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零細起業の経営実務(10)「新商品」「新サービス」が必要なわけ

起業したい、するかもしれない研究者さんのために、リーゾの経験談をお伝えしています。今回は、小さなビジネスであっても意外と必要だったりする新規事業についての考え方をご紹介します。
少々回りくどいですが、根気よく読み進めていただければ幸いです。

ある商品が市場に投入される=生まれる瞬間から、売れなくなって姿を消すまでの一連のプロセスを、生き物の一生に例えて、「プロダクト・ライフサイクル」と呼ぶのをご存知でしょうか。

プロダクト・ライフサイクルには、
・販売開始直後の「導入期」、
・市場に認知され大きく伸び競合も増える「成長期」
・需要が頭打ちになりシェアの奪い合いになる「成熟期」、
・技術革新のため需要が減少して業者が撤退していく「衰退期」
の4つのプロセスがあります。

赤ん坊として生まれて、成長し、大人になって活躍し、老人になってやがて死ぬ、そのサイクルとほぼ同じです。テレビや携帯電話など革新的な電気製品をイメージしてみると、実感しやすいです。
近年は、技術の進歩や情報伝達が加速していることもあり、テクノロジー製品のライフサイクルがどんどん短くなる傾向があると言われています。

これを踏まえまして。
もうひとつの考え方が、「プロダクト・ポートフォリオ」です(横文字ばっかりですいません)。

これは市場成長率とマーケットシェアを軸とした4つの象限で自社製品を考えるもので、
・市場成長率、マーケットシェアともに低い=「負け犬」
・市場成長率、マーケットシェアともに高い=「花形商品」
・市場成長率は低いが、マーケットシェアは高い=「金のなる木」
・市場成長率は高いが、マーケットシェアは低い=「問題児」

この中で言えば、多くの新製品は、「問題児」からその生涯をスタートし、うまく行けば「花形商品」を経て「金のなる木」になり、最後は「負け犬」になってその生涯を閉じることがわかります(うまく行かない場合は、「問題児」から直接「負け犬」になります)。

つまり、新製品の「導入期」には、「問題児」で、「成長期」には「花形商品」になり、「成熟期」に「金のなる木」になり、「衰退期」には「負け犬」になると考えられます。

さて、それで何がいいたいのかといいますと・・・

会社経営においては、自社製品に「花形」「金のなる木」がひとつあるかないか、というケースが多いと思いますが、仮に自社製品の全てが「花形」「金のなる木」なら万々歳かというと、そうではないということです。これらはいずれ衰退期を迎えるので、何もしないと会社自体が衰退してしまいます。

ではどうしたら良いのか?

成長すれば次の「花形」「金のなる木」になりうる新製品や新サービスを、次々に生み出していけばよい、というよりも、そうしなくては生き残れない、ということになります。

こんな話は、大企業に限ったことではないのか?と思われるかもしれませんが、果たしてそうでしょうか?

ものすごくやりたいことや、思い入れのある製品で起業する場合、その製品や事業の成長に注力するあまり、このことを忘れがちではないかと思います。
零細であっても、むしろ経営体力のない零細だからこそ、事業の種まきとも言える新製品や新サービスを小さく生み出し続け、余力を使ってゆっくり育てておくことで、万が一本業が成り立たなくなっても生き残る道を残すことができるのではないでしょうか。

いろいろたくさん生んでおけば、適応して繁栄するものが出てくるなんて、何だか生物の世界のようです。生物多様性の豊かな土は健康で強いそうですが、事業も似たようなものかもしれません。

リーゾを振り返ってみますと、お客様からの要望で、商品やサービスがかなり多様化しています。が、それぞれがどのフェーズ、象限に当てはまるのかと考えると、ほとんど全てが「問題児」。すいすいシリーズや交配袋はかろうじて花形に近いかなと思いますが、「データ解析」「アクアリウム」は赤ちゃんですし、「美食同玄米」もまだまだ・・・。

でもそれぞれに、熱烈に必要としてくださるお客様がいる商品になっていますし、こんな風にたくさん種まきできること自体、きっと幸せなことなんでしょうね。

「プロダクト・ライフサイクル」「プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント」については、筆者独自の解釈で説明しております。ネット検索していただくと参考になるサイトがたくさん出てきますので、気になる方はきちんと勉強してみてください。

(2015年11月4日配信のすいすい通信より)

「すいすい通信」
https://rizo.co.jp/merumaga.html

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