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湘南ベルマーレvsFC東京~FC東京のつよみとは~[J1リーグ第17節]

代表ウィーク明け3週間ぶりのリーグ戦再開。

少し代表について。FC東京からは長友がA代表、松木がU21代表に選出。長友はブラジル戦に81分、チュニジア戦に82分出場。松木はこの試合と同じ日にU23アジアカップの3位決定戦があるため、まだ戻ってきていない。

話をJリーグに戻して。湘南は3勝4分9敗で17位と降格権に沈んでいる。ここ3試合で今季の3勝中2勝、さらに13得点中6点を挙げている。特に15節では川崎に4-0の快勝。前節はC大阪相手に黒星を喫したが、チームの状態は上向きだ。

対するFC東京。前節は首位鹿島に3-1で快勝。清水線に続いて3得点を挙げて2連勝と結果、内容ともにこちらも上向き。その流れで代表ウィークに入るなよって感じ。

試合概要

メンバー

・湘南ベルマーレ
前節からスタメン4枚変更。田中が3試合ぶりに復帰。茨田、瀬川は神戸戦以来3試合ぶりのスタメン。松木と同じくU21に招集されている畑の代わりに高橋が9節以来8試合ぶり、今季3試合目のスタメン起用となった。

・FC東京
日本代表に招集された長友には休養が与えられてメンバー外となり、代わりに中村がスタメン。松木は今季初のメンバー外となり、渡邊がIH。ベンチにはエンリケとレアンドロが復帰。離脱者も続々と帰ってきた。

前半

サイドへの追い込み

まず湘南の守備。狙いはFC東京をサイドに誘導して追い込むこと。

そのために2トップの瀬川と町野はCBの森重と木本に対して、アンカーの青木へにパスコースを切りながら内側からプレスをかけに行く。これで中央の選択肢を1つ消去。また、青木の脇にサポートに降りてくるIHの安部と渡邊にはIHの池田と茨田がしっかりマーク。

この2トップの内切りプレスとIHのマークでFC東京のビルドアップをサイドに誘導する。

FC東京のビルドアップがサイドに誘導されて、SBへとボールが渡った時が湘南の狙い所とされていた。このSBへの守備としては次の2パターン。

  1. WBが縦スライドで出ていく

  2. IHが横スライドで出ていく

1.WBが縦スライドで出ていく

まず1つ目のパターンから。

SBへとパスが出たら、WBの石原と高橋は素早くプレスに出ていく。この時、2トップとIHの守備で中央を抑えることができているため、WBはCB→SBへのパスを予測して縦に出ていくことができる。WBが前に出た分、5バックの残りの4枚はスライドしてスペースを埋める。

また、中盤では池田と茨田がそのままFC東京のIHに対応し、アンカーの田中は1枚余る形。青木へは逆サイドのCFがマークにつくことでFC東京をサイドに閉じ込めた。

試合の流れを変えるキッカケとなった10分の瀬川のヘディングシュートもこのWBの縦スライドで小川のパスをひっかけたところからのものだった。

2.IHが横スライドで出ていく

ただ、WBがいつでも縦に出ていけるわけではない。単純にSBまでの距離が遠いこともあるし、サイドに張っているFC東京のWG、特にアダイウトンなんかは常に注意しなければいけない存在だから。そんな時は2つ目のパターン。

WBが出ていけない時にはIHが横スライドで出ていく。この時、IHが出たことでマークが外れたFC東京のIHへは1の形で余っていた田中が対応する。青木へは1と同じく逆サイドのCFがマークにつく。

この2つの守備によってFC東京はサイドに追い込まれてパスをひっかけられたり、後ろに戻させられたりを繰り返すこととなった。

前進の鍵と足りない配置

こんな感じでなかなか前進できないFC東京だが、前半の終盤から少しずつ流れを掴むようになる。その鍵となったのが渡邊のSBへのサポート。

前半の終盤から湘南の右IHの池田が横スライドで左SBの小川に出ていった時、右IHである渡邊が左サイドまでサポートに来る形が見られるようになった。

湘南のIHがSBまで出ていくのは上で書いた2のパターン。この時、マークが外れたIHへはアンカーの田中がスライドしていた。ここに逆のIHである渡邊がサポートに来る。逆サイドまで移動する渡邊に対してマークについていた茨田は流石についてくることはできない。これによって田中が安部と渡邊の2枚を見なければいけない状況を作った。

この渡邊のサポートによって前進することができるようになってきたFC東京だが、その先が作り出せなかった。湘南の守備ブロックは5-3-2。中盤の3枚を引き付けてから逆サイドに展開して揺さぶっていきたいところ。中盤のスライドが間に合わなくなれば、WBに対して1対1で勝負することができる。

しかし、湘南の2トップが青木に対するマークやプレスバックをさぼらず続けたことでアンカーが使えない状態。そのため、サイドを変える時にはCBまで戻さなければならなくなり、中盤3枚を揺さぶり切れなかった。

ただ、もし上手くサイドを変えたとしてもFC東京の右サイドに張っているのは永井か中村。1対1の勝負になっても突破できるかは微妙な部分ではある。右から左への展開であればアダイウトンが1対1勝負に持ち込めたけれど、右からの前進はほとんどなかったし。

ハーフタイム
1点先制されてハーフタイム。FC東京は僅かシュート1本。対して湘南は8本。代表ウィーク明け、かなり厳しい展開となっております。

後半

後半もチャンスを作り出せないFC東京は60分に3枚代え。中村、青木、永井に代えて佳史扶、東、レアンドロ。小川が今季初めて右SBとなった。福田さん今季初ですよ。

中村と違い小川は少し内側に絞ってポジションを取る。前半にはなかった位置で起点ができたことでボール保持は落ち着いた印象。湘南のブロックが前半よりも少し下がった。ただ、右WGのレアンドロは自由に動き回るので右のサイドで幅を取る選手がいなくなってしまった。

交代直後の60分50秒。左サイドのボール保持で湘南を引き付けたところから。アンカーに入った東がマイナスで引き出して、内側に絞った小川へ。ここから右サイドに展開できれば湘南のWBと完全に1対1だったが、右サイドに張っている人がいなかった。その結果、湘南のスライドが間に合い、5-3-2のブロックを作られてしまった。

小川を右SBにして起点を作らせたならば、右WGには紺野を入れてサイドで1対1を仕掛させた方がよかっただろう。ただ、紺野が投入されたのが80分。少し遅いかなって感じ。

結果として上手くサイドから攻略できなかったFC東京は中央から突っ込む攻撃を続ける展開。しかし、5-3-2は3CB+3CHがいて中央は一番守備が厚いシステム。サイドから斜めに差し込んでも囲まれて奪われる場面が多く見られてしまった。

その後も追加点を許し、チャンスもアダイウトンの個の力からが多く。2-0で終了となった。

おわりに

2-0。いろいろ書いたが、この試合に関しては配置とかではなく、単純に個人のプレー強度や気持ちで完全に湘南に負けていた印象。個人のプレー強度の高さはFC東京の強みであったはず。清水戦、鹿島戦と綺麗に勝利をおさめたが、もともとの強みを忘れてはいけない。

最後に湘南に喝を入れられる形となったが、前半戦は7位でフィニッシュ。順位的には非常にいい位置につけている。ここで気持ちを入れ替えて後半戦だ。



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