Distance

ふとしたことから、距離について考えてみた。物理的な距離ではない。ここでの距離とは人との距離のこと。もうすぐクラスの生徒達が卒業式を迎える。私は不器用で、どちらかと言うと、人と接するのも上手くない。そんな自分が教師をやってること自体、おかしな話だと思う。しかしなぜか?人と接する仕事に飛び込んだ。上手く出来ないことだらけの中で、どうしてもとことん上手くなれないのは、距離感である…どうやって生徒と近づくのか?どうやって生徒を突き放すのか?悩んだこともあった。

そもそも自分は子供の頃から大人にとっていい奴でいないといけない、束縛のようなものを背負ってきた。そんな子供時代を過ごして、大人になって、次は子供達にとっていい奴になってやろうとトライしていた。しかしいい奴であることを放棄?した。生徒達にとって、教師はいい奴じゃなくても良いのだと思うようになって、子供の頃から続いた束縛から解放された気がした。卒業していく生徒達を忘れ去るのではなく、むしろ彼らが私を忘れて欲しい。脇目も振らず走り続けて欲しい。次のフィールドで、新しい出会いがあり、恋をして、成長し、傷ついて、また成長する。その過程で、幸せになっていることを風の噂で知って温かい感情を持つ中で、初めて彼らとの心の距離が縮まるのではないかと。

立春になって、新しい季節が来て、生徒達はどうなっていくのか?と考えるよりも自然体でいたい。生徒達の次の生き方をそっとドアの隙間から、いつでも入ってこれるよ、言わんばかりの心持ちで見守ってあげたい…。それが一番健全な距離感かなと思う。

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