零細起業の経営実務(27)初めての「消費税」納税

起業を志す研究者のみなさんへ、リーゾの経験をお伝えしているシリーズ。今回は、今年リーゾが初めて納税した「消費税」の話題です。

お買い物の際に8%上乗せして払っている消費税。「ちゃんと国に納税されているのかしら?」と思いませんか。実は私自身、ちょっと怪しんでいました。

実際には、企業が預かった消費税は、以下のようなきまりで計算・納税されています。

まず、資本金が1000万円以下の法人の場合、消費税をちゃんと計算して納めるのは、売上高が1000万円を超えた年度の、翌々事業年度からになります。消費税は、受取るばかりではなく、仕入の際は払いますから、事業規模が小さいうちは相殺ということにしましょう、という考え方のようです。

リーゾのような高付加価値型商売(売上高のわりに仕入高が少ない)の事業者にはたいへんありがたい制度です。が、零細リーゾもさすがに2期前に売上高が1000万円を超えたため、今年めでたく消費税を納めることになりました。

消費税を納税する場合、「原則」と「簡易」の2つの計算方法があります。

前者は、受取った分の消費税から、仕入時に支払った分を引いて、つまり実額ベースで計算して出す方法です。

後者は、事業区分(後述)ごとに決まっている「みなし仕入率」(後述)を使って計算する方法です。「こういう種類の事業なら、仕入がこのくらいあるだろうから、すでに払った消費税もこのくらいあるはず」という値が、素人目に見てもかなりざっくりと決められています。

「原則」にするか「簡易」にするかは、2期前の売上高が5000万円までなら、自分の会社にとって有利な方を選ぶことができます。
ちなみにリーゾの場合は、簡易課税の方が断然有利なのでもちろん簡易です。

簡易課税の場合の事業区分は下記の通りで、下に行くほど、みなし仕入率が低く(つまり、納める税金が高く)なります。

第一種(90%):卸売業(仕入れたものの形態を変えずに他の事業者に販売)
第二種(80%):小売業(第一種以外で、仕入れたものの形態を変えずに販売)
第三種(70%):農業、林業、漁業、鉱業、建設業、製造業(製造小売業)
電気業、ガス業、熱供給業及び水道業
第四種(60%):飲食業、役務の提供業
第五種(50%):運輸通信業、金融・保険業(注)、サービス業(飲食業以外)
第六種(40%):不動産業

リーゾの商品はそれぞれどこに該当するのかと言いますと、

お米、メダカ関係 → 第二種(形態は変わってない、と考えるらしい) 
試薬、交配袋 → 第三種(「材料買って作って売る」ので製造小売業)
受託、実験補助講習、人材派遣 → 第五種(サービス業)

だそうです。

例えば、第二種の小売業で1000万円の売上なら、預かった消費税は80万円ですが、納税額は80万円×(100%−みなし仕入率80%)=16万円と計算します。企業としてはありがたいことに、ずいぶん減ってしまいます。

同様に他の区分も計算して合計額を出します。

「簡易」とはいえ、これを計算するのはめんどくさそうですよね・・・。
実は、会計ソフトに売上げを入力するときに、事業区分を入れておきさえすれば、決算後に自動的に計算してくれることがわかり、結局ほとんど何もせずに納税額が決まりました。
(使っているのは「弥生会計」という3万円くらいのソフトです)

・・・実はリーゾさん、昨期は久々の赤字決算で、法人税はゼロ。
にも関わらず、消費税はウン十万も!!払わなくてはならない・・・。

去年までは払わなくてよかったのに・・・赤字だったのに・・・、と思うとかなりブルーです。でも、消費税は本来、お客さまから「お預かり」しただけ、最初から国のお金なんだ、と言い聞かせて泣く泣く納めました。

それなりに繁盛しているからこそかかる税金。納められるのは健全な会社だということでしょう。できれば払いたくないですが、去年は法人税、今年は消費税と、興味深い経験をしました。「リーゾさん」も成長したものです。

というわけで、これからもたっぷり税金を払えるように(?)、ご愛顧よろしくお願いいたします!

(2017年6月7日配信のすいすい通信より)

「すいすい通信」
https://rizo.co.jp/merumaga.html

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