リーンスタートアップに罠はあるのか

リーンスタートアップの罠という記事を拝見した。

読み終わった直後はたしかにそうかもしれないと思ったが、頭の中で検討して行くうちに、いや違うのではないか、という考えに変わってきた。

というのも、リーンスタートアップの書籍で述べられている「失敗」話を思い出したからだ。

その話というのはコダックギャラリーのチームの話である。イベントアルバムのプロトタイプを作成したが使える機能が少なすぎて顧客に見せられるような代物でない。しかし仮説の検証のために提供してみたそうだ。

結果は散々なもので、誰一人アルバムの作成に成功しなかった。しかしこの検証の結果から、プロトタイプは「イベントアルバムを作る気が顧客にあると証明してくれた」と分析された。この分析結果は高い価値があり「チームが正しい道を進んでいる証拠」とされた。そう、「失敗」は「成功」のもと、であるのだ。

リーンスタートアップにおいてタイヤが3つの不完全なMVPを提供してもそこから「学ぶ」ことができれば成功なのである。

このようにリーンスタートアップの書籍において最も強調されることは「学ぶ」ことである。もし罠があるとすれば、検証が失敗したと諦め、目の前の現象から学ばない姿勢である。検証したい事だけが学べる事ではないのである。

もしタイヤが3つのプロダクトを提供してはいけないとなるとどうなるか。未知の領域において、「何」を「どうやって」検証するかを正しく判断することは難しい。その難しい問題に当たるときに十分な品質を求めるとなかなか進歩が得られなくなるのではないだろうか。

そのようなときにこのコダックギャラリーの例を思い出してみるとよいのではないかと思う。

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