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モトヤフ福島さんインタビュー

元ヤフーメンバー・インタビューシリーズ第12回

今回は滋賀県甲賀市の元忍者屋敷の古民家に住み、忍者界の第一人者として活躍中の元ヤフーメンバー福島嵩仁さんにお話を伺いました。モトヤフで現在はSBI証券執行役員の喜志さん(第8弾インタビューに登場)からご紹介いただいた福島さんは、何と忍者の衣装で印を結んで登場し、インタビューに応じてくれました。(インタビュー冒頭では喜志さんにも同席いただきました)
それでは記事をお楽しみください。

トピック】事務局からご報告
福島さんにインタビューをさせていただいたのが昨年9月でしたが、今年2022年の6月にはインタビューでご紹介されていた「 万川集海」の基になったとみられる忍術書「軍法間林清陽巻中」の写本が見つかったとして、あの忍者装束姿の福島さんが再びメディアに登場しました。皆さんもテレビニュース等でご覧になったことと思います。
こちらは「読売新聞オンライン」記事です。

事務局
お名前をフルネームで教えてください。

福島さん
福島嵩仁(ふくしまたかまさ)です。忍者名は嵩丸(たかまる)です。

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事務局
お生まれはどちらですか、またどちらにお住まいですか。

福島さん
生まれは千葉県の松戸市で、現在は滋賀県甲賀市の古民家に住んでいます。ここは尾張藩に仕えた甲賀忍者が代々住み、忍術書を含めた約150点もの古文書を秘蔵していた家なのですが、そこのご主人の渡辺俊経さんからこの屋敷を託されて住んでおります。

事務局
これまでのプロフィールをご紹介ください。

福島さん
大学を卒業後、新卒でヤフーに入社しました。配属先は法務部でした。
社会人2年目頃に東京の田端にあった忍者道場で、手裏剣の使い方などを習ってから忍者に目覚めて通うようになりました。会社では6年目にヤフオク!カンパニーに異動して新規事業開発やPMを経験しました。その後三重大学に忍者・忍術学コースの修士課程ができることを知り、ヤフーを退職。日本忍者協議会に転職して、週1で東京から三重まで大学院に通いました。大学院修了後は、甲賀市にある実際に忍者が住んでいた古民家に移住。現在は、日本忍者協議会職員を務めながら、甲賀市地域おこし協力隊としても精力的に活動しております。

事務局
ヤフーの在籍期間はいつ頃でしたか?

福島さん
2008年4月から2018年4月までの10年間です。

事務局
ヤフーに入ったきっかけは何でしたか?

福島さん
大学で法律を学んだので、就職活動の際に法務部志望で企業を回っていましたが、第一志望のヤフーが採用してくださったのですぐに決めました。ダイヤルアップ接続の時代(中学生頃でしょうか)からインターネットが好きで、その頃からYahoo!JAPANをよく使っていたので、自分の中でも憧れがある企業でした。

事務局
ヤフーでのお仕事は具体的にどんな内容でしたか?

福島さん
部署的には2つの部署を経験しました。
最初の5年間が法務部で、契約書の作成、利用規約の作成、事業部からの法律相談対応、契約交渉への同行などを担当しました。
後半の5年間がヤフオクカンパニーで、新規事業開発、アライアンス対応、提携企業のPMO、新規ウェブサービス立ち上げのプロジェクトマネージャーなどを担当しました。
当時の上司や同僚には大変お世話になりました!

事務局
ヤフーで学んだことはどんなことでしたか?

福島さん
課題解決とユーザーファーストの観点でしょうか。今でもその視点は自分の中に染みついているかなと思います。地方ではそのような視点があまりないように感じることも多く重宝されるので、非常に良い観点を身につけられたなと思っております。

事務局
辞めたから分かるヤフーの良さというものはありますか?

