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モトヤフ坂倉さんインタビュー

元ヤフーメンバー・インタビューシリーズ第9回

今回のモトヤフインタビュー第9回は、ヤフー退職後に麻布中学・高校で教鞭をとっておられる坂倉さんにインタビューさせていただきました。なおインタビュアー2名のうち和田についてはヤフー入社前に同校での教鞭経験があるということで、インタビュアー川村や坂倉さんからも和田に質問するという3人でのクロスインタビューの形となりました。インタビューは麻布中高の江原記念室で8月初旬に実施させていただきました。(マスク着用でソーシャルディスタンスにて実施)
それでは記事をお楽しみください。

事務局(川村)
お名前と、どちらにお住まいか、お聞きします。

坂倉さん
坂倉貴子と申します。都内在住です。よろしくお願いいたします。

事務局(川村)
これまでのプロフィールをご紹介ください。

坂倉さん
2005年4月に新卒でヤフー入社、09年4月に丸4年間勤めたヤフーを退職して大学院へ進学し、2011年からは都内の私立中高一貫校で教員として勤務しています。
ところで、和田さんはいつ頃こちらで教鞭をとられたのですか。

事務局(和田)
はい、私は2004年から2008年までの4年間でした。大学の学生課の求人票で見つけました。教えていたのは高校の情報科と中学の技術(情報)科目です。
坂倉さんがヤフーに入ったきっかけは何でしたか?

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坂倉さん
就職活動では、業種を問わず、とにかく興味のある企業の説明会や試験に行ってみようと決めていて。IT業界に興味を持ったのは、全く想像のつかない世界だったからです。中でもヤフーはよくニュースや新聞で見かけるほど成長がすごかったんですが、これからは情報量だけでなく、信頼性も求められていく世界だと思いました。それを率先して作っていくべきだ、というようなことをエントリーシートに書いた記憶があります。

実際の就活の中でもヤフーは印象に残る企業でした。まず筆記試験が発想力を問うような独特な問題だったのと、当時のオフィスは六本木ヒルズだったのですが、面接の順番待ちをしている時に、社員の方がオフィスに出入りする姿を見ることができたんです。

新卒の採用試験は、オフィスとは別の場所で行う企業が多かったんですが、ふだん社員の方がどういう姿で働いているかを見せてもらえたのも、オープンな社風を感じて印象に残りました。最終面接では、当時の社長だった井上雅博さんがアロハシャツ姿だったのを憶えています。井上さんに、「この解答面白いね」と言っていただけたのもすごく嬉しかった。とにかく印象に残るところが多かった。未知のインターネットの世界にも興味がありましたし、ワクワクしていました。

事務局(川村)
和田さんはヤフーに入社したきっかけは何でしたか。

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事務局(和田)
小学生の頃に初めて開いたポータルサイトがヤフーでした。その後ヤフオクやYahoo!BBをよく使うようになり、普段から使っているヤフーのサービスをもっと良くしたいという思いで入りました。大学の研究室の先輩がヤフーに行ったというのも少なからず影響していると思います。

事務局(川村)
坂倉さんが未知のインターネットの世界にも興味があって入社されたヤフーでのお仕事はどんな内容でしたか?

坂倉さん
広告本部のSP(セールスパートナーズ)チームというところに所属していました。具体的には、サイト上に表示される広告枠を販売する営業担当部署です。広告代理店やメディアレップ(インターネット広告専門の代理店)とのお取引が多かったです。3年間は主にハウスエージェンシーや新規の代理店担当、最後の1年間はネット専業チームに異動になりました。当時は社内外ともに「飲みニケーション」の機会もけっこうありましたね。和田さんはヤフーではどんなことをされていたんですか。

事務局(和田)
ショッピングのフロントエンドエンジニアを担当してました。当時のYahoo!ショッピングはYahoo!.Incのショッピングシステムから日本独自のものにローカライズしている最中で、フロントからバックエンドまで必死で作り直しているフェーズでした。ガラケーやスマホも含めて対応することが増えたり、キャンペーンを実施するたびに想定以上の負荷があり、メール配信やポイントキャンペーンなどの販促系システムも日々増強に追われてました。年末のボーナスキャンペーンの負荷対策で深夜まで対応していた記憶があります。
ヤフー退職後、現在はKARTEというマーケティングソリューションを提供している「プレイド」という会社に在籍してプロダクトマネージャーをしております。
ところで坂倉さんにとってヤフーで学んだことはどんなことでしたか?

