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2024年4月に迫った医師の働き方改革 永続的に地域医療を支えられる施設を目指して  

 診療報酬、介護報酬、障害福祉サービス等報酬のトリプル改定が行われる2024年。少子高齢化や人口減少は言うまでもなく、物価高や賃上げも叫ばれるこの時代に、貴院ではどのような準備を行っていくのか。今回は「診療報酬改定」に焦点を当て、それに対する院内での整備や対策について考えていきたい。

 団塊世代が後期高齢者となる2025年問題と高齢者人口がピークとなる2040年問題に対して対応が求められている本改定。診療報酬本体の改定率としては、プラス0.88%の引き上げで国費負担が約800億円増加すると正式決定された。その内訳には医療従事者の人材確保や賃上げに向けた措置が見受けられ、今年の6月に改定が施行される。

 診療報酬改定における基本方針では4つの視点が示されているが、今回の改定で押さえておきたいポイントとしては、これまでの診療報酬改定の基本方針の構成をベースとしつつ、近年の社会情勢・医療を取り巻く状況を踏まえた視点が組み込まれている点だ。その中でも今回は、「医師の働き方改革と人材確保」について深堀りしていく。

 高齢者増加に伴う医療需要の高まりや医療ニーズの変化に伴う総合的な質の高い医療の提供が求められる一方で、医療従事者に対する負担はさらに増加することは周知の事実だろう。そこで、2024年4月に「医師の働き方改革」が実施される。具体的には、勤務医の時間外・休日労働時間は、原則として年960時間を上限とし、超えた場合は労働基準法第141条により「6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金」が科せられるほか、公表される可能性も含んでいる。副業・兼業を行っている医師についても労働時間が通算されるため注意が必要だ。
 沖縄県の医療施設調査によると、令和2年時点で常勤換算の非常勤医師数は631.9人であり、平成29年と比較しても病院・診療所の常勤換算従事者数はともに増加している。また施設数についても診療所は増加傾向にあり、今後も増える見込みだ。

 皆様のご施設でも改定に向け様々な動きがあるだろう。そこで今回は上述した視点について院内での取り組みを考えていく。
 まず、勤務医が1名以上いるご施設では、勤務医の勤務実態の把握・労働時間の管理はもちろんのこと、どこまでを労働時間とするのか整理して頂きたい。特に訪問診療や入院設備のあるご施設などはオンコール待機中を労働時間に含めるのか、学会や勉強会参加は含めるのかといった明確な線引きを行っていくことが重要である。その上で労働時間が規制上限にかかる可能性がある場合には、業務分担の見直しを進めていく必要がある。その際、注意して頂きたいことは医師業務のタスクシフトでコメディカルの業務が逼迫し、離職を招かないようにすることだ。他の職員に業務を分担するのであれば、その分やらなくても良い業務を「引き算すること」も検討してみてはいかがだろうか。それを行うためにもそれぞれのご施設の理念を共有し、組織全体で同じ方向を向くことが重要である。
 永続的に地域医療を支えられる施設を目指すためには、今回の改定を機に、医師だけでなく施設全体で「働き方改革」を図ってみてはいかがだろうか。

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