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海のはじまりがはじまる前に

ついに始まりますね、我らが目黒蓮さん主演の月9ドラマ『海のはじまり』
ドラマが始まってみないことには何も考えたり思ったりするスタートラインにも立ってはいないと重々分かっていながら、
きっとドラマが始まってしまったら、その映像美や抒情的であろう音楽や、魂を込めた俳優さんたちのお芝居に圧倒されて感動し、何も言えなくなってしまうのは目に見えているので、今のうちに私の考えを記しておこうと思います。

私は天に誓ってスノ担で目黒担、
飲むビールは晴れ風だし、ソフトドリンクは午後の紅茶、スニーカーは年中PUMAだし、日々うわごとのようにSnow Man好き目黒くん好き~となにかしらXで呟き、東に看板があると聞けば走り、雑誌の発売日には本屋に走り、毎日彼らの歌や動画に元気をもらって生きています。
決して彼らのお仕事を批判したり邪魔したい訳ではありません。

けれど同時にエンタメの力を信じてもいるので、創作物に対して自分の感想、考えをちゃんと持ちたいとも思っています。

以前あまりにも思い入れが強すぎて1年越しに書いたsilentの6万5千字感想文でも、もちろん大好きな場面や愛しているセリフ等も熱く語りましたが、
読んで下さった方はお分かりの通り、
推しが出ているからって全肯定するのではなく、それってデリカシーなくない?筋通ってなくない?という部分にもちゃんと目を向けて自分の考えを書いたつもりです。

物語によって考えさせられるだけではなくて、その物語は全能で全部が正解で全部が誰にとっても正義なのか?という部分もちゃんと疑って受け止めたい。


さて、今回の『海のはじまり』
導入部分を読んで引っかかった方も多かったと思います。

この物語の主人公となるのは月岡夏(つきおか・なつ/目黒蓮)。大学時代に、ふとしたきっかけで付き合うようになった同級生・南雲水季(なぐも・みずき)と幸せな日々を送っていました。しかし、就職活動を迎えようとしていたある日、突然、彼女から別れを切り出され、そのまま2人は別れることに。それから7年がたち、新しい人生を歩んでいた夏でしたが、大学時代の友人からの連絡で、水季が亡くなったことを知ります。別れを告げられて以来一度も会うことがなかったこともあり、その事実に実感が湧かないまま葬式へと向かった夏は、そこで海(うみ/泉谷星奈)という名の幼い女の子と出会います。その女の子が、水季の子どもだということを知った夏は驚きを隠せません。そして、彼女の母親から、自分が海の父親だと聞かされます。水季が、自分の知らないところで、自分との間にできた子どもを生み、何も言わずにその子どもを育てていたことを知った夏は、水季と海が過ごした7年という月日に思いをはせ…

『海のはじまり』公式HPより


ん?学生時代に妊娠したの?避妊しなかったの?
思いをはせてる場合じゃなくない?
まだこれだけしか情報がないので想像(妄想?)するしかないのですが、なんでそんなことになるんだろうって疑問は深まるばかり。

プロデューサーの村瀬氏は「今の目黒君に子供がいる役をやらせるのって、大きな賭けではあると思う」と目黒君に仰ったそうですが、
いやその前に。
私は推しが子供いる役をやろうが結婚してても不倫でも、とにかくそれが物語として必要とされているならば大歓迎なんですが。
学生時代に、大好きな女の子相手に避妊しなかった男の子(そしてそのあと何のケアもしていない)の役の方が賭けではないですか。

ずっとモヤモヤしていたのですが、ドラマ放送前に来たアンサーのひとつが脚本の生方さんのインタビューでした。


明確に伝えたいことはふたつだけです。ひとつは、がん検診に行ってほしいということ。すべての人が受診できる・受診しやすい環境が整ってほしいです。もうひとつは、避妊具の避妊率は100%ではないということです。大人でも「避妊すれば妊娠しない」という認識の人が非常に多い。今回のドラマのあらすじが公開されたときも「大学生にもなって避妊も知らないカップルの話なんて書かないでくれ」というご意見をもらいました。予期せぬ妊娠をした人とそのパートナーを「避妊しなかった」「性にだらしない」と決めつける風潮が、さらに彼らを追い込みます。コンドームは正しく使用しても90%程度、低用量ピルの内服でも99%の避妊率といわれています。人工妊娠中絶に対する否定的視線もそう。事情も知らずに非難される傾向にあります。いつか身近に彼らと同じ悩みを持った人が現れたとき、悩み苦しみながら自らの選択をしたドラマの登場人物たちを思い出し、少しだけ優しくなってください。

