見出し画像

零細起業の経営実務(8)小さな事業成功の極意

起業したい、するかもしれない研究者さんのために、リーゾの経験談をお伝えしています。今回は、小さな事業を長く幸せに生き延びさせる=成功する
ために役立つ「極意」をお教えしようと思います。

その前に「成功」の定義についてひとこと。
「生き延びるくらいじゃ成功とは言えないよ!」という突っ込みは覚悟のうえですが、生まれる会社5000のうち、まともに生き残るのは1つと言われるビジネスの世界。元気に生きてるだけで十分成功、というのはそんなに大げさではありません(ちなみにリーゾは成功=上場という価値観を捨て、小さく長く幸せに存続することを目標にしてます)。

起業して半年くらいのとき、茨城県商工会主催の「創業塾」に参加しました。
思うように売上げが伸びずどよーんと落ち込んでいた時期なのですが、そんな時に聞いて、ものすごく心に沁みて、今でも肝に銘じていることです。どんな業種の事業にも、もしかしたらご研究にも通じるものかもしれません。ぜひご紹介したいと思います。

(1)商売は、「得」「楽」「便利」「面白い」の提供である
お客様は、「得」「楽」「便利」「面白い」のいずれかを求めて商品やサービスにお金を払うもの。なので、この4つのうちの少なくともいくつか、できれば全部を、自分の提供する商品やビジネスに持たせるように考えることが大事です。

(2)人のやらないことをやれ
人のやっていないことを探してやりなさい、大手と競争するな、大手の真似をするな。すなわち、「ニッチ」に行け、ということです。

(3)不況時こそ起業の好機
当時(平成21年)は不況の真っ只中で、そんなときに起業するはめになって不運だったと思っていましたが、そんなことはなくむしろ反対だと言われました。雪の下で芽を出して、じっと春を待つイメージです。冬の間に根っこを張っておけば、春になって伸びることができると。

(4)『継続』が大事、チャンスはいつか来る
どんな起業でも、「馬鹿なこと始めちゃったのかな。もうやめようかな」と思う時期が必ず一度は来ます。雪の下で春を待つためには、苦しくてもやめずに続けていかなくはなりません。細く長く、低空飛行でいいから続けていれば、いつか必ずチャンスが来る。しっかり準備してそれを待ちなさい、と言われました。

(5)「無理」「無駄」「無茶」をしない
細く長く、低空飛行でも飛び続けるためには、「無理」「無駄」「無茶」をしないこと。大きな借金をして店舗を構えたりといった金銭的なことももちろんそうですし、起業にはつきもののようなイメージのある「徹夜」や「休日返上」など体力的なこともあてはまります。一時のつもりで家族に無理を強いるのも破綻のもとです。

精神論っぽい話ではありますが、不本意な失業から成り行きで貧乏起業して半年後の「迷える新米経営者」にとっては、それまでやってきたことが概ね間違っていないとわかり、苦しくてもそのまま信じて進めと背中を押してもらった思いがして、心強く感じたことを覚えています。

あれから6年※ほど経過した今、もう一度上の助言を見直してみると、感じ方が少し変わりました。(2)から(5)はすっかり当たり前のことになり、(1)が一番肝腎だと実感します。

お客様にとっての「得」「楽」「便利」「面白い」は、言い方を変えれば「満足感」。買ってよかった!利用してよかった!得をした!と思ってもらえる商品やサービスは何なのかを探るのは簡単ではありません。お客様の需要は常に変化し続けますし、本当のところ何が欲しいのか、どうしてもらうとうれしいのかを、お客様自身が気づいていないことも多いからです。

振り返ってみると、リーゾで開発してきた製品やサービスは、お客様からのご要望で生まれたものがほとんど。
そういう意味では、(1)をこれからも実現し続けていくためには、まだまだいろいろな方向にアンテナを張ったり、勉強したり、慮る力をつけたり、していかなくてはならないのでしょう。

事業がだんだん軌道に乗ってくると、最初の頃の苦労や心構えを忘れがち。立ち上げ時の超貧乏状態を知らないスタッフも増えてきました。いいことだけれど、私自身、緊張感や危機感が少し薄れているようにも思います。これを機に、初心に帰って、精進したいと思います。

「創業塾」に参加した当時のブログ記事がありますのでそちらもご参考に。

※(2015年9月2日配信のすいすい通信より)

「すいすい通信」
https://rizo.co.jp/merumaga.html

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?