福島さん
社会の一歩先を進んだ仕組みや取組と、情報が集まるところですかね。出社しなくてもいいなんて、時折うらやましくなります(笑)

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事務局
大学院で忍者学を学ばれるきっかけは何でしたか。またその際のエピソードがありましたらお聞かせください。

福島さん
もともと「忍たま乱太郎」の原作「落第忍者乱太郎」のファンだったんです。そして社会人になって東京の忍者道場に行ってからというもの、たちまち忍者の虜になりました。

ヤフー在職中にアライアンス先から「そんなに忍者が好きなら忍者のサイトを作ったらどうか」といわれたことがきっかけで、忍者のサイトを個人的に作って全国の忍者を取材していたのですが、三重大学が忍者研究をしていることを知って興味を持ち始めました。

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(左が福島さん)

日本科学未来館で開催された忍者企画展では三重大学の教授の忍者解説を食い入るように聞きました。自分でもある程度の忍者の知識は手に入れたので、新たな忍者の真実を追究したいと思い、大学院での忍者学研究を志して三重大学 人文社会科学研究料地域文化論専攻 忍者・忍術学コースに入学しました。そのタイミングでヤフーを退職して日本忍者協議会に。当時ヤフーの中でも「いつか忍者で食っていきます」と上司には言っていたので、特に引き留められることもなく、抜け忍となる僕を暖かく応援してくださいました(笑)。大学院には3年通いましたが最初の2年間は東京から三重まで始発で大学院に通ったのです。

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(大学院授業での忍者の実習の様子)

事務局
ネクストキャリアを選んだ決め手は何ですか?

福島さん
ヤフーやIT業界には優秀な方がたくさんいらっしゃいますが、忍者界を変えるには自分しかいないと思ったからです。ちょっと偉そうですね、すみません・・・。なので、大学院で忍者の知識をより深めつつ、まずは忍者ゆかりの地の自治体が集まる日本忍者協議会の企画担当として、働くことにしました。

そこで感じたのは、忍者界全体を見渡すと、今は伊賀が突出しているということです。そのライバルである甲賀の里には、伊賀ゆかりの服部半蔵や百地三太夫ら名の知れた忍者はおらず、三重大のような研究機関もない。インターネットの検索数でも伊賀に及ばない。

だからこそ甲賀には、原石の輝きがある。そんな甲賀が名実ともに伊賀のライバルとなれるような地位まで盛り上がってくれば、相乗効果で忍者界はもっと盛り上がるはず、という仮説を抱くようになりました。そこで3年間で大学院を修了しましたので、その後は甲賀の地域に溶け込み、どんな甲賀忍者がいて、その魅力は何か。史料を丁寧に調べ、発信しつつ、それを礎に甲賀をもっと盛り上げたいと痛切に思うようになりました。

事務局
現在のお仕事は具体的にどんな内容でしょうか?

福島さん
2つあります。
一つは日本忍者協議会です。全国の忍者ゆかりの地が集結して国内外に忍者の魅力を発信したり、忍者に関連するサービスやイベントなどの実施を行う団体で事務局(企画担当)をしております。手裏剣打の全国大会や忍者ツーリズム、忍者の教育・ライセンスプログラムの開発・運用などを行っています。

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もう一つは甲賀市地域おこし協力隊です。忍者界を盛り上げるために伊賀のライバルとなる甲賀がもっと強くならないとダメなので、甲賀に移住して、副業として忍者観光を盛り上げるための、情報発信やアクティビティ開発を行っています。

事務局
忍者の存在は日本人はもちろん外国人にも広く知られているとは思いますが、外国人にとっての忍者のイメージとはどのようなものなのでしょうか。

福島さん
ヨーロッパなどの西洋諸国とアジア各国ではちょっと違った存在のようです。ヨーロッパだとアサシンなどの暗殺者やスーパーヒーローのようなリアルで強靭なイメージ、アジアでは「NARUTO」「ニンジャ・タートルズ」などのアニメの普及でコミカルなイメージがあるようです。

事務局
現在の仕事の面白いところや素晴らしいところを教えて下さい。

福島さん
忍者は世界で99%の認知があり、忍者が嫌いという人を聞いたことがありません。忍者を事業化するのはハードモードですが、日本の誇る文化として今後も残していく活動や、忍者を楽しんでくれる外国人の反応などを見ると嬉しくなります。

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事務局
ところで今はどんな資格をお持ちですか?

福島さん
甲賀流忍者検定上級(甲賀忍術研究会主催資格)、伊賀流忍者検定1級と三重大学院忍者・忍術学コース修士(Master of Ninja)といったところで、全て忍者絡みですね。国際忍者学会という学会の運営委員も担当しています。

事務局
三重大学の大学院の入試では忍者に関する問題が出題されたのですか。

福島さん
はい、例えば忍者に関する10くらいの用語について解説しなさいとか、手裏剣の使い方についての問題が出されたりとか。でもそれまでたくさんの忍者情報を集めていたのと甲賀と伊賀各検定にも合格していたので、楽しく問題を解くことができました。

事務局
大学院に学んで驚いたことはありましたか?