GINGER特別インタビューより

なるほど。
設定の理由もそれを通して訴えたいこともよく理解できました。
助産師だった生方さんらしいと思います。

でもここで訴えるべきなのは、彼らに優しくなってほしいということだけではなく、じゃあ彼らはどうすべきだったのかという事じゃないのかと思うんです。
(もちろんドラマを通してそこが描かれるかもしれないので、あくまで今の時点での私の独りよがりな考えです)

今の風潮と生方さんが仰るなら、今って「なんでバイアグラはすぐ手に入るのにアフターピルは手に入りにくいの、そんなのおかしい」「避妊したって女の子は生理がくるまでハラハラするもので、その気持ちを男性も理解しよう、女性も声に出していこう」「予期せぬ妊娠をした時に女性が自分も悪かったと自分を責めないでいい世の中にしていこう」という流れにようやくなりつつあると思うんです。
それなのに、この出来事で一番視聴者が寄り添い想いを馳せケアされるべき水季は死んでしまい、
スポットが当たるのは目黒くん演じる夏くんで。
こうなってしまうと、こちら側は夏くんに感情移入して寄り添ってしまう。それでは問題は解決されない。
水季がなぜ一人で抱え込んでしまったのかドラマで解明されることを期待しています。

家族愛とか、気持ちとか(ドラマが始まれば素晴らしい映像美や音楽や俳優さんたちの演技に)に根本的な問題がすり替えられてない?って思うんです。
家族愛を描くならそれでもいい、人はどうやって父になり母になるかを描くならそれでもいい。
でも脚本家の生方さんが伝えたいことはこのふたつだけと仰る。

がん検診に行って欲しいとのことですが、検診に行くことを創作物の中で人の死を以てして啓蒙するのは最善だとは私は思いません。
だって誰でも死んだら悲しいし、泣いちゃうもの。
そこを死という最終手段を使わないで伝える表現者の方が好きです。
ティザーでめちゃくちゃ葬儀場も遺影も出てきてたもんな……。
しかも今回わざわざ子役さんをキャスティングしておいて、その子のママを亡くし、そして“予期せぬ妊娠でできた子”とするのって、ほんとどうなのって思う。
そりゃパパができるから(新しいママも?)いいのか……って穿った見方になっちゃう。

嫌なら見なきゃいいってご意見ごもっともだと思います。
自分でもそう思うもの。
でも、とにかく自分の命より大事な目黒くんのお仕事を応援したい、見届けたい。


このドラマの一報を聞いた時に私は

こうツイートしてるんですが、初回の前にもう一度この気持ちを思い出したい。どうかこのドラマの“本質”がきれいごとではなく全方向に、みんなに優しいものであってほしい。
始まる前は不安になったりモヤモヤしたりしたけど、やっぱり勇気をもって観て良かったと思えるドラマになることをほんとうに心から祈っています。


もうひとつ、私の個人的な意見としてドラマって日々しんどいことばかりの日常で、ささやかなお楽しみであってほしい。
道徳の教科書じゃなくていいし、それこそ絶対正解である訳がない。
みんなが『考えさせられ』なくていいし、考えたくない人はあえて考えなくてもいいと思う。
それくらい優しくあってほしい。

「ドラマを観てどう思ったか、自分の感想や思いを大事にしてほしいな、と思います」と語っていた生方さん。彼女が紡ぐ静かで優しく、力強い言葉とその先にあるメッセージを逃さず、観た後にちょっと考える時間。この夏は作ってみませんか。

GINGER特別インタビューより



私の記憶が正しければ、海のはじまり公式が出したクランクイン時や選ばれた時の感想などを役者さんが話してる中で『楽しんでほしい』って言ったの目黒くんだけだと思うんです。
なので、いったんここに書いた気持ちは置いておいて(でも忘れずに)ドラマというエンタメを全力で盛り上げて楽しみたいと思います!


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