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零細起業の経営実務(49)クラウドファンディング完結編

平成28年2月に募集、同9月〜令和1年8月末の2年間運用してきた
投資型クラウドファンディング「美食同玄米ファンド」の事業期
間が終了し、決算、監査、出資者への償還が完了しました。

利用したのは、ミュージックセキュリティーズ社(以下М社)の
「セキュリテ」というしくみ。美食同玄米事業の成長を応援して
ください、ということで一般の投資家から一口2万円×105口
=210万円の出資を募ったところ、わずか1週間ほどで枠が埋
まりました。

集まったお金の使途は、お米の仕入代、パックご飯への加工費、
玄米保管庫の購入など、美食同玄米事業限定です。対象事業の方
は試薬、受託、交配袋、メダカ関係まで含め、2年間の売上総額
の10%(リクープ後は3%)を償還する、という契約にしまし
た。

そして2年間の運用後、償還総額は224万円余りで、無事に出
資金総額を上回ることができ、ほっとしました。

さて、クラウドファンディングと聞くと、志ある事業者が苦難を
乗り越えるストーリーを応援する美しいイメージがあります。そ
のイメージを壊したくない方は、ここから先は読まずに飛ばして
ください(シビアなお金の話をします)。

ここで出資者、リーゾ、М社の立場で損得を考えてみます。

まず出資者のみなさま。一口2万円を出資したとして、
・購入時の手数料 1600円
・償還時 1352円の利益
・出資特典 4000円相当

金銭的には250円ほど赤字になって申し訳ないです。出資特典
(リーゾの場合はいろいろ選んでいただけました)と、応援する
ことによる精神的な満足感を得ていただけていればいいな、と切
に思います。

一方で、リーゾの方は、
・210万預かり、224万をお返しする(差額14万)
・監査手数料2年分25万
・М社への成功報酬2万強
・出資特典の原価と送料、たぶん30万くらい
合計で70万程度の損失です。

※本来は専用ウェブサイトの作成などの初期費用として別途数十
万かかるらしいのですが、これは茨城県の補助金で出してもらえ
てました。

そしてプロジェクト運営者であるМ社は、
・リーゾからの監査手数料と成功報酬 27万強
・出資者からの手数料 33万
合計60万(プラス、県からの初期費用数十万円)をこの案件で
得たことになります。

このように書くと、「なんだ、結局胴元が儲けるビジネスか」と
思われそうですが、儲からなければファンドの運営会社は成り立
ちません。実際に短期間に出資が集まったのは、サービスとして
よくできているからで、高いか安いかはともかく、その対価を受
け取るのは当然。むしろ、なんてうまい商売だ!と感心していま
す。

実は「ふるさと納税」も同じことが言えて、寄付した金額の15
%程度は楽天などのサイト運営者の懐に入ります。これもビジネ
スなので当然。でも寄付(納税)する側として、こういうしくみ
だということは知っておくほうが良いですよね。

ともあれ、クラウドファンディングの利用で、美食同玄米事業を
始めリーゾ自体が一段階成長できたことは確かです。出資して、
応援してくださった方々には感謝しかなく、いただいたご縁を引
き続き大切にしていきたいと思っています。

出資者のおひとりから、「毎月の事業報告をきちんと出していた
のはこのファンドだけ。続けて投資したいくらいだ」というお言
葉をいただきました。この言葉をかみしめて、これからも誠実に
事業を育てていきたいです。

ファンド終了にあたり、出資者のみなさまにメッセージを送りま
した。リーゾを応援してくださるすべての方に、同じメッセージ
をお届けしたく、ブログに公開しています。

(2019年11月6日配信の「すいすい通信」より)

すいすい通信
https://rizo.co.jp/merumaga.html

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