との総意かもしれませんけど)


一番好きなショーはなんですか?
という質問に「30周年の『Happiness is here』です」と答えてくれた彼女は、ランドに入った時に徐々に香ってくるハチミツの香りに心躍らせ、プーさんのハチミツポップコーンを求めて歩き出し、お腹が空いたら『クイーン・オブ・ハートのバンケットホール』のハート型のチーズが乗ったハンバーグが大好きなんだそうです。

誰もが童心に返れる場所。
ぼくもなんだかお腹が空いてきました笑


ディズニーリゾートにおいて忘てはいけないのは、その世界観を維持するために各所に、随所に見られるこだわりの作り込みですよね。

彼女は、そういった作り込みを見るのが好きで好きでたまらない。

パレードのフロートの飾り。
ダンサーさんの衣装。
もちろんミッキーフレンズの衣装も。

ちなみに一番好きな衣装は、ディズニーシーで行われた『ファッショナブル・イースター』ショーの時の、”アクアポップの衣装”なんだそうです。

やはり海好き!
ぼくももちろんそちらのショーを拝見させていただきましたが、気持ちはすごーくわかります!笑

『マーメイドラグーン』の「アンダー・ザ・シー」をモチーフにしたような、パステルな海の色を纏った素敵な衣装たち。
見ていくと一人ひとりの微妙な違いも楽しめて、一度や二度じゃ物足りないですね。

このショーを見て(生で観たかったと動画を見ながら後悔しました)
年パスを取得しショーやパレードを見るゲストの気持ちが一挙に理解できたことも言うまでもありません。

夢の国のこだわりをすべて視界に入れたい!
どこにどんな作り込みが施されているのか、まるで子供の頃に見た「ウォーリーを探せ」をやっているかのような興奮笑


生で観たらもっともっと素晴らしいのは間違いない!
行く!絶対行く!
ぼくはもうそう誓ってます。



さあ。
そんな一人目のゲストのお話もそろそろ終わりが近づいてます。


ぼくはゲストに聴いてみたかった質問を投げ掛けます

・「もし関われるとしたら何をしてみたいですか?」


しばらくの間の後に彼女は答えてくれました。

「衣装を作ってみたいです」


・「ではこちらが最後の質問です。あなたにとって”ディズニー”とはなんですか?」


「夢です」


彼女の冒険はまだまだ始まったばかりです。

物心ついた時から育んできた好奇心や明日を見る気持ちは、これから大きな大きな大海原を航海していくのに心強い武器になります。

そして、夢見るその気持ちがコンパスになり、きっとこれからたくさんの経験をして、たくさんの仲間と出会っていきます。


時には大きな嵐に巻き込まれ船が壊れてしまうかもしれない。
邪な心を持つ者に道を阻まれ、大きく迂回をせざるをえなくなるかもしれない。
仲間との別れに胸を痛め、帆を張る腕に力が入らず、舵を切る目的を見失うこともあるかもしれない。


でもそんな時は、ディズニーの仲間たちが寄り添ってくれる。
そしてキャストさん全員がまた、冒険に出る楽しさを思い出させてくれます。
夢の国は現実逃避の場所なんかじゃない。


ぼくたちがもう一度自分と見つめ合うことができる。
”ワクワクを思い出す場所だから”



ディズニーに関わるすべての方へ感謝。
そしてこれまで夢の国を夢の国にし続けてくれたすべてのキャストさんへ感謝と声援を込めて。

ありがとうございます。

そして素敵なお話をしてくださったこちらのゲストにも拍手をお願いします。
ありがとうございました。



この記事が素敵な体験になりますように・・・




写真:安藤未来
文 :前田亮
4コマイラスト:めしゃ




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あとがきと質問と回答と


こんにちは。
勝手に”フリーライター”と名乗っている前田亮です。


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