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止まらない社会情勢の変化 医療現場として取るべき方法論は?


 ガソリン等の燃料費やそれに伴う光熱費。食材など、生活必需品の値上げが続き、物価高騰の波を身をもって体感されている方も多いのではないだろうか。県内の医療施設においても、光熱費をはじめとする、様々な「必需品」の値上がりは黙認できない状況となっている。ある医療施設における過去3年分の光熱費について比較調査をしたところ、前年の約20%、前々年の約40%上昇しているという結果となった。また、診療材料費についても、医療消耗品(ガーゼや注射器等)の値上げ率で昨年比5%~10%高騰していることが分かった。
 これらの「必需品」の値上がりは、4月以降も継続されていく見通しで、医業経営においての影響は深刻さが増す一方である。
 そこで沖縄県は、物価高騰の影響を価格転嫁できない医療施設等の事業継続を支援するため、補助金を交付していた(沖縄県医療施設等物価高騰対策補助金)。本補助金は2月末までの申請となっていたが、沖縄県では4月以降も同様な補助金を交付していく方針であるようだ。本誌や弊社公式LINEでも都度情報を発信していく予定である。


 物価高騰が続く中で、一般企業では人材獲得競争に併せた賃上げに関する動きが加速化している。
 就職情報大手のマイナビは、業種別の賃上げ状況に関しての調査を行った。医療・福祉・介護分野は、前年度より賃金を上げる割合が67.3%となった。他業種と比較すると、賃上げ率は最も低い結果となっている。


 診療報酬が増えないという背景がある中でこのような結果になることは無理もないだろう。
 政府は少子高齢化に伴う医療ニーズの変化に対応しなければならない中で、2024年度以降の第8次医療計画において「医療人材の確保」と「効果的・効率的な医療提供体制」に対しても重点的な政策を検討をしている。

 自施設では本政策をどのように読み取るだろうか。直ちに賃上げが難しい状況下で財務や労務の視点等、多角的な視点からその解を考えてみたい。
 財務の視点では、自施設の損益計算書を確認する必要がある。中でも、労働分配率の確認は人件費への投資を検討する上で重要だ。労働分配率を把握した上で他施設とのベンチマーク分析を実施することを推奨したい。   
労務・人材の視点では、医療従事者の働き方も変化しつつあることを再認識する必要がある。
公益社団法人日本看護協会の報告(下図)によると、看護師の離職したい理由1番目は、「他施設への興味」で
離職希望率14.0%、「賃金や昇給」を理由としては5.2%と全体で10番目であった。

 人材獲得競争が激しくなる中で、賃上げを検討することは重要であるが、その一方で職員の定着率をあげるための戦略、ひいては採用戦略に力を入れることも重要だ。
 社会情勢の変化に伴う、自施設の経営状況の変化を把握し、新年度を迎える今だからこそ自施設の方向性を見つめてみてはいかがだろうか。 

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