見出し画像

#35【23/24 セリエA第13節】アタランタ×ナポリ

試合開始前

■前節エンポリに敗れて監督交代に踏み切ったナポリ。後任は10年振りの帰還となったマッツァーリ。前任のガルシア監督は一部選手の確執も噂されていたが、監督交代により昨季の強いナポリを取り戻せるか。

■アタランタ悪くない順位には付けているものの、上位を争うインテル、ラツィオ、フィオレンティーナには負けており、CL圏を狙うのであればここは勝っておきたい相手となる。

■ナポリのスタメンは4−3−3。怪我明けのメレトはベンチに入りゴッリーニが2試合連続先発。マリオルイは12月上旬まで離脱中。オシメンが約2ヶ月ぶりのベンチ入り。その間を好パフォーマンスで埋めてイタリア代表のセンターフォワードにも定着しかけているラスパドーリと今後どのように併用していくのが注目が集まる。その他はお馴染みのメンバー。

■アタランタのスタメンは3−5−2。スカマッカはベンチスタートでデケテラーレとルックマンのスタメン。デケテラーレは序盤こそ好パフォーマンスだったが最近は低調気味。ナポリ相手に実力を発揮できるか。

ナポリの4−3−3とアタランタの3−5−2のシステム上の噛み合わせ


■ナポリはディロレンツォ+2CB+ロボツカの4枚+GKのビルドアップ。オリベイラが左肩上がりになる。対してアタランタはマンツーマン。2トップが2CB、ロボツカにはパシャリッチ、ディロレンツォにはバッカー。ナポリの2センターハーフにはアタランタも2センターハーフ。面白いのは中盤まで降りてくるラスパドーリに対してもジムシティがプレスに行く。ナポリの4−3−3に対してアタランタの3−5−2がガッチリ噛み合う。

■システム上では噛み合うとして実際のピッチ上での状況は異なる。前目の位置をとるオリベイラに対してザッパコスタのポジションが低めのため、プレスがかかりきらずわずかな時間が生まれる。序盤はここを起点にジエリンスキとクヴァラが絡みチャンスメイク。

■アタランタのオールコートマンツーマンはピッチの至る所で一対一が発生して見ていて面白い。注目はクヴァラVSスカルヴィーニ、オリベイラVSザッパコスタ。

ナポリのマンツーマン対策と先制点(前半44分)

■見た限り有効なのは
①初期配置の位置からマークが付ききれない位置までポジションを代えてフリーになる。
②ドリブル突破やワンツーなどで相手を抜いて数的優位になる。

①ができるのがラスパドーリ。中盤やサイドに流れてジムシティを錯乱する。ジエリンスキもちょこちょこ動いてマークをつかせない。オリベイラはシステムの噛み合わせ的な浮くので、攻撃力を活かしてナポリの左サイド牽引。
②はクヴァラが代表格だがスカルヴィーニが仕事をさせない。

■左サイドを牽引していたオリベイラが無念の負傷交代。ナポリのストロングポイントでもある左サイドで重要な役割を担っていただけに残念。代わりに入るのはファンジェズス。ナタンと似過ぎて見分けがつかないぜ。

■マッツァーリ体制初得点はクヴァラのヘッド。ディロレンツォのクロス精度もクヴァラの動き出しも完璧だが、特筆すべきはその前のラスパドーリのチャンスメイク。右サイドの連携からラスパドーリへのロングパスが入る。そのボールを足元にしっかり収めて相手ディフェンスラインを一気に押し下げる。その後ボールは左に流れるが、中央で再度ボールを受けて細かいタッチから右へ展開。ゴールはその後のクロスから。

■後ろからのロングボールを収めるという点ではオシメンが出ていても似たシーンはあったが、両者の違いはその後。中央で得点力を発揮するオシメンに対して、ラスパドーリは引いた相手への崩しの局面で力を発揮する。もちろん得点力もある。どちらもスタメンを張る力があるだけに今後のポジション争いも楽しみ。個人的にはオシメンは高い値が付くうちに売ってもいい気がするなーー。シメオネもいるし。

■45分アタランタの反撃。右に流れたデケテラーレとエデルソン、ハテブールの連携から逆サイドへ振り大外のコープマイネルスが飛び込む。ゴッリーニの好セーブにあったがこの試合初の決定機。

ナポリ保持時のポイント

■アタランタのディフェンスラインをどれだけ押し下げられるか。高い位置だと相手も勢いよくプレスにくる分繋げられないしショートカウンターを受けるリスクもある。キーマンはラスパドーリ。ポリターノがコラシナツを引きつけて開けたスペースにラスパドーリが入り上手くボールを収められればチーム全体が前進できる。供給されるパスの質とラスパドーリの動き出しの質とボールを収めるテクニックによりジムシティに対して質的優位が作れている。

アタランタ保持時のポイントと同点弾(後半52分)

■アタランタの活路は右サイド。ナポリは非保持時は4−4−2ブロックを形成するが、クヴァラの戻りが若干遅いのと、ハテブールの初期配置が高めなこともあり、チャンスを作りやすい。デケテラーレとエデルソン(理想はスカルヴィーニも)が上手く絡んで、大外のコープマイネルスとルックマンで勝負という形が前線でも作れていた。この形をどれだけ作れるか。

■52分にアタランタの同点弾。理想的な形から右サイドを崩し、クロスからルックマンが合わせる。狙い通り。お見事!

■後半はパシャリッチが低めの位置をとりコープマイネルスが前目に。狙いは右サイド。デケテラーレがサイドに流れれば中央にいるが、流れない時には自ら右サイドに流れてチャンスメイク。前半までは左サイドでクロスの受け手として機能していたが、後半からは作戦変更。そうなったら中央にスカマッカが欲しいかも。

■ナポリはオリベイラの負傷により攻撃面で脅威を与えられないのが大きい。アタランタに左サイドを制圧されている。

■63分にラスパドーリに代わりオシメン、ポリターノに代わりエルマス投入。勝たなきゃならないナポリは攻撃のカードを切ってくる。

■ここにきてアタランタの左サイドも機能し始める。後ろにポジションを変えたパシャリッチとルジェリの2人にルックマンとコラシナツも絡む。そこから大外のハテブールとコープマイネルス。ハテブールはゴゼンスいた時にも同じよう飛び込む役目で活躍してた印象がある。

■アクシデントによりコラシナツに代わりボンファティ(20)投入。今季初出場。上手く馴染めるか、流れが変わるか。

ナポリの勝ち越し弾(後半79分)から試合終了まで

■79分ナポリ勝ち越し弾。カルネセッキのパスミスから最後はエルマス。ボールを受けようとボンファティが低い位置にポジションをとっていたためオフサイドラインが下がっていた。不運な形での失点。めげずに頑張れカルネセッキ。

■82分アタランタは前線2枚に変えてスカマッカとムリエル。スカマッカはもう少し早く見たかった。

まとめ

■1−2で試合終了。前半はナポリペースであったが徐々にアタランタが右サイドから活路を見出す。アタランタは幻の逆転弾もあり惜しい試合ではあった。ナポリはマッツァーリ体制初勝利。ラスパドーリを起点にチャンスは作れていたが、勝ち越し弾は相手のミスから。クヴァラも得点こそ決めたものの、もう少し崩しの場面で違いを見せて欲しいと期待してしまう。心配なのはオリベイラも負傷してしまった左サイドバック。マリオルイの復帰までの戦い方にも注目。復帰したオシメンも相変わらずチートな能力を持っているので、ラスパドーリとの使い分けも含めて今後も注目してます!

終わり

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?