零細起業の経営実務(33)労働局がやってきた(上)
起業を志す研究者さんに、リーゾの経験をお伝えするシリーズ。
今回は、人材派遣業を始めてまる1年経過したリーゾに、やってき
ました、労働局の「定期指導」についてのお話です。
平成28年10月1日付けで派遣業の許可をいただいて以来、すで
にのべ10名近くの人材を派遣してきているリーゾ。書類作成など、
「これでいいのかな?」とおっかなびっくりで、お客様(特に事務
担当者さん)に助けていただきながらなんとかやってきています。
そんなある日、茨城労働局から届いた1枚のファックスには、「労
働者派遣事業に係る定期指導の実施について」とありました。
「指導」!・・・うーん。怖そうなイメージです。
問答無用で訪問の日時まで書いてあります。「用意していただく書
類」のリストには17項目もありました。その中に、わからないも
の(「36(さぶろく)協定」)があったので、とりあえずご挨拶
がてら担当者さんに電話してみました。
そしたら電話口の担当者さん、意外とソフトで、親切に教えてくだ
さいました(ちなみに36協定とは、時間外勤務についての労使の
合意のこと。時間外勤務がないリーゾには、36協定はなしで問題
ありませんでした)。
訪問の趣旨についても、
「リーゾさん、すみませんが、派遣開始1年の会社さんには必ず調
査が入るんですよ」とのこと。
次の年からはランダムに選んでの調査になるそうです。
そうか、最初は全事業所に入るのか(リーゾが特に怪しまれたわけ
ではない)、とわかり、少し安心しました。さっそく、書類整理が
得意なKさんを頼り、派遣中の3名について、派遣先との契約書、
本人との契約書(労働条件明示書)、通知書、タイムシート、派遣
元管理台帳などなど、多様な書類をチェックしてきっちり整理して
もらいました。
さらに、ウェブサイトでの情報提供もセットアップ。それでもやは
りおっかなびっくり、「これでいいのかな・・・?」と不安を残し
つつ、当日、2人の担当者さんを迎えました。
イチカワ(お向かいのラーメン屋)の行列のことなど軽く雑談した
あとで、「ではさっそく・・・××見せてください」と書類のチェ
ックが始まりました。
覚悟はしていましたが、チェックすればいろいろと不備が発覚する
ものです。例えば、
・抵触日の通知をメールでもらうのは×、書面でもらう。
とか、
・通知書に「45歳以上」「60歳未満」「女性」が抜けている
とか、
・(社会保険・雇用保険が)適用外である「理由」を書いてない
とか、
・ウェブサイト上の情報提供の項目が足りない(「派遣人数」「派
遣先の数」など)
とか。
「以上については修正していただかないとですねー」と、あくまで
もソフトに言われました。はい、わかりました、すぐ修正します、
と素直に応じ、わりと簡単に終わったなとほくそえんだ矢先・・・
「今回の内容を『是正指導書』にまとめますので、恐れ入りますが
労働局まで受取りに来ていただくことになります」
えっ?労働局って・・・水戸じゃないですか!
ここに来て、(出不精の私には)重たい一発が入りました。
でも仕方がありません。わかりました、もちろん行きます!という
ことで、ひとまず無事終了となりました。
ところで、せっかくオーソリティーに来ていただいたのだから、ぶ
っちゃけの相談もしてしまわねば損。ということで、派遣業に必須
となった「キャリアアップ教育訓練」について、どうしたらいいの
か聞いてみました。
研究室への実験補助者派遣の場合、仕事の内容も求められるスキル
も多種多様で、何を教えればキャリアアップになるのかが一概に決
められません。むしろ、日々任される実験がそのままスキルアップ
になる職種です。
そんな中で、教育訓練をどう位置づければいいのか・・・という相
談です。
実際のところ、どの事業所でもここは問題になっているようで、結
論としては実態に合わせて試行錯誤するしかないのかなという感じ
でした。遠方なら、動画を見せるとか、通信添削のような形もあり。
要するに、教育訓練は派遣労働者の権利であることを認識し、教育
の機会を提供することが大事、ということみたいです。
忘れないうちに、できる範囲で修正を始めつつ、是正指導書(響き
が怖いです)ができあがるのを待つこと1週間。
「是正指導書ができましたので、取りに来てください」
と、労働局から電話が入りました。
(「下」に続きます)
(2018年1月4日配信 のすいすい通信より)
「すいすい通信」
https://rizo.co.jp/merumaga.html
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