坂倉さん
物事の進行するスピードがとにかく速かった。技術の進歩も凄まじかったですし、事業も拡大の一途でした。たぶん2週間も休むと社内の話に追いつくのが大変だったんじゃないかと思います。急に状況が変わっても、それに合わせて対応していく必要がありました。そのような中で、社内外ともに満足のいく取引となるよう、なるべく視野を広く持って業務に携わることを学びました。
また、メールの量が尋常ではなかったので、大量の情報を捌く能力は培われたと思います。コロナになってから学校もオンラインで対応することが増えたので、こうしたヤフーでの経験がなかったら辛かったかもしれません。

事務局(和田)
辞めたから分かるヤフーの良さというものは何かありますか?

坂倉さん
業界を牽引していく気概のあるところと、新しいけれど、意外と昭和的な人情味がある会社というか。仕事だけの付き合いというよりは、社内に部活があったり、休日にバーベキューやスポーツしたり、プライベートでも集まることが多かったです。それも、先輩後輩関係なく一緒になって遊ぶんですよね。
たしかあの頃は新卒採用を始めて5年目くらいだったのかな。全体的に職場の雰囲気が若かったですし、経験豊富な中途入社の方々と、新卒入社組とのバランスが絶妙でした。コミュニケーション好きな人が多くて、エネルギッシュでフェアな雰囲気がありました。新しい発想にも寛容で、こうしてモトヤフというコミュニティを会社が作る、というのも面白いと思います。

事務局(川村)
では麻布中学・高校の校風・雰囲気や坂倉さんが現在教鞭を取られている科目などについてお話しください。

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坂倉さん
国語科で古文を担当しています。本校は中高一貫教育の私立学校で、中学から入学した1学年300人の生徒が6年間ともに学校生活を送ります。創立は1895年ですから126周年を迎えています。自由な校風が特徴で、校則はほとんどありません。文化祭のときなどに、特にこうした自由闊達な雰囲気を感じていただくことができます。

<事務局からの参考情報:Wikipedia>
「麻布三禁」
・校内での麻雀禁止
・授業中の出前禁止
・校内を鉄下駄で歩くことの禁止
(服装だけでなく頭髪や装飾品に関しても全て生徒自身に裁量が委ねられている。クラブ活動の運営なども生徒の手で自主的に行われている。麻布では、生徒による問題行動が起こった場合は、担任をはじめとする教員間で話し合いをし、家庭にも連絡を取りながら、本人の反省が自他ともに認められれば、通常の授業への参加を認める、という方法をとっている。)

事務局(和田)
坂倉さんが今のお仕事に就かれたきっかけを教えていただけますか?

坂倉さん
もともと大学では日本古典文学を学んでいました。卒業するタイミングで、企業に就職するか、院に進学して古典文学に関わる職業に就くか悩んだのですが、入社試験で感じたワクワク感に誘われてヤフーに。
結局は古典文学と教育の道を志しましたが、進路についてはこの時が人生で一番悩みました。大学院に進学後は大学の構内で今の職場の募集要項を見かけて…よく名前を耳にする進学校だったので、どんなところだろうと興味を持ったのがきっかけです。

事務局(川村)
現在のお仕事の面白いところや素晴らしいところを教えて下さい。

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坂倉さん
若い力に触れ続けられるところでしょうか。教えるはずの立場ではありますが、生徒に教えてもらうこともとても多くて、日々自分が更新されていく実感があります。大学生や社会人となった卒業生との交流も色々な話が聞けて面白いです。ヤフーは技術の進歩や法整備とともに自社も変えていくスピード感がありましたが、学校は生徒の卒業後も見据えて物事を考えるところに特徴があると思います。各分野のエキスパートがいる、先の読めない面白さ、自由な発想、はどちらの職場にも共通するところですかね。
和田さんはこの学校にどんな印象をもっておられましたか。

事務局(和田)
校風が自由で校則が基本的にないというのもありますが、教員と生徒の距離がすごく近く対等な関係なので、積極的な質問や発言が活発で、授業の進行が想定通りには絶対にならないことに驚きました。そして生徒の熱量が非常に高いので、常に期待値を超える授業が求められます。
場合によっては生徒の方が知っていることもあるので、生徒からも学びながら教員がアップデートされていくエコシステムができているところにも、この学校の特徴があると思います。また毎週土曜日に各界の著名人にお越しいただく講演会があり、当時Googleの日本法人社長だった村上憲郎さんが量子コンピュータの未来をお話しいただいた際に、生徒も教員も目を輝かせながら真剣に聞いていて、学校自体が好奇心の塊そのものだと感じました。

事務局(川村)
話は変わりますが、坂倉さんが、現在特に力を入れていることは何ですか?