福島さん
大学院では忍術書などの実際の古文書を紐解いて研究するので「本物の忍者」の姿を知ることができました。でもそれは自分がそれまで収集してきた様々な忍者情報や忍者のイメージをことごとく覆すものでした。わかりやすい例で言えば、忍者はよく目にするような頭巾や黒ずくめの衣装を着ているわけでもなく、また星型の手裏剣を投げるわけでもなく、水の上をスイスイと歩くわけでもないのです。

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孫子にも出てきますが、地域や国を守るために諜報や謀略を行う「用間」を担うのが忍者の本当の姿なので、フィクションで出てくるような忍者スタイルで目立ってしまってはいけないのです。

事務局
大学院で学ばれた忍術に関する古文書にはどのようなものがあるのですか。

福島さん
代表的なものに、『万川集海』『忍秘伝』『正忍記』があります。 こうした忍術書には、忍び込むための忍術の解説はもちろんのこと、他にも忍びとしての生き方を説いていたり、任務中に必須となるサバイバル術がふんだんに盛り込まれるなど、ある意味で「総合生存術」の書とも言えます。
その中で『万川集海』は伊賀国郷士で冨治林長門守の子孫である冨治林傳五郎保道によって延宝4年にまとめられた、二十二巻、別巻一巻から成る膨大な忍術書です。
これがその『万川集海』です。

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事務局
えっ!これが本物の『万川集海』なんですか。

福島さん
これは写本ですが、こうした写本であってもなかなか簡単に手に入れることは難しく、忍者の子孫の方々などと長くお付き合いをする中で、ようやく見せていただけることができるほど貴重なものなんです。修士論文はこの『万川集海』の伝本研究をテーマとして、どの写本が一番古く成立したものかを考察しました。なんと学長賞までいただいてしまいました!

事務局
今、特に力を入れていることは何ですか?

福島さん
YouTubeですかね。特にYouTuberになりたいわけではなかったのですが、時代的に動画やらないとなと。ボチボチですが、忍者の正しい知識や面白さを伝えるためにいい歳して頑張っています(笑)

事務局
ご趣味は何ですか?

福島さん
忍者グッズを集めたり、忍者作品を見たり読んだり、忍者に関する史料を読んだり・・・とにかく忍者に関することが全部趣味です。もうただの忍者オタクです。

事務局
コロナで変わったことはありますか?

福島さん
多くの訪日外国人を集めていた全国の忍者体験施設、忍者観光スポットが軒並み苦しい状況にあることですね。何とか救えたらいいなぁと日々考えを巡らせています。

事務局
ライフワークは何でしょうか?

福島さん
すべての忍者・忍術を極めることです。忍者の生き方や忍術というスキルが、現代人の役に立ったり、ストレス社会を生きるヒントになったらいいなと思ってやっています。

事務局
これからチャレンジしたいことは何ですか?

福島さん
甲賀を伊賀に負けない忍者観光地に仕立て上げ、伊賀とバチバチの対決をしていくことです。それにつられて全国の忍者の地域が盛り上がるような仕掛けを行い、忍者界全体の底上げを行いたいです。ヤフーで学んだITの力も駆使しながら実現できたらいいなと思います。

事務局
イマヤフに伝えたいメッセージをお願いします。

福島さん
退職した今でもヤフーでの経験には救われていることが多いです。サービスもよく使わせていただいております。今後の展望も楽しみです!

事務局
モトヤフに伝えたいメッセージをお願いします。

福島さん
忍者のことでご用命がありましたら、なんなりとお申し付けください。ただ、暗殺は今は請け負っていません。

事務局
読者に伝えたいメッセージをお願いします。

福島さん
忍者・忍術には荒唐無稽なイメージを持たれる方も多いかと思いますが、よく調べていくと、そこには混沌の状況を生き抜くための技術や生き様が感じられ、カオスな時代を生き抜くヒントもたくさん詰まっています。大変な時期ですが忍者のように耐え忍び、人生の目的を達成するのに、忍者・忍術から得られるものは多いと思います!

事務局
本日はどうもありがとうございました。

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