第25回 相続税理士のつぶやきコラム ~ 「沖縄の相続」あるいはカフカの「変身」~
相続専門税理士小泉博嗣氏が、軽快な語り口で気になるポイントを紐解く人気コラム。今回のテーマは、「沖縄特有の相続税について」です。
「責任者よ、出てこい。」と言いたくなる気分ではないでしょうか。気がつくと、地価2倍、税金2倍となったら。
ドイツの作家フランツ・カフカの小説「変身」の主人公グレゴール・ザムザは、朝起きると自分が大きな毒虫に変身していました。本人には、なんの責任もなく、感じる不条理さ―。
私が相続税対策の仕事で、沖縄に来るようになり早いものでもう10年。平成27年から令和6年までで、那覇市があくまでメインですが、路線価が少なくとも2倍は上昇しています。路線価は、相続税の土地の評価を計算する基礎となる数字です。単純に表現しますと、相続財産が土地のみの場合、相続税も2倍になってしまうのではないでしょうか。
固定資産税には、納税の負担軽減措置がありますが、相続税と同様な傾向があります。負担額1.5倍は少なくとも負担増となっています。その結果、沖縄は東京に次ぐ、日本で二番目に高い相続税を支払う地域となってしまったのです。
納得いかないのには、理由があります。ご自身の努力で、収入アップなら、納得できる面もあるでしょう。しかし、努力とも無関係に、税金が知らない間に2倍となっているのです。これをカフカの作品「変身」に顰に倣うなら、朝目覚めると相続税が2倍になっていたという感じでないでしょうか。
このままでは、相続税の納税も困難となるかもしれません。土地は、国に差し押さえられ、換価処分されてしまうかもしれません。
ただ、件のカフカの小説と大きく違うところは、「自分で気が付くことが出来る」という点です。私たちは事前に相続税額を把握することが出来るのです。そして何より、「対策」という処方箋があります。
「責任者よ、出てこい。」と叫ぶ前に…。
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