見出し画像

零細起業の経営実務(26)かなり奥が深い!『接客』入門

起業を考えている研究者さんに、リーゾの経験をお伝えしているシリーズ。今回は、研究者さんにはあまり関係ないかもしれないのですが、店頭販売する際の接客についてのお話です。

リーゾの主なお客様は全国の農学系研究者さんで、お客さまとのやり取りは、99%がメール。直接お会いすることは、ごくたまにしかありません。人見知りするタイプで、営業なんて絶対向いていません。リーゾなら、そのやり方でずっと行けるから安心だと思っていました。

でも、美食同玄米を売り始めて、そうは行かなくなりました。最近では試食販売イベントなどで、お客さまに積極的に声を掛け、説明して、お勧めして、買っていただく、という(以前の自分からしたら)とても信じられないことをやっています。

もちろん、最初は思いっきり緊張していました。
「ご試食いかがですか?」と声を掛けて、無視されたり、断られたりすると、やっぱり傷つくんですよね・・・。笑顔もひきつってしまったりして。

でも、習うより慣れろで、数をこなしているうちに、いつの間にかリラックスして声を掛けられるようになり、断られても気にしないでいられるようになりました。何事も経験ですね。

駆け出し販売員として試行錯誤していることを、ちょっとご紹介します。

試食の場合、お客さまが小さなおにぎりをつまんで口に入れ、もぐもぐしている間の10秒ほどが勝負。ここを沈黙するのはもったいないし気まずいので、このおにぎりがどういうものなのかを10秒でわかりやすく説明できる「スクリプト」(ってほどでもないですけど)を考えています。

たとえば、

『古代米とコシヒカリを掛け合わせて作った、玄米食専用の新しいお米なんです』

これで5秒。後半は、お客さまに合わせて、
『黒い部分は、ポリフェノールなんですよ』
とか、
『お通じが改善して、美肌効果もあるんです』←あくまで個人の感想です
とか、
『玄米ごはんなのに玄米臭くないでしょう?』
とか、アレンジしてお伝えして、合計10秒。

お客さまがしゃべれる状態になったら、「お味、いかがですか?」と聞きます。大概は、おいしいと仰っていただけて、何かしら質問したり、コメントしたりしてくださるので、少しおしゃべりや説明をします。

今のところ、ここまでは順調に来れるようになったのですが、ここからご購入に至る「売り込み」はまだまだダメ・・・。

「ごちそうさま」と立ち去るお客さまを、引き止めることができません。リーフレットやレシピ集を差し上げられればまだいいほうです。
売らんかなと思われるのは嫌だなあ、という余計な自意識がまだあるのですね。

でも、リーゾはこれでいいのかもなあ、とも思います。

「しゃべりがうますぎると、信用できないと思われる」とも言います。人見知りの理系女がとつとつと良さを語るからこその信頼感、というのもありではないかと。そんなことを言っていると生き残れないかもしれませんが。

ところで、接客していてわかった意外なことは、
『たくさんしゃべらなくて良い(むしろ聞くのが大事)』
ということ。商品の良さを伝えたくて一方的にしゃべっても、お客さまには届かないんですね。どちらかというと、お客さまがたくさんお話してくださったときの方が、ご購入に至りやすいと感じています。

お米とはあまり関係のないご自分やご家族の話を、うれしそうになさるお客さま、結構多いんです。いろんな話をぐるーっと回って、最後にお米の話に戻って、「じゃあ、ひとつもらっていくわ」となること、多いんですよね。これはきっと、お米が欲しいわけじゃなくて、話を聞いてもらったお礼なのかなあ、と思ったりもしますが。それでもうれしいものです。

これから経験を積んでいくなかで得られることはたくさんあるはず。ずぶの素人の挑戦は新鮮なことばかりです。気づいたことを、またお伝えしていきたいと思います。

(2017年5月3日配信のすいすい通信より)

「すいすい通信」
https://rizo.co.jp/merumaga.html

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?