見出し画像

令和6年度診療報酬・介護報酬同時改定① 生活習慣病に係る疾患の重大な変更ポイント 

去る3月17日、弊社主催の診療報酬改定セミナーが開催された。先月号では医師の働き方改革の詳細や院内での取り組みについて論じてきた。今回は、実際にセミナーを通してお声をいただいた生活習慣病管理料について考えていきたい。

 3月5日に厚生労働省より令和6年度診療報酬改定の内容が告示され、6月1日から適用される。弊社では適用に先立って、セミナー「診療報酬・介護報酬同時改定 クリニック経営を考える」を開催し、本改定の内容を社会背景から深堀し、クリニック経営に焦点を置いた労務・財務戦略を紹介した。クリニック経営者を始め、20名を超える多職種の方にご参加いただいた。セミナー後のアンケートでは非常に参考となる意見をいただく中で、「職員のベースアップと生活習慣病に関する点数改定」と「労務・財務戦略」に興味があるとわかった。
 今回は生活習慣病に関する変更点を、来月号では賃上げ問題を踏まえた労務・財務戦略について深堀していく。

セミナー「診療報酬・介護報酬同時改定  クリニック経営を考える」の様子

 本改定で大きなポイントなったのが、特定疾患療養管理料の対象疾患から脂質異常症、高血圧症、糖尿病が削除されたことだろう。これまで特定疾患療養管理料で225点を、特定疾患処方管理加算等を含めると300点近くを月1,2回算定可能だったことを考えると、多くのご施設にとって手痛い改定となったのではないだろうか。実際、特定疾患療養管理料の算定時に係る主傷病名のうち、高血圧が57.7%、糖尿病が16.2%、脂質異常症が23.9%と高い割合を占めている(診調組)。今後はこれらの疾患を生活習慣病管理料で算定する必要がある。

 本改定にて、生活習慣病管理料は、従来の検査、注射、病理診断などを包括する生活習慣病管理料(Ⅰ)と、新設された検査等を包括しない生活習慣病管理料(Ⅱ)に分けられた。
 生活習慣病管理料(Ⅰ)では点数が見直され、脂質異常症(660点)、高血圧症(610点)糖尿病(760点)とそれぞれ40点引き上げられた。
 また、新設された生活習慣病管理料(Ⅱ)は、診療所と許可病床数200床未満の病院において、月一回に限り330点を算定できる。検査等を出来高算定できる点やオンラインでの実施が認められている点(その場合290点)において、(Ⅰ)と異なる。ご施設や患者に合わせた検査や診療スタイルを選択できるため、是非貴院におけるベストな選択をしていただきたい。ただし、評価料(Ⅰ)と(Ⅱ)の往復は出来ない点は要注意である。
 多くのご施設において生活習慣病管理料への移行が困難な理由として、療養計画書の作成と、患者に対する負担額の理解が挙げられるだろう。しかし、本改定にて療養計画書の記載項目は一部簡素化された上に、電子カルテ情報共有サービスを用い(令和7年中に稼働予定)ることで、より記載事項が減る。また、従来の少なくとも月一回以上の治療管理の条件が緩和されたことで、患者の自己負担額は軽減する場合も考えられる。

生活習慣病管理料の療養計画書(出典:大阪府保険医協会)

 本改定に向けて多くの準備が必要になるが、療養計画書を用いた専門的な療養管理で患者満足度の向上や、適切な情報収集や選択で、より良いクリニック経営に繋がるだろう(4月号へ続く)。

※この記事に関するお問い合わせは、以下の公式LINEまで

弊社公式ホームページはこちらから弊社公式ホームページはこちらから


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?