坂倉さん
いくつかの勉強会に参加して、新しい見解や知識に触れ続けるようにしています。授業に還元できればいいなと。数年前、数学科の教員とコラボして和算の授業をやってみたのですが、あまり研究が進んでいない分野のようで、参考書も限られていて。江戸時代は専門外だったので私自身の理解も足りていない。一から勉強しています。くずし字や古地図や古銭、暦や税の問題とも関わってきます。

事務局(川村)
ご家族以外で尊敬している方がおられたら教えて下さい。

坂倉さん
たくさんいて難しいので、歴史上の人物で…。紀貫之です。仮名文学の発展に大きな影響を与えた人物なのですが、『古今集』仮名序や『土佐日記』、『新撰和歌集』について色々インタビューしてみたいです。
ヤフー関係ですと、きちんとお話したことはないのですが、入社時にメディア事業部長だった宮坂さんのプレゼンが面白くて印象に残っています。尊敬というか憧れですね。

事務局(川村)
ご趣味は何ですか?

坂倉さん
ピアノを小学校の頃から習っています。あまり練習をしないので上手になりませんが(笑)、先生とのおしゃべりが楽しくてもう30年以上お世話になっています。装束の着付けや旅行、あとは今後のeスポーツの盛り上がりにも期待しています。

事務局(和田)
コロナで変わったことはありますか?

坂倉さん
心構えが変わったということはないのですが、単純に外出が減りました。
学校は昨年度1学期の授業をほぼオンラインで行いました。現在、授業は対面で行っていますが、学校でも感染対策が欠かせなくなって、今まで気をつけなくてよかったところを注意せざるを得なくなっています。

事務局(和田)
ライフワークは何でしょうか?

坂倉さん
古典文学と教育の両方に携わっていくことです。幸い、研究会参加や辞書執筆の機会などいただけており、働きながら勉強も続けられるのが有り難い環境です。本当は、修論で書いたテーマについてももっと調査を進めたいのですが、色々と手を出しすぎて、なかなか腰を据えてとりかかる余裕を持てないのが現状です。

事務局(川村)
これからチャレンジしたいことは何ですか?

坂倉さん
正確にはチャレンジ途中なのですが、東海道を歩くことです。京都の三条大橋から出発して、東京の日本橋まで。コロナで思うようにいきませんが、長期休暇などを利用して少しずつ歩きたいです。実際に歩いてみると、西の方はけっこう街道の風情が残っていて、このくらいの道幅だったんだなと感じたり、地元の方が道を教えてくださったりして、徒歩ならではの醍醐味があります。それと、全国の歌枕(和歌によく詠まれる名所)もめぐってみたい。

厳密には場所の特定は信憑性に欠ける場合もあるのですが、実際の風景と、和歌に詠まれるイメージとを重ねてみて、ひとりで感動したり満足したりしています。今はそうやって実感として自分の中に落とし込んでいくのが楽しいですね。古典に縁ある場所へ行く。なるべくそういう経験を増やしていきたいです。

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事務局(川村)
実は私はロードバイクで東京の日本橋から京都の三条大橋まで走ろうと思っていたんです。(笑

事務局(和田)
今度東海道のどこかの宿場で坂倉さんが和歌を詠んでいるところに、私たちが集合して3人で風情を味わうというのも面白そうですね。
では最後になりますが、イマヤフに伝えたいメッセージをお願いします。

坂倉さん
これからヤフーがどんなふうに変わっていくのか、ユーザーとしても楽しみにしております。お世話になった方々とも機会があればゆっくりお話ししたいです。

事務局(和田)
モトヤフに伝えたいメッセージもお願いします。

坂倉さん
今までつながりが途絶えていた方も、この記事がきっかけになってまた連絡を取り合えるようになれたらうれしいです。全く異なる業界にいるようですが、教育現場はけっこう懐が深く、さまざまな分野で活躍されている皆様とも繋がっていけるのではないかと思います。

事務局(和田
読者に伝えたいメッセージをお願いします。

坂倉さん
記事を開いてくださってありがとうございます。教育の場では、デジタルはまだまだ黎明期だと思います。導入と活用が提唱されて久しいですが、実際に使うとなると課題も多く、地域や学校によっても差があります。学校ではどのようにデジタルを活用できるか、今後のデジタルにどんな希望と課題があって、若い世代に何を伝えていくべきか、色々な方と語り合ってみたいです。

事務局(和田・川村)
本日はどうもありがとうございました!

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