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零細起業の経営実務(50)顧客価値を上げるくふう

起業を志す研究者さんへ、リーゾの経験をお伝えしているコーナ
ーです。貧乏ベンチャーにはお金はありませんが、お金はなくて
も使えるのが「頭」。頭を使って商品の価値を上げている他社さ
んの例から、ふむふむと学んだことをご紹介します。

古都鎌倉のお土産として鉄板の人気を誇る「鳩サブレ−」。リー
ゾでもときどきお客様からいただいており、社員一同大好きなお
菓子です(リーゾはほんとうに良いお客様に恵まれてます!)。

この鳩サブレ−、普通に食べてるとまず気がつきませんが、個包
装のフィルム袋をよーく見ると、鳩のしっぽの下あたりに、3ミ
リ四方程度の網目模様の四角い部分があることがわかります。

さらによく見ると、網目模様に見えるのは接着されている部分で、
袋の表と裏がそこだけつながっていることがわかります。

これは、豊島屋の社長さんのアイデアで、鳩サブレ−が袋の中で
動いて、お客様の手に渡るまでの間に割れてしまうのを防ぐため
にしてあることなんだそうです。

でも子供のころの鳩サブレ−は、食べる前から割れてることが多
かった気がするなあ・・・と思ったら、この工夫が始まったのは
1994年からとわかりました。そういえば最近いただくものは
ほとんど無傷。すごい効果です。

とはいえ、この改善点に気づく人はほとんどいないらしく、お客
様からの反応はほぼ皆無だそう。それでも、鳩が無傷であれば気
持ちがいいし、また買おうと、あるいは、人にあげても安心だと
感じられますよね。

別の話ですが、オランダのある自転車メーカーは、輸送中に段ボ
ール箱の扱いが雑で製品が破損してしまうことに頭を悩ませた結
果、段ボール箱の外側に、あるもののイラストを印刷することで、
輸送中の破損を7割も減らすことに成功しました。

その「あるもの」とは・・・「液晶テレビ」!

液晶テレビに自転車が映っているようなイラストを印刷しました。

すると、箱の中身が液晶テレビかと錯覚して、運ぶ人が丁寧に扱
ってくれるようになったようです。自転車の箱が液晶テレビの箱
とほぼ同じ大きさ、同じ薄さであることをうまく利用しました。

どちらも、ちょっとした工夫で、コストをほとんどかけずに、製
品のクオリティーやお客様の満足度を向上させることができてい
て、すごい!と感心しました。

こういうことを知ると、リーゾでも何かやってみたくなります。

かつては、お客様のご研究がうまくいきますように、という願い
を込めて、製品発送時に小さな「招き猫」や「だるま」(消しゴ
ム)を同封したことがありました。喜んでいただけてましたが、
研究機関によっては怒られることがあり(おまけ厳禁)、残念な
がら終了となりました・・・。

たぶん、鳩サブレーも自転車も、お客様満足を四六時中考え続けて
いたからこそ降りてきたグッドアイデアなんだと思います。そう
簡単に見つかるものではないですよね。

製品が届いたとき、開けたとき、使っているとき、使い終わって
片づけるとき、使い切って捨てるとき、次を注文するときなど、
いろいろなシーンを、お客様の立場で想像することがヒントにな
ってくれそうです。


鳩サブレーの袋については、こちらの記事で知りました。
写真も載っています。

https://irorio.jp/nagasawamaki/20190910/543074/
(自転車の箱の話にもリンクがあります)

2019年12月4日配信の「すいすい通信」より
https://rizo.co.jp/suisui105.html

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