新たな採用戦略の一手となり得る 医療施設における「健康経営」とは
近年、徐々に普及が進んでいる「健康経営」。医療現場でも4月からスタートした医師の働き方改革で「健康的な働き方」やワークライフバランスを意識するご施設も増えたのではないだろうか?
そもそも健康経営とは、「従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践すること」と経済産業省は定めている。
この考え方が広まった背景には、生産年齢人口の減少とともに高齢者が人口の約4割を占める2050年問題などが挙げられるが、この問題が迫りくる中で健康な状態を長く保ち経済活動を続けていける「健康寿命の延伸」が重要な鍵となる。実際、定年の延長は多くの企業で行われており、健康な状態で長く働ける環境をつくることが必要だろう。そこで、同省は2016年度から健康経営に取り組む優良な法人を社会的に評価しようと、健康経営優良法人認定制度を推進し、大規模の企業等を対象とした「大規模法人部門」と、中小規模の企業等を対象とした「中小規模法人部門」を制定した。これらは下記のような申請フローを突破する必要があるが、
2024年度は大規模・中小規模それぞれ合わせて19,721法人が認定された。去年より認定率が約18%増加しており、今後も申請に挑戦する企業は増加するだろう。 沖縄県を見てみると、大規模では13法人、中小規模では109法人と、計122法人が認定された。さらに医療・介護分野に絞ると2施設のみが優良法人に認定されている。医療施設は地域の方々の健康を管理するプロであるが、客観的な認証取得には現時点では積極的でないように見受けられる。
皆様もご存じの通り、医療業界はより一層、慢性的な人手不足に陥ることだろう。その中で今後働き手の中心となる若者の価値観は変化しているのだ。大手求人サイトを運営する企業によると、Z世代の看護学生らは「社会問題への意識が強く、ブランドではなく質や自分らしさを重視する」といった傾向にあり、給与面だけでなく個人の価値観に合った働きやすい環境を求めていることが分かる。実際、採用を行う上で健康経営への取り組みは有利性があり、認定取得が就職希望者の企業選びに影響していることも前述した同省の調査の通りである。
改めて求職者側のニーズを知り、時代に合わせた採用を行うなどニーズに応えた組織づくりを検討してはいかがだろうか。他施設が認定を取得していない今だからこそ、健康経営の認定制度を用いてみることも良いだろう。
実際に健康経営をはじめるにあたっては、認定項目の内容と自施設での現状を見比べながら課題点を挙げ、取り組む必要のある部分を明確にして頂きたい。例えば、制度・施策実行の面において職員の健康状態を把握できていない点が課題であるならば、健康診断の受診を促し健康状態を数値で把握することが必要不可欠だ。組織の規模によっては健康管理アプリ等を導入し、健康状態・労務実態等を効率的に管理することも有効である。これらを活用すると、管理職が日々の業務のみならず社員の健康管理も職務として管理することで、組織としてのリスクマネジメントにもつながるのではないだろうか。そして何より健康経営を通じて職員一人ひとりがセルフケアに取り組むきっかけ作りになれば離職率低下・人材の定着に加え、採用面でも自施設の認知度向上にも繋がることだろう。
この機会に健康を支える「職員の健康」について、今一度考えてみてはいかがだろうか。
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