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モトヤフ白石陽介さんインタビュー:前編

モトヤフインタビューシリーズ第31回です。本日は、2012年にヤフーに入社。Y!モバイルやYahoo!マネー等の立ち上げを経て、決済プロダクト本部長として、PayPayの立ち上げも経験された白石さんにお話しを伺いました。

現在、白石さんは、前澤友作氏の元で、株式会社ARIGATOBANKの代表取締役を務めておられます。また株式会社MZCryptos代表取締役、株式会社Hashport社外取締役などのWeb3関連事業にも従事されているFintech業界のプロフェッショナルです。

インタビュアーはこちら前編を川村 英樹(TechMagic(株)監査役)が担当しました。後日投稿の後編は中崎 隆(弁護士)がインタビュアーを担当します。

-本日はよろしくお願いいたします。まずお名前をフルネームで教えてください。

白石 陽介 (しらいし ようすけ) です。よろしくお願いいたします。

-お生まれはどちらですか、またどちらにお住まいですか。

生まれは大阪で、中学から社会人になるまでは京都で過ごしました。通っていた中学高校は、南禅寺と永観堂の間にある学校で、所属していた部活のランニングコースは南禅寺から銀閣寺に行く哲学の道だったりしました。現在は、東京都内に在住しています。

南禅寺付近の風景

-これまでのプロフィールをご紹介ください。

2005年にインターネットイニシアティブ(IIJ)にネットワークエンジニアとして入社しました。その後、金融SI部隊に異動しました。そこで、SBIグループへ出向する機会があり、証券のシステム開発に従事しました。ここでSlerのように受託してモノづくりをするのではなく、当事者として事業に関わる事の魅力に気づき、縁あって2012年にヤフー株式会社に入社しました。

ヤフーではY!モバイルやYahoo!マネーの立ち上げを経て、決済プロダクトの統括責任者に就任。PayPayの立ち上げにも関わりました。その後、株式会社ディーカレットにCTOとして参画し、デジタル通貨事業の立ち上げに従事しました。

↑こちらの詳しいエピソードは後編でご覧下さい!

その後、株式会社スタートトゥデイにFintechのプロとして参画し、前澤さんと共に、株式会社ARIGATOBANKを設立し、代表取締役に就任しました。現在は、株式会社MZ Cryptos代表取締役、MZ Web3 Fund General Partner、株式会社Hashport社外取締役といった肩書で、Web3関連の事業にも従事しております。またJCBA(暗号資産ビジネス協会) ステーブルコイン部会長として、規制への提言や、東京都デジタルサービス局フェローとして東京都のICT政策に関する助言等も行っています。

-インターネットイニシアティブ時代のエピソードはありますか?

今でも鮮明に覚えているのは、入社2年目の正月明けに、それまで働いていたエンジニアの部署から、コンサルタントやPMが所属する部署に異動になったんですね。そこで、見習いとして私が着任したのですが、キックオフの1週間後くらいのタイミングで上司のプロジェクトマネージャーが交通事故に合い入院することになりました。
自分としては、当然別の部署から別のPMの方が来ると思っていたところ、管掌役員に呼ばれて「白石!おまえやれ」ということになったんです。その瞬間は何をしたら良いのかも分からず頭が真っ白になり、クライアントからしても「こんな若造が何の冗談だ」と思われたと思います。

事務局注)白石さんを評価してプロジェクトマネージャーを任せたこのときの上司は、その後ディーカレットの社長に就任され、白石さんをCTOとして迎え入れデジタル通貨事業の立上げを任せることになります。

そのときの自分としては、がむしゃらに働くことしか出来なかったんですが、でも「自分になにができるんだろう」ということを、冷静になってしっかりそのとき考えたのが良かったのだと思います。そこから徐々にクライアントからの信頼感も得られるようになり、最後まで投げ出さずに責任を全うすることができました。ところで後日、自分のプロジェクトマネージャーとしての動きをサポートするメンバーが追加でアサインされたんですが、何とそれが新卒の社員で、3年目の自分が名刺の渡し方や議事録の取り方を手取り足取り新人に教えながら、小僧2人でなんとかプロジェクトに向きあっていました(笑

-ヤフーの在籍期間はいつでしたか?

2012年9月から2019年1月までです。

-ヤフーに入ったきっかけは何でしたか?

当時R&D統括本部でIDサービスを担当されていた松岡泰三さん(現デジタル庁)からお誘いいただいたのが始まりです。松岡さんからは誘い文句として「ウチにくれば、あの楠正憲と一緒に仕事が出来るぞ」と言われたのを覚えています。
そしてミッドタウンの下のパン屋のカフェスペースで谷田さんとカジュアル面談いただきましたが「俺はPayPalとFacebookをぶっ壊したいんだ」と熱く語っておられて、こういう人が偉くなる会社は面白いかもなと思ったのが入社のきっかけです。
この時期は、一般の採用を一時的にストップしていた時期だったので、こうした形で、リファラル中心の採用をしていたようです。

左が谷田さん

-ヤフーでのお仕事はどんな内容でしたか?

最初はID本部に入社しました。ヤフーへの不正アクセスの対応や、ソフトバンクとのシナジープロジェクトであるY!プレミアムの店頭バンドル案件等の経験を経て、Y!モバイルの立ち上げに関わらせていただきました。その後、Y!ウォレットのSMとして決済サービスに関わるようになりました。Y!マネーを立ち上げた後は、決済プロダクト本部長としてPayPayを立ち上げて、退社致しました。

↑こちらの詳しいエピソードは後編でご覧下さい!

先ほどの「Y!プレミアムの店頭バンドル案件」のことについて詳しくお話ししますと、ヤフーとソフトバンクのシナジーの一環として始まった案件で、携帯電話申込時に簡単にY!プレミアムを申し込む事ができ、お得な体験を受け得られるという仕組みです。

ただ、サービスリリース当初は、申し込んでからさらにSMSのメッセージを開いてサインナップしないとY!プレミアムの特典を受ける事ができないという仕様で、流石にそれはU/X的によくないだろうということで、実際にお客様に課金が発生するまでの間に、申し込んだらすぐに使えるようにしよう!という指示が、クリスマス頃に、IDチームにおりてきました。

このため私たちヤフー側とソフトバンク側の各スタッフが一緒に、ほぼ泊まりがけで対応することになり、年末から正月にかけてプロトタイプを開発して、年明けから2週間くらいで、爆速開発して、2013年の1月中に自動で使えるようにしました。

この時に開発したヤフーにワンタップでログインできる仕組みが社内で評価され、「全社爆速化大賞」も受賞しました。
爆速だったから、その後のシナジープロジェクト担当に任命され、Y!モバイルの立ち上げに関わるようになったんです。

-ヤフーで学んだことはどんなことでしたか?

私はヤフー以前はtoBビジネスしか経験がなかったので、今、自分がなんとかやっていけているのはヤフー時代の皆様から学ばせていただいたおかげだと思っています。ユーザーファーストという観点はもちろんのこと、U/Xの考え方や、開発におけるプライオリティの考え方、あげていくときりがないですね。ただ、もっと本質的な話としては、利他の心だったり、be wild だったり人としての視座をあげる事ができたのが一番の変化だと思います。

-ヤフー時代のエピソードやトピックはありますか?

ヤフー時代は本当に濃厚な時間で、エピソードは枚挙にいとまがないのですが、人生経験という意味では、Y!マネー立ち上げ前にあった、Alipayとの技術交流や、PayPay立ち上げ時のPayTMとの交渉が自分の中ではタフな仕事だったと思っています。あとは伝説の小澤塾や、初代アカデミア生だったのでアカデミアでの出来事なんかも鮮明に覚えていますね。

-辞めたから分かるヤフーの良さというものはありますか?

仕事をする環境や人間関係の良さ、チャレンジできる仕事の大きさ、社会的意義等、色々な面でみて素晴らしい会社だと思います。日本のITサービスの会社でこれだけのスケールでチャレンジングな仕事ができる環境は中々ないと思いますね。社内にいると、つい自分の仕事が社会に影響を与えたりニュースになったりすることが当たり前のように感じがちでしたが、外に出ることでより強くそう思うようになりました。

-ネクストキャリアを選んだ決め手は何ですか?

PayPayをローンチした後、決済の機能がヤフーからPayPayに移っていく事が決まり、モバイルペイメントの新サービスに関われて一つ自分の中で区切りがついたのと、アップデートお金を標榜していた自分としては、キャッシュレスからもう1段踏み込んでお金のアップデートをしたいと思うようになり、ブロックチェーンを使った決済に挑戦したいと思った事が決め手ですね。それと1年半以上、インターネットイニシアティブ時代の元上司でディーカレットの社長になった方から誘われていたことも大きかったです。

DeCurret時代_中国のブロックチェーンサミット

-現在のお仕事は具体的にどんな内容でしょうか?(複数ありましたらどちらもお聞かせください)

株式会社ARIGATOBANK 代表取締役CEO
(https://www.arigatobank.co.jp/interview/index.html)
株式会社MZ Cryptos 代表取締役 (Web3関連の事業会社)
MZ Web3 Fund General Partner (Web3関係の投資ファンド)
株式会社HashPort 社外取締役
株式会社HashBank エグゼクティブフェロー
日本暗号資産ビジネス協会 アドバイザー
日本暗号資産ビジネス協会 ステーブルコイン部会長
東京都 デジタルサービス局 フェロー
NewsPicks 金融カテゴリ プロピッカー

現在の肩書はこういう感じです。

-現在の仕事の面白いところや素晴らしいところを教えて下さい。

前澤友作さんという稀有な起業家の元で仕事できるという点で、とても刺激的な日々を過ごさせていただいています。ヤフー時代も、変化が大きく流れの速い仕事をたくさん経験させていただきましたが、それと同じか、速度でいうとそれ以上だと思います。
また、今は、ARIGATOBANKというFintechの会社をメインにMZCLUBというブロックチェーンゲームギルドの運営や、MZ Web3ファンドというWeb3領域にフォーカスしたVCをやっているのですが、業界的にも非常に動きが速く、成長している領域なので、そういう場所のど真ん中で仕事できるのはPayPayの立ち上げに関わっていた時と同じようなワクワク感がありますね。ARIGATOBANKは「お金に困っている人をゼロにする」というコンセプトでの事業展開をしています。

-今、特に力を入れていることは何ですか?

仕事面では、JCBA(日本暗号資産ビジネス協会)のステーブルコイン部会の部会長を長らく努めておりまして、今年6月に可決された改正資金決済法によってステーブルコインの扱いが明文化されました。
来年度の施行に向けて今はディティールを関係省庁と詰めているところで、この内容の如何によって、日本のステーブルコインの隆盛が決まるといっても過言ではないので、ここにフォーカスしています。

-ご家族以外で尊敬している方がおられたら教えて下さい。

ここは前澤さんですと答えるしか無いと思います(笑)
また、宮坂さんも今でも東京都のお仕事で関わらせていただいておりますが、接点が減る中でも学ばせていただくことはとても多いですし、谷田さんも今でも頭が上がりません。お世話になった上司というのはいつまでも、尊敬する対象のままだと思います。

Arigato Bank設立時_前澤さんと
右が宮坂さん
右が谷田さん

-ご趣味は何ですか?

まずはロードバイクですね。今でもヤフー自転車競技部の仲間とよく走りに行っています。あとは車ですね。たまにですが、自分の車で仲間内でサーキットを借りて練習会やったり、車をばらして整備したり。
ツールド東北では道端カレンさんのアテンドライダーを務めたこともありました。また白馬では年2回ほどAtack406というイベントを企画して行ってます。

ヤフー自転車競技部メンバーと

-コロナで変わったことはありますか?

飲み会が減って家で過ごす時間が増えましたね。これによって家族と接する時間が増えて、精神的にはとてもプラスの効果が大きかったので、宣言が終わってからは、会食のお誘いも多いのですが、今でも週2回以下になるように調整しています。

-ライフワークは何でしょうか?

ここしばらくはずっとアップデートお金に取り組み続けていますね。お金にまつわる仕事って無くならないと思うので、これがライフワークと言えると思います。10年後、20年後のお金がどうなっているのか、想像するだけでもワクワクするので、自分がその最前線にいられる間は続けたいですね。

-これからチャレンジしたいことは何ですか?

これからチャレンジと言い続けて10年くらいたっているのですが、英語学習ですね。あらゆる事の中で、学生時代にサボったツケが一番大きな事かもしれません。今年こそは真面目に取り組みます。。!

-イマヤフに伝えたいメッセージをお願いします。

今でもヤフーは大好きな会社です。私を含めた多くの人がヤフーのサービスを使って、日常を便利にしています。日本人の多くの人を幸せにできる会社はなかなかないですよね。数字的な話はもちろん重要ですが、ユーザに喜んでいただくことは、プロダクトを持つ会社の人間としては一番幸せな事ではないでしょうか。これからもユーザーファーストでプロダクトに向き合う会社であって欲しいと思います。

-モトヤフに伝えたいメッセージをお願いします。

Fintech関連やweb3関連でお悩みの方おられましたら、是非お気軽にお声がけ下さい。また、web3領域にフォーカスして投資を行うMZWeb3ファンドのGPでもありますので、web3領域での資金調達を検討されているスタートアップの皆様、web3領域での新規事業の検討、スタートアップとの協業等をお考えの事業会社の皆様がおられましたら、ご相談いただけると嬉しいです!

-白石さん、本日はインタビューご協力ありがとうございました!

次回後編では、更にヤフーでの決済関係でのご活躍の様子や現在注目されている暗号資産やデジタル通貨のお話を事務局の中崎からお伺いさせていただきます